第590回:キモは電動化だけにあらず
ドイツの巨人フォルクスワーゲンの次世代戦略に迫る
2019.09.28
エディターから一言
![]() |
ついに電気自動車(BEV)専用プラットフォーム「MEB」を採用した第1弾モデル「ID.3」を発表したフォルクスワーゲンだが、未来を見据えた彼らの戦略はBEVの量産化だけにとどまらない。“CASE”について全方位的に取り組みを加速させる、ドイツの巨人の“今”をリポートする。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
高効率なBEV用プラットフォームを実用化
フランクフルトモーターショーで華々しくデビューしたフォルクスワーゲンID.3は、BEV専用プラットフォーム、MEBの第1弾商品で、「ゴルフ」と同クラスに属するハッチバックである。
エンジン車用プラットフォーム「MQB」を利用している既存の「e-ゴルフ」に比べると、専用設計のため効率的にバッテリーを搭載しており、e-ゴルフがバッテリー容量35.8kWh、航続距離231km(WLTP)だったところ、ID.3は最大のものでバッテリー容量77kWh、航続距離550kmを実現。その他に、45kWh/330kmと58kWh/420kmのバージョンも用意される。フロアの大部分がバッテリーケースで、前後にモーターやコントローラー等のユニットとサスペンションおよびタイヤがつくシンプルな構成で、それがスペース効率に寄与しているわけだ。他の自動車メーカーでもBEV専用のプラットフォームを考えれば、似たようなものになるだろう。
前輪駆動(FWD)にするか後輪駆動(RWD)にするかはメーカーによって分かれるところだが、MEBはRWDとなっている。前後重量配分が50:50に近くなると、FWDではトラクション不足になる状況も考えられる。駆動輪にトラクションをかけやすかったり、前輪の切れ角を大きくとれたりと、RWDはメリットが多いのだ。一方、減速時の回生エネルギーを効率的にとれないのはデメリットとなるが、同じくRWDを選択した「ホンダe」の人見LPLいわく、「それほど大きな差はなく、RWDのメリットのほうが上回る」という。なお、MEBではさまざまな車種展開を予定しており、フロントにモーターを持つAWDも想定。フロント用はシンプルな非同期モーターになるようだ。
すでに、ID.3の地上高を上げた格好のクロスオーバーSUV「ID.CROSS(アイディークロス)」や、往年の「タイプ2」のような「ID.BUZZ(アイディーバズ)」、サルーンの「ID.VIZZION(アイディービジョン)」、バギーの「ID.BUGGY(アイディーバギー)」などといったコンセプトカーが公開されており、その多くは市販化される予定だ。MEBはホイールベースの自由度が高く、幅広い車種に対応することが可能となっている。MQBで実現した“マルチプラットフォーム構想”が、BEVにも生かされるわけだ。
-
NEW
第639回:自動車文化を盛り上げたい! トーヨータイヤの“バーチャルオートサロン”訪問記
2021.1.27エディターから一言「東京オートサロン」の中止もなんのその! トーヨータイヤがオンラインコンテンツ「TOKYO AUTOSALON 2021 Special Site」を公開。世界各国のカーガイが登場するリポートからは、「こんな時こそ盛り上がりたい! 盛り上げたい!」という熱い思いが感じられた。 -
NEW
メーカーの知恵の見せどころ コロナに効く自動車技術はあるか!?
2021.1.27デイリーコラム世の中がコロナ禍の影響を受けるようになってはや1年、自動車業界にはどんな変化があっただろうか? 抗ウイルスを意識した技術や製品に焦点を当てつつ、コロナ時代のカーライフについて考えた。 -
NEW
シトロエンC3シャイン<エメラルドインテリア>(FF/6AT)【試乗記】
2021.1.27試乗記マイナーチェンジで見た目の印象が強まった、シトロエンのコンパクトハッチ「C3」。そのステアリングを握ったなら、つくり手のポリシーを感じるほどの、個性的な乗り味にも驚かされることだろう。 -
ヤマハ・トリシティ300(CVT)【レビュー】
2021.1.26試乗記フロントに2つのタイヤが付いた、ちょっと変わったオートバイ。ヤマハが提案する新型三輪モデル「トリシティ300」に乗ったなら、普通の二輪車とはかなり違ったバイクライフが送れるに違いない。 -
トライアンフ・トライデント660
2021.1.25画像・写真トライアンフの新型モーターサイクル「トライデント660」が、東京・渋谷の「代官山 蔦屋書店」に展示された。新開発の水冷3気筒エンジンを搭載した、軽快なミドルクラス・ネイキッドモデルの詳細な姿を、写真で紹介する。 -
月に1度の特別なメールマガジン『月刊webCG通信』 EVは選べる時代! あなたのチョイスは?
2021.1.25From Our StaffwebCG執筆陣によるコラムや月間アクセスランキング、読者アンケートなど、さまざまなコンテンツを通して自動車業界の1カ月を振り返る『月刊webCG通信』。2月号では、ついに“選べる時代”を迎えた電気自動車について、読者の皆さまのご意見を大募集いたします!