ホンダS660モデューロX(MR/CVT)
特別なスペシャルモデル 2020.05.08 試乗記 「ホンダS660」のマイナーチェンジに合わせ、ホンダアクセスが手がける純正コンプリートカー「S660モデューロX」も最新モデルへとアップデート。ちょっとマイナー(?)なCVTモデルを連れ出し、その仕上がりを確かめた。よみがえる感覚
2015年にホンダS660が発売された時のフィーバーぶりは大変なものだった。月産わずか800台のところに注文が殺到し、納車まで1年以上とされていたのである。この手のクルマは広いユーザーにアピールするわけではないので、ひと通り行き渡れば受注状況は落ち着くものだが、今でも中古車価格は高止まりしている。根強い人気があるようだ。2020年1月にマイナーチェンジがあったということは、まだまだ販売が続けられるのだろう。ちなみに同じホンダの「ビート」は販売開始から4年半で生産が終了している。
マイナーチェンジでは、Aピラーをボディー同色化するなどのデザイン変更が施されている。フロントグリルやアルミホイールの意匠も変わった。今回試乗したのは、ホンダアクセスが手がけたモデューロXである。2013年の「N BOX」から始まったコンプリートカーのシリーズで、S660は第5弾。2018年5月に追加されており、ノーマルモデルと同時にマイナーチェンジを受けた。
最後にS660に乗ったのは3年ほど前だが、ドアを開けて運転席に座ろうとしたら感覚がよみがえった。着座位置の低さは尋常ではない。乗り降りのたびに腰にダメージを与える。腰痛持ちには試練だが、これがS660のスペシャルなところなのだ。小さくて低くて軽い。軽自動車枠の厳しい制約をメリットに転化している。
意外だったのは、キャビンがそれほど狭くないことだ。十分な空間があるわけではないが、閉塞(へいそく)感はあまりない。最近乗った「コペンGR」の息苦しさとは対照的である。コペンはドアミラーがすぐ顔の横にあるような印象だったのだ。S660は頭まわりにそこそこの余裕がある。ドアミラーのスリムな形状が圧迫感を軽減しているのかもしれない。