第642回:かつて大矢アキオが愛した大不人気車 その最新中古車相場を探る!
2020.02.14 マッキナ あらモーダ!デロリアンを買いかけたあの頃
「デロリアンDMC-12」の生みの親を描いた映画『ジョン・デロリアン』を見た。内容については、webCGの『読んでますカー、観てますカー』2019年12月5日付で鈴木真人氏が解説しているとおりだ。
筆者が思い出したのは、東京で雑誌編集記者をしていた1990年代の初頭である。当時、中古車情報誌『カーセンサー』を眺めていたら、千葉県市川市行徳にある中古車店で、デロリアンDMC-12が売りに出されているのを知った。
価格は約300万円だった。2020年の今日は1000万円程度で取引されている現状からすると、破格に安かった。当時ヤナセで「キャデラック・フリートウッド エレガンス」の中古車を買うのと、ほぼ同じ値段だった。
あの頃デロリアンは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の劇中車として、ある程度認知されていた。ただしフェラーリをはじめとした伝統ブランドを愛好する人々にとって“一発屋”のデロリアンは、今以上に選択の対象外だった。300万円という中古車価格は、それを反映したものであったといえよう。
最終的に筆者はどうしたかというと、「デロリアンは故障がかなり発生するらしいぞ」という会社の先輩の情報――映画『ジョン・デロリアン』にも故障に関連したシーンが複数回登場する――にビビってやめてしまった。
膨大な修理費が発生してイタリア渡航費用など吹っ飛んでいただろうから、結果として正しい行動だったのだろうが、あのとき本当に買っていたら、いい思い出になっていたかもしれない。
そのような筆者ゆえ、23年前にイタリアに住んでからも、「気になりながらも勇気がなく、それ以上にお金がなく、入手しそびれたクルマ」が多々あった。
くしくもそれらの大半は、欧州市場でさほど人気を獲得できないまま消えていったモデルである。そのような自分の性格を省みるたび、「ペットショップで引き合いのない犬やネコが妙に愛らしくなってしまう人というのは、こういう気持ちであろう」などと思うこともある。
今回は、そうしたクルマが2020年の今、イタリアの中古車市場でどのような末路をたどっているかを調べてみた。
参考にしたのは、ヨーロッパ18カ国で展開し、月間ユーザー数1000万人を誇る欧州最大の中古車検索サイト『オートスカウト24』である。データは2020年2月11日現在のものだ。
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大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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