第15回:ここにきてソフトウエア戦略を発表したトヨタ自動車の狙い

2021.09.14 カーテク未来招来
大規模な開発体制を敷き、車載のソフトウエアも“手の内化”すると発表したトヨタ自動車。その狙いとは?
大規模な開発体制を敷き、車載のソフトウエアも“手の内化”すると発表したトヨタ自動車。その狙いとは?拡大

日本を代表する自動車メーカーのトヨタが、ソフトウエアの開発とコネクテッド化に関する戦略を発表! ……自動車を構成する要素としては、いささかマニアックなこの分野について、彼らがわざわざ発表会を催した理由とは? そして、そこで語られた内容とは?

トヨタ自動車執行役員 チーフ・プロダクト・インテグレーション・オフィサーの山本圭司氏。(写真は2020年12月に行われた「e-Palette」のオンライン発表会でのもの)
トヨタ自動車執行役員 チーフ・プロダクト・インテグレーション・オフィサーの山本圭司氏。(写真は2020年12月に行われた「e-Palette」のオンライン発表会でのもの)拡大
今回の発表では、トヨタとウーブン・プラネット、トヨタコネクティッドで3000人、グループ全体では1万8000人を超える体制で、ソフトウエアの開発に取り組むことが明らかにされた。
今回の発表では、トヨタとウーブン・プラネット、トヨタコネクティッドで3000人、グループ全体では1万8000人を超える体制で、ソフトウエアの開発に取り組むことが明らかにされた。拡大
ソフトウエアの開発に前のめりなのは、トヨタだけではない。独フォルクスワーゲンは車載ソフトウエア企業であるCARIADを介して、ソフトウエアプラットフォームを開発。他社へも広く供給し、この分野におけるプラットフォーム企業になることをもくろんでいる。
ソフトウエアの開発に前のめりなのは、トヨタだけではない。独フォルクスワーゲンは車載ソフトウエア企業であるCARIADを介して、ソフトウエアプラットフォームを開発。他社へも広く供給し、この分野におけるプラットフォーム企業になることをもくろんでいる。拡大

ソフトの開発に3000人の陣容で臨む

トヨタ自動車は2021年8月25日に、「トヨタのクルマづくりへのこだわりと未来への挑戦」と題し、ソフトウエア開発とコネクテッド化の取り組みに関するオンライン記者発表を実施した。

なぜトヨタが、このタイミングで「ソフトウエアとコネクテッド」という専門的な分野に関する会見を開いたのか? 筆者の勝手な推測では、このところ最大のライバルである独フォルクスワーゲン(VW)が、ソフトウエア事業への傾注を喧伝(けんでん)していることが大きいと思われる。この連載でも3回にわたりVWの戦略について紹介(第12回第13回第14回)したが、そのなかでもソフトウエアに関する発表の比重が、存外に大きいことが印象的だった。そうしたライバルの動きに、トヨタとしてもなんらかの情報発信をする必要に迫られたのではないか、というのが筆者の邪推だ。

特に「トヨタがVWを意識している」と感じたのは、今回の会見で登壇した山本圭司氏が、「(トヨタ自動車は)グループ内のソフトウエア開発会社であるウーブン・プラネットや、トヨタコネクティッドと連携し、グローバルで3000人規模の開発体制を構築。全世界でソフトウエアの開発を進めていく。海外を含むグループ全体では、1万8000人の規模になる」と発表したことだ。

トヨタがソフトウエア開発の陣容について明らかにしたのは、筆者の知る限り今回が初めてであり、この数字自体、重要なファクトではある。加えてもうひとつ重要なのが、この「3000人」という“規模感”だ。というのも、VWは社内のソフトウエア開発の陣容について、現在は3000人規模であり、これを2025年には5000人規模に増強する考えを打ち出しているのだ。「社内の陣容はVWに匹敵し、グループ全体でははるかにしのぐ陣容ですよ」というメッセージを、トヨタはこの数字に込めたかったのではないか。

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎

オートインサイト代表/技術ジャーナリスト・編集者。自動車メーカーへの就職を目指して某私立大学工学部機械学科に入学したものの、尊敬する担当教授の「自動車メーカーなんかやめとけ」の一言であっさり方向を転換し、技術系出版社に入社。30年近く技術専門誌の記者として経験を積んで独立。現在はフリーの技術ジャーナリストとして活動している。クルマのミライに思いをはせつつも、好きなのは「フィアット126」「フィアット・パンダ(初代)」「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」「スバル360」「マツダR360クーペ」など、もっぱら古い小さなクルマ。

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