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進化した燃費性能に上質な内装 新しくなった“国民車”のすべて

【徹底解説】新型トヨタ・アクア 2021.11.26 ニューモデルSHOWCASE 佐野 弘宗 大ヒットを記録したトヨタのハイブリッドコンパクトがフルモデルチェンジ。新しくなった「トヨタ・アクア」はどんなクルマに仕上がっているのか。燃費は? 価格は? おすすめのグレードは? これを読んだら新型アクアのすべてがわかる。

日本特有のニーズに応えるために

トヨタ・アクアはこの2021年7月に発売された新型で、通算2代目となる。初代アクアは、当時飽和状態といえるほど売れまくっていた3代目「プリウス」に続くハイブリッド専用車として登場。発売直後から大ヒットとなり、2013~2015年には3年連続で国内登録車販売ランキング1位を獲得し、それ以降も最後まで国内販売上位を維持した。国内累計販売はじつに約185万台に達する。

新型アクアはプラットフォームやパワートレインを基本的に「ヤリス」と共有する。車体形式もサイズもヤリスと似通ったもので、価格も大きく変わらない。現在のトヨタはどの販売系列でもすべての車種を取り扱っているので、機能差のない“きょうだい車”をつくる意味は、今ではかなり薄くなった。また、初代は「プリウスc」として海外でも売られたが、新型は最初から日本専用だ。

「日本のコンパクトカー市場は、トヨタに2車種あってもあまりある規模です。初代アクアはあらためて乗っても、サイズも性能もすべてが“日本ジャスト”で本当に使い勝手がいい。トヨタ全体ではグローバルなクルマが多くなっていますが、少子高齢化や災害など、日本専用車をつくる意義は逆に高まっているとすら感じます」とは、新型アクアの開発責任者の弁だ。いずれにしても、約185万台という膨大な既納客の単純な買い替え需要だけでも十分……というのがトヨタの皮算用なのだろう。

新型アクアの開発チームによると、内部で頻繁に交わされた合言葉は“国民車”だったそうだ。ふと街なかを見渡すだけで、アクアの1台や2台、目に入るのが日本の当たり前の風景(?)である。なるほど国民車的な存在といわれればそうだ。

5ナンバー枠に収められた車体サイズはもちろん、駐車支援機能「アドバンストパーク」などのハイテクでも高齢者の普段使いを支援。このクラスにはめずらしい10.5インチの大画面ディスプレイオーディオを用意したのも、国産高級車からのダウンサイズという日本特有のニーズを意識したゆえのことだろう。

トヨタのBセグメントコンパクトカー「アクア」。ハイブリッド以外のパワートレインがラインナップされない“ハイブリッド専用車”であることが特徴だ。
トヨタのBセグメントコンパクトカー「アクア」。ハイブリッド以外のパワートレインがラインナップされない“ハイブリッド専用車”であることが特徴だ。拡大
最上級グレード「Z」のインストゥルメントパネルまわり。10.5インチのディスプレイオーディオは同グレードのみ標準装備(「G」でもオプションで選択可能)で、その他のグレードには7.3インチのディスプレイオーディオが装備される。
最上級グレード「Z」のインストゥルメントパネルまわり。10.5インチのディスプレイオーディオは同グレードのみ標準装備(「G」でもオプションで選択可能)で、その他のグレードには7.3インチのディスプレイオーディオが装備される。拡大
主要コンポーネントを共有する「ヤリス」とは、後席の居住性のよさや荷室の広さが大きなちがいとなっている。
主要コンポーネントを共有する「ヤリス」とは、後席の居住性のよさや荷室の広さが大きなちがいとなっている。拡大
2011年12月に登場した初代「アクア」。新型は、大ヒットを記録した同車からコンセプトを踏襲している。
2011年12月に登場した初代「アクア」。新型は、大ヒットを記録した同車からコンセプトを踏襲している。拡大
同じトヨタのBセグメントコンパクトカー「ヤリス」。パワートレインやプラットフォームを共有するが、こちらのほうがスポーティーなクルマに仕立てられている。
同じトヨタのBセグメントコンパクトカー「ヤリス」。パワートレインやプラットフォームを共有するが、こちらのほうがスポーティーなクルマに仕立てられている。拡大
トヨタ アクア の中古車

【ラインナップ】
最上級グレードは足まわりも豪華

ラインナップは、安価なほうから「B」「X」「G」「Z」の4グレード構成。基本的なパワートレインは1種類で、全グレードにFFと4WDが用意される。

このうち、もっとも安価なBグレードは法人需要を想定した簡素版で、そのFFは唯一の14インチホイール装着車(その他はすべて15インチが標準)となる。また、駆動用電池もBだけが既存のリチウムイオン式(それ以外は新開発の「バイポーラ型ニッケル水素」)だったり、「ブラインドスポットモニター」や「パーキングサポートブレーキ」などのオプションも装着不可だったりと、いろいろな部分が割り切られている。

逆に、最上級のZグレードには、他のグレードではオプションでも手に入らないアイテムとしてフロントに「スウィングバルブショックアブソーバー」が装備される。これは、現行のトヨタ車では「ES」や「IS」などレクサスのモデルにしか使われていない高価な部品で、高級車からのダウンサイザーからも不満の出ない乗り心地を目指したという。

【主要諸元】

グレード名   B B E-Four X X E-Four G G E-Four Z Z E-Four
基本情報 新車価格 198万円 217万8000円 209万円 228万8000円 223万円 242万8000円 240万円 259万8000円
駆動方式 FF 4WD FF 4WD FF 4WD FF 4WD
動力分類 ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド ハイブリッド
トランスミッション CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT CVT
乗車定員 5名 5名 5名 5名 5名 5名 5名 5名
WLTCモード燃費(km/リッター) 35.8 30.1 34.6 30.0 33.6 30.0 33.6 30.0
最小回転半径 4.9m 4.9m 5.2m 5.2m 5.2m 5.2m 5.2m 5.2m
エンジン 形式 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC
排気量 1490cc 1490cc 1490cc 1490cc 1490cc 1490cc 1490cc 1490cc
最高出力 (kW[PS]/rpm) 67[91]/5500 67[91]/5500 67[91]/5500 67[91]/5500 67[91]/5500 67[91]/5500 67[91]/5500 67[91]/5500
最高トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800 120[12.2]/3800
過給機 なし なし なし なし なし なし なし なし
燃料 レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー レギュラー
フロントモーター 最高出力 (kW[PS]) 59[80] 59[80] 59[80] 59[80] 59[80] 59[80] 59[80] 59[80]
最高トルク (N・m[kgf・m]) 141[14.4] 141[14.4] 141[14.4] 141[14.4] 141[14.4] 141[14.4] 141[14.4] 141[14.4]
リアモーター 最高出力 (kW[PS])   3.9[5.3]   4.7[6.4]   4.7[6.4]   4.7[6.4]
最高トルク (N・m[kgf・m])   52[5.3]   52[5.3]   52[5.3]   52[5.3]
寸法・重量 全長 4050mm 4050mm 4050mm 4050mm 4050mm 4050mm 4050mm 4050mm
全幅 1695mm 1695mm 1695mm 1695mm 1695mm 1695mm 1695mm 1695mm
全高 1485mm 1505mm 1485mm 1505mm 1485mm 1505mm 1485mm 1505mm
車両重量 1080kg 1190kg 1120kg 1220kg 1130kg 1220kg 1130kg 1230kg
タイヤ 前輪サイズ 175/70R14 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15
後輪サイズ 175/70R14 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15 185/65R15
装備が大幅に簡素化された最廉価グレード「B」。黒いグリルモールが目を引くが、実はひとつ上の「X」グレードも、グリルは同じくブラックとなる。
装備が大幅に簡素化された最廉価グレード「B」。黒いグリルモールが目を引くが、実はひとつ上の「X」グレードも、グリルは同じくブラックとなる。拡大
“上から2番目”のグレードである「G」。フードサイレンサーや高遮音性のフロントウィンドウ、スーパーUVカット・IR〈赤外線〉カット機能付きフロントドアガラス、「ナノイーX」機能付きエアコンを標準で備えるなど、下位2グレードより快適性が大幅に高められている。
“上から2番目”のグレードである「G」。フードサイレンサーや高遮音性のフロントウィンドウ、スーパーUVカット・IR〈赤外線〉カット機能付きフロントドアガラス、「ナノイーX」機能付きエアコンを標準で備えるなど、下位2グレードより快適性が大幅に高められている。拡大
最上級グレードの「Z」に標準装備されるアイテムは、15インチのアルミホイールを含め、その多くが他のグレードでも選択可能なものだ。
最上級グレードの「Z」に標準装備されるアイテムは、15インチのアルミホイールを含め、その多くが他のグレードでも選択可能なものだ。拡大
広い照射範囲と消費電力の少なさが特徴のバイビームLEDヘッドランプ。「Z」に標準装備されるほか、「G」「X」でもオプションで選択可能となっている。
広い照射範囲と消費電力の少なさが特徴のバイビームLEDヘッドランプ。「Z」に標準装備されるほか、「G」「X」でもオプションで選択可能となっている。拡大
切削光輝加工とダークグレーメタリック塗装を組み合わせた16インチアルミホイール。「Z」と「G」にオプション設定される。(写真:花村英典)
切削光輝加工とダークグレーメタリック塗装を組み合わせた16インチアルミホイール。「Z」と「G」にオプション設定される。(写真:花村英典)拡大

【パワートレイン/ドライブトレイン】
従来モデルより20%向上した燃費性能

初代アクアはハイブリッド専用車として売り出されたが、それは2代目となる新型でも変わりない。そのパワートレインはヤリスや「ヤリス クロス」でおなじみのもので、ハイブリッドシステムにはより小型・軽量かつ高効率化が図られた最新世代の「THS II」を採用。そこに1.5リッター3気筒アトキンソンサイクルエンジン「M15A-FXE」型を組み合わせる。

4WDシステムはリアに最高出力6.4PS(Bグレードのみ5.3PS)のモーターを積む“生活電動4WD”だ。FFのリアサスペンションはトーションビームだが、リアアクスル部分にモーターを抱える4WD車ではダブルウイッシュボーンとなる。こうした4WDの特徴も、すべてヤリス/ヤリス クロスと共通だ。

そんなパワートレインにおいて、現時点で新型アクアにしかない新機軸が駆動用電池である。もっとも安価なBグレードはヤリスなどと同じリチウムイオン式(容量は4.3Ah)となるが、それ以外の上級グレードには新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池が搭載される。

一般には、ニッケル水素式はリチウムイオン式より古くて性能も低めというイメージだが、電池構造から見直されたバイポーラ型ニッケル水素電池はちがう。同じ空間により多くのセルを詰め込めるうえに、内部抵抗も小さい。

そのおかげで、同じリアシート下の空間で旧来のリチウムイオン式を超える容量(5.0Ah)を実現できただけでなく、結果的にヤリスやヤリス クロスより走りもパワフルになっている。同時にモーターのみで走れる領域も拡大(速度でいえば、ヤリスは約20km/hまで、新型アクアは約40km/hまで)。そして加速時のエンジン回転数も抑制されている。より入念になった車体側の遮音・吸音対策もあいまって、ヤリスより明らかに進化している静粛性も新型アクアの売りであり、日本人に好まれるポイントといえそうだ。

カタログ燃費(WLTCモード)は35.8~33.6km/リッターで、ヤリス ハイブリッドの36.0~35.4km/リッター(ともにFF車の数値)より少しだけ悪い。これはヤリスより40~70kg重い車重が主な理由だろう。

パワーユニットは1.5リッターエンジンとハイブリッドシステム「THS II」の組み合わせ。エンジンは“ダイナミックフォースエンジン”と総称される新世代のものに刷新され、ハイブリッドシステムもさらなる高効率化が図られている。(写真:向後一宏)
パワーユニットは1.5リッターエンジンとハイブリッドシステム「THS II」の組み合わせ。エンジンは“ダイナミックフォースエンジン”と総称される新世代のものに刷新され、ハイブリッドシステムもさらなる高効率化が図られている。(写真:向後一宏)拡大
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式(左)、リアがトーションビーム式(右上)だが、4WDの場合のみリアがダブルウイッシュボーン式(右下)となる。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式(左)、リアがトーションビーム式(右上)だが、4WDの場合のみリアがダブルウイッシュボーン式(右下)となる。拡大
「B」以外のグレードに搭載されるバイポーラ型ニッケル水素電池。
「B」以外のグレードに搭載されるバイポーラ型ニッケル水素電池。拡大
バイポーラ型電池は、ひとつのケース内でセルが背中合わせに積層されている点が特徴。小型化と高出力化を同時に実現している。
バイポーラ型電池は、ひとつのケース内でセルが背中合わせに積層されている点が特徴。小型化と高出力化を同時に実現している。拡大
パワートレインの改良や、バイポーラ型ニッケル水素電池の採用などにより、燃費性能は従来型より20%ほど向上したという。(写真:花村英典)
パワートレインの改良や、バイポーラ型ニッケル水素電池の採用などにより、燃費性能は従来型より20%ほど向上したという。(写真:花村英典)拡大

【ボディーサイズ/デザイン】
大ヒットした初代のイメージを踏襲

基本ハードウエアを共有するヤリスに対して、新型アクアのホイールベースは50mm長い2600mmだが、全長は110mm長い4050mmとなっている。これは、より長いフロントオーバーハングで上級感を表現しただけでなく、リアのラゲッジスペースが拡大されているからでもある。

初代が国民車といってもいいほど売れたこともあり、強く傾斜したフロントウィンドウや切り立ったリアゲート、ダブルバブルルーフに縦型リアコンビランプなど、新型も基本プロポーションやキーモチーフでは初代のイメージを明確に踏襲している。そのうえで、5ナンバーながらも肉感的なリアフェンダーでワイドスタンスを表現し、かつフェイスデザインはトヨタ車共通の台形グリルを踏襲しつつ、柔らかな曲線で精悍さと親しみやすさの両立を目指したという。

サイドでは“ティアドロップ型”のウィンドウグラフィックが目を引く。これは初代以来の尻上がりのウエッジシェイプを再現しながら、リアドアの上半身を後方ギリギリまで切り欠くことで、後席乗降性を確保する機能的な効果も意図したものだ。

ただ、新型アクアのエクステリアで最大の特徴は、全高の低さだ。初代アクアは常に国産最良燃費を追い求める“燃費スペシャリスト”であることが大きな存在意義であり、同時に当時のハイブリッドのイメージを覆す操縦安定性もテーマとしていた。そのための“エアロルック+低重心”の象徴が、低い全高だったのだ。もっとも、新型アクアはそこまで極端ではなく、実際の全高は初代より30mm高い1485mm(FFの場合、4WDは1505mm)となっている。それでも、同じトヨタのヤリスも全高は1500mm(FF)。そもそも現行の国産Bセグメントハッチバックで、全高が1.5mを切る例はほかにない。

フロントまわりでは、最近のトヨタ車に共通する台形の大きなフロントグリルが特徴。直線と円弧を組み合わせたような意匠だった初代と比べると、やや有機的なイメージとなった。
フロントまわりでは、最近のトヨタ車に共通する台形の大きなフロントグリルが特徴。直線と円弧を組み合わせたような意匠だった初代と比べると、やや有機的なイメージとなった。拡大
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4050×1695×1485(1505)mmと、ライバルより低い車高が特徴。空力性能の高さが見た目にも感じられる。(カッコ内は4WD車の数値)
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4050×1695×1485(1505)mmと、ライバルより低い車高が特徴。空力性能の高さが見た目にも感じられる。(カッコ内は4WD車の数値)拡大
サイドビューでは、ルーフエンドへ向かってキックアップするショルダーラインが目を引く。
サイドビューでは、ルーフエンドへ向かってキックアップするショルダーラインが目を引く。拡大
ホイールベースは2600mmと、ライバルの「ホンダ・フィット」(2530mm)や「日産ノート」(2580mm)より長い。
ホイールベースは2600mmと、ライバルの「ホンダ・フィット」(2530mm)や「日産ノート」(2580mm)より長い。拡大

【インテリア/荷室/装備】
大幅に改善した内装の質感

大ヒット商品の初代アクアだったが、ユーザーからの不満でもっとも多かったのがインテリアの質感だという。それはアクアが上級車からのダウンサイザーを多く取り込んだからでもあり、とりわけ同じトヨタの「クラウン」からの乗り換え層を、無視できないマスとしてアクアは抱えることとなった。

よって、新型アクアではインテリア質感向上が大きな開発テーマとなった。一部にレザーパッドをあしらうなど素材面での工夫も見られるが、デザイン的には大型で使い勝手のいいセンターコンソールが「高級セダンから乗り換えても貧相に感じさせない」最大のポイントだという。

実際、新型アクアのセンターコンソールには、大型アームレストやドリンクホルダー、スマートフォンが置けるスライド式トレイなどが備わる。これはコストのかかるバイワイヤ化をしてインストゥルメントパネルにシフトレバーを移設したことで実現したものだ。さらには、このクラスでは「日産ノート オーラ」に次ぐ大画面となる10.5インチセンターディスプレイを用意するのも、ダウンサイザーを強く意識した結果だろう。

新型アクアでもうひとつの注目すべき点は、AC100V・1500Wの給電機能が全車に標準装備されることだ(ヤリスではオプション扱い)。設置箇所も、より使いやすいよう後席コンソール部に移設された。初代アクアは東日本大震災が起こった2011年に誕生し、生産拠点も岩手工場が選ばれた。それもあって、トヨタはアクアにデビュー当時から「震災復興の象徴」という役割を課しており、この給電機能には“災害対策”という意味合いも込められている。

既述の通りホイールベースは2600mmで、ヨーロッパ的に後席を割り切ったヤリスより50mm長い。これにより、後席には成人男性でも不足なく座れる程度の広さが得られた。ただし、国産コンパクトカーには広さ自慢の車種が多く、他社ライバルに対しては平均的といったレベルだろう。トランクも前記のように、ヤリスのそれより奥行きが長く(実測値で+約90mm)、容量もヤリスより15%ほど広い300リッターである。

初代より大幅に質感が向上したインテリア。操作系では、シフトセレクターがセンターコンソールからインストゥルメントパネルに移され、パーキングブレーキも手引き式から足踏み式に変更された。(写真:花村英典)
初代より大幅に質感が向上したインテリア。操作系では、シフトセレクターがセンターコンソールからインストゥルメントパネルに移され、パーキングブレーキも手引き式から足踏み式に変更された。(写真:花村英典)拡大
標準仕様のシートファブリックは「Z」「G」と「X」「B」とで異なり、また前者には合成皮革とストライプ柄ファブリックのコンビシートも用意される。写真はGに装備される標準仕様のファブリックシート。(写真:向後一宏)
標準仕様のシートファブリックは「Z」「G」と「X」「B」とで異なり、また前者には合成皮革とストライプ柄ファブリックのコンビシートも用意される。写真はGに装備される標準仕様のファブリックシート。(写真:向後一宏)拡大
ホイールベースと全高の拡大により、後席の居住性は向上。大きなドア開口部が実現する、乗降性のよさも特徴だ。(写真:向後一宏)
ホイールベースと全高の拡大により、後席の居住性は向上。大きなドア開口部が実現する、乗降性のよさも特徴だ。(写真:向後一宏)拡大
フロントセンターコンソールの背面にはAC100V・1500Wの非常時給電システム付きアクセサリーコンセントが標準装備される。
フロントセンターコンソールの背面にはAC100V・1500Wの非常時給電システム付きアクセサリーコンセントが標準装備される。拡大
荷室容量は仕様によって若干異なるが、スペアタイヤレスのデッキボード装着車で300リッター、床面が高くなる4WD車では205リッターとなる。
荷室容量は仕様によって若干異なるが、スペアタイヤレスのデッキボード装着車で300リッター、床面が高くなる4WD車では205リッターとなる。拡大

【バイヤーズガイド】
オススメは装備と価格のバランスがいい「G」

ラインナップの項で触れた通り、新型アクアに用意されるグレードは安価なほうからB、X、G、Zの4種類。全車にFFと4WDが用意される。同じグレードなら駆動方式による装備差はほとんどないが、荷室の「アジャスタブルデッキボード」の有無と、Bグレードのホイールサイズだけは異なる。アジャスタブルデッキボードは全グレードにおいてFFでは販売店オプション、4WDでは標準となり、またBグレードのホイールはFFが14インチ、4WDが(他グレードと共通の)15インチである。

もっとも安価なBグレードは、法人需要を意識して駆動用電池がバイポーラ型ニッケル水素式より安価な従来型のリチウムイオン式となるほか、安全装備も一部省略されるので、個人ユーザーにはおすすめしづらい。実質的にはXグレード以上の3種類からの選択となるだろう。

逆に最上級のZグレード特有の標準アイテムには、既述のスウィングバルブショックアブソーバー(フロント)のほか、アルミホイール、バイビーム式LEDヘッドランプ、ライン発光テールランプ、10.5インチディスプレイオーディオなどがあるが、他グレードではオプションでも手に入らないものは、基本的にスウィングバルブショックアブソーバーとライン発光テールランプ、そしてZ専用オプションとなるカラーヘッドアップディスプレイ程度である。

スウィングバルブショックアブソーバーは低速の乗り心地でメリットがあるものの、操縦性では好き嫌いが分かれそうで、個人的にはGグレード以下の通常ダンパーのほうが、全体に自然な感触で好ましいと思う。また、乗り味的にはほぼ同じといっていいGグレードとXグレードの間には14万円の価格差があるが、一部オプション扱いの先進運転支援システムを同じ内容でそろえると、実質的な価格差は8万円強にまで縮小。さらに本革巻きステアリングホイールやフロントアームレスト、ゴールド塗装のグリルモールなどは、Gグレードでしか手に入らない。こうした装備内容を考えると、ファーストカーとして乗るなら、Gグレードがベストバランスと思われる。

(文=佐野弘宗/写真=トヨタ自動車、向後一宏、花村英典/編集=堀田剛資)

駆動方式による装備の差は少なく、4WD車の荷室にアジャスタブルデッキボードが標準装備される程度。それも、FF車にも販売店オプションとして用意される。
駆動方式による装備の差は少なく、4WD車の荷室にアジャスタブルデッキボードが標準装備される程度。それも、FF車にも販売店オプションとして用意される。拡大
「B」グレードは予防安全装備の一部も簡素化されており、ブラインドスポットモニターや後退時パーキングサポートブレーキなどがオプションでも選択不可となる。
「B」グレードは予防安全装備の一部も簡素化されており、ブラインドスポットモニターや後退時パーキングサポートブレーキなどがオプションでも選択不可となる。拡大
多くの装備が標準で備わる「Z」グレードだが、同グレードにしか設定のないアイテムとなると限定的。オプションのヘッドアップディスプレイを除くと、ライン発光式のテールランプやインテリアのブロンズ装飾ぐらいだ。
多くの装備が標準で備わる「Z」グレードだが、同グレードにしか設定のないアイテムとなると限定的。オプションのヘッドアップディスプレイを除くと、ライン発光式のテールランプやインテリアのブロンズ装飾ぐらいだ。拡大
「G」グレードのインストゥルメントパネルまわり。革巻きのステアリングホイールやセンターアームレストなどは、「X」「B」にはオプションでも用意されない。
「G」グレードのインストゥルメントパネルまわり。革巻きのステアリングホイールやセンターアームレストなどは、「X」「B」にはオプションでも用意されない。拡大
ファーストカーとして使うのなら、価格と装備のバランスからいって「G」グレードがおすすめだ。(写真:向後一宏)
ファーストカーとして使うのなら、価格と装備のバランスからいって「G」グレードがおすすめだ。(写真:向後一宏)拡大
佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

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