日産GT-Rプレミアムエディション(後編)

2021.03.28 池沢早人師の恋するニューモデル 池沢 早人師 漫画『サーキットの狼』の作者、池沢早人師による「日産GT-Rプレミアムエディション」の試乗リポート後編。前回、「速いし足も高次元に進化したが、刺激的ではない」と評した走りについて、より詳しく語ってもらった。

エンジンの主張を感じたい

かつて「スカイラインGT-R(R32)」を自宅ガレージに収めたこともある池沢早人師先生。日産GT-Rの2020年モデルの試乗後に、「進化を重ねていった結果、例えるならそれは『ルーフCTR2』と同じで、ただ速いクルマになった」という意外なコメントが発せられた。

ただ速く、刺激が少ないというあたりを詳しくうかがえますか。
「僕自身はGT-Rでドイツのアウトバーンを走ったことはないのですが、以前どこかで『最新のGT-Rは250km/hでの巡航中も助手席の人と会話ができる』という旨の記事を目にしました」

はい、従来モデルとは異なるポイントですね。
「ええ。それはもちろん素晴らしいことだと思います。しかし裏を返せば、走りに関してはエキゾーストサウンドを含め、“刺激が少ない”ということでもありますよね。人は、隣の人と楽しくおしゃべりするためにスポーツカーを買うわけではないですから」

確かに、たまにはおしゃべりもしたいですが、「主たる目的」ではありませんね。
「ですから、クールに速いCTR2と方向性が似ているな、と。まぁアフターマーケットで販売されているマフラーなどを装着すれば、(エキゾースト)サウンド的にもそそられる部分が出てくるのではないかと思いますけど」

もっとエモーショナルであってもいいという部分ですね。参考までに、GT-RプレミアムエディションのマフラーはFUJITSUBOの電子制御バルブ付きチタン合金製マフラーです。
「個人的にはこの素晴らしく進化を遂げたエンジンの存在を主張するような、もっとパンチのあるエキゾーストサウンドが好みなので……日常使用を念頭に置いたであろうプレミアムエディションのそれは、僕の求めるものとは少し方向性が違っているということなのかもしれません」

今回、池沢早人師先生が試乗した「GT-Rプレミアムエディション」。最新の2020年モデルにおいては「速さの質」を重視した改良が行われ、その変更内容はパワートレインからシャシーやブレーキシステム、マフラーなど多岐に及んでいる。
今回、池沢早人師先生が試乗した「GT-Rプレミアムエディション」。最新の2020年モデルにおいては「速さの質」を重視した改良が行われ、その変更内容はパワートレインからシャシーやブレーキシステム、マフラーなど多岐に及んでいる。拡大
「GT-Rプレミアムエディション」では、FUJITSUBOの電子制御バルブ付きチタン合金製マフラーが採用されている。職人が手加工で組み立て溶接することで、美しい仕上がりを実現したという。
「GT-Rプレミアムエディション」では、FUJITSUBOの電子制御バルブ付きチタン合金製マフラーが採用されている。職人が手加工で組み立て溶接することで、美しい仕上がりを実現したという。拡大
【日産GT-Rプレミアムエディション】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4710×1895×1370mm/ホイールベース:2780mm/車重:1770kg/駆動方式:4WD/エンジン:3.8リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ/トランスミッション:6段AT/最高出力:570PS(419kW)/6800rpm/最大トルク:637N・m(65.0kgf・m)/3300-5800rpm/タイヤ:(前)255/40ZRF20 101Y/(後)285/35ZRF20 104Y(ダンロップSP SPORT MAXX GT 600 DSST CTT)/燃費:7.8km/リッター(WLTCモード)/価格:1232万9900円

【取材時の燃費データ】
テスト距離:345.5km(市街地2:高速道路6:山岳路2)/使用燃料:57.0リッター(ハイオクガソリン)/参考燃費:6.1km/リッター(満タン法)/6.3km/リッター(車載燃費計計測値)
【日産GT-Rプレミアムエディション】
	ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4710×1895×1370mm/ホイールベース:2780mm/車重:1770kg/駆動方式:4WD/エンジン:3.8リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ/トランスミッション:6段AT/最高出力:570PS(419kW)/6800rpm/最大トルク:637N・m(65.0kgf・m)/3300-5800rpm/タイヤ:(前)255/40ZRF20 101Y/(後)285/35ZRF20 104Y(ダンロップSP SPORT MAXX GT 600 DSST CTT)/燃費:7.8km/リッター(WLTCモード)/価格:1232万9900円
	
	【取材時の燃費データ】
	テスト距離:345.5km(市街地2:高速道路6:山岳路2)/使用燃料:57.0リッター(ハイオクガソリン)/参考燃費:6.1km/リッター(満タン法)/6.3km/リッター(車載燃費計計測値)拡大
関連記事
  • 「日産GT-R」2024年モデルの注文受け付け開始 史上最高のパフォーマンスを発揮 2023.3.20 自動車ニュース 日産自動車は2023年3月20日、「日産GT-R」2024年モデルを正式発表し、注文受け付けを開始した。さらに高次元の車両トータルバランスを追求したとされており、空気抵抗を増やすことなく空力性能を強化する、新たなバンパーとウイングを採用している。
  • 価格もすっかりスーパーカー! 3000万円の「GT-R」はアリなのか? 2023.4.24 デイリーコラム いよいよ最新型「日産GT-R」の販売が始まるが、その価格帯は1375万円から2915万円までと、非常に高額になっている。史上最高性能とはいえ、基本設計は16年前というGT-Rにこのプライスタグはどうなのか? 清水草一はこう考える。
  • 相場下落でようやく適正価格に!? 今が狙い目の中古車 2023.5.24 デイリーコラム 新車の供給不足がいくぶん改善されたことに伴い、高止まりが続いていた中古車の価格も落ち着きを見せ始めている。今なら手を出しやすい(!?)人気モデルの相場を調査してみよう。
  • ランボルギーニ・ウルスS(4WD/8AT)【試乗記】 2023.6.3 試乗記 スーパーSUV「ウルス」が、マイナーチェンジを機に「S」と「ペルフォルマンテ」の2モデル体制に。今回は前者を連れ出し、ランボルギーニのビジネスを飛躍的に拡大させた立役者のセリングポイントについて、あらためて考えてみた。
  • どうしてクルマはモデルチェンジで「太る」のか? 2023.5.29 デイリーコラム 最近の例によらず、モデルチェンジのたびに車体が大きくなっていくのはクルマの常。なぜそうした肥大化が起こるのか? 逆に、例外があるとしたらその根拠はなにか? ボディーサイズの観点から、今のクルマを考える。
ホームへ戻る