ホンダ・シビック タイプR(FF/6MT)
無冠の名車 2021.02.05 試乗記 欧州のライバルとFF車世界最速争いを繰り広げる「ホンダ・シビック タイプR」が、マイナーチェンジを受けた。派手ではないが、ツウをうならせる改良が施された“現行最終型”の出来栄えやいかに? 進化したその走りを報告する。実はすでに“完売御礼”
10代目「シビック」をベースとしたタイプRのマイナーチェンジモデルが、国内で発売されたのは昨2020年10月8日だった。その目玉のひとつが、「メガーヌR.S.」に奪われていた“独ニュルブルクリンクFF車最速タイム”の奪還を期して開発された、200台限定の「リミテッドエディション」である。そのリミテッドエディションは案の定、正式発売時点で瞬殺完売だったが、表向きは限定でないはずのカタログモデルですら、それとほぼ同時に“新規受注終了”との情報が広まったのには驚いた。
実際のところ、カタログモデルは2020年11月初旬まではいくつかの販売店にわずかな市中在庫があったようだが、さすがに今となってはそれもほぼ売り尽くされたと思われる。タイプRを含む現行「シビック ハッチバック」を生産する英国スウィンドン工場が、この2021年中に閉鎖予定なのはご承知のとおりで、追加生産も事実上不可能。というわけで、マイチェン版タイプRの“非リミテッドエディション”の試乗は『webCG』では今回が初なのだが、すでに新車購入をおすすめできないのはくち惜しいかぎりだ。
もっとも、このマイチェン版タイプRは、そもそも“さよならファイナルバージョン”的な商品企画だったことも事実。発売は当初から2020年夏の予定であり、それを生産する英国スウィンドン工場は2021年の閉鎖が決まっていたし、次期型シビックの事前キャンペーンが2020年後半からスタートするのも既定路線だった。
それに加えて、新型コロナウイルスがその“手に入れにくさ”に拍車をかけたことは否めない。国内発売が夏から秋にズレ込んだことも、もともと少なかった生産台数に影響したであろうと容易に想像できる。また冒頭のリミテッドエディションが、ニュルブルクリンクで「メガーヌR.S.トロフィーR」のタイムを再更新して飾るはずだった有終の美も、日本からの出張もままならないコロナ禍では夢と消えてしまった。
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