ホンダ・ダックス125(4MT)
後ろに誰を乗せようか 2022.11.10 試乗記 ホンダから、往年のレジャーバイクを現代によみがえらせた「ダックス125」が登場! ユニークなスタイリングに、2人乗りのロングシートとクラッチレス変速機を組み合わせたニューモデルは、どんな人にオススメか? 実車に触れ、うらやましいその用途を想像した。ホンダの勢いが止まらない!
90ccよりさらに“マイティ”な21世紀のダックスフントが、ホンダ・ダックス125である。……って、2022年登場のニューモデルを紹介するにあたって1970年代の「マイティ ダックスST90」を引っ張り出すのもナンですが(「ST50/70」のデビューは1969年)、「モンキー」に続いて懐かしいモデルがしっかり成長して復活してきたことに、うれしさを隠しきれない二輪ファンも多いはず。
新生ダックスは、123cc SOHC空冷単気筒エンジン(9.4PS)に4段のロータリー式ギアボックスを組み合わせた原付二種バイク。クラッチ操作が不要なので、AT限定免許で乗れるレジャーバイクだ。価格は44万円。鮮やかな「パールネピュラレッド」と、青みがかったスモーキーな「パールカデットグレー」の2色が用意される。2人乗りもできる大きめサイズのシートクッションと、アクティブなアップマフラーが楽しい。
それにしても、昨今のホンダ原付二種モデルの充実ぶりには目を見張るばかり。125ccクラスには、スーパースターの豪華版「スーパーカブC125」を筆頭に、オフテイスト豊かな「CT125ハンターカブ」、街乗りイチバンの「モンキー125」、スポーティーにとがった「グロム」、忘れちゃいけない本格派「CB125R」がラインナップされ、さらに110ccクラスやスクーター、ビジネスバイクがあり、それぞれ順次改良の手が入って刷新されていく。バイク好きが歓喜する一方、ライバル各社は「ちょっと手がつけられない勢い」と感じているんじゃないでしょうか。
街乗りも遠乗りもお任せあれ
自社のコンポーネンツを巧みに組み合わせて、ユーザーニーズの網目を丹念に埋めていく。そんな覇者の戦略を採るホンダの最新モデルが、新しいダックス125である。モンキー125がリリースされたときにも感心したけれど、今回もレトロスペクティブなモデルとして、単にエンジンを拝借してデザインを引用しただけでないのがすごい。
フレームを兼ねる鋼板プレスの胴長ボディーは、かつての左右2分割から、底面をプラスした3ピース構造となった。そのうえ各部に補強を施し、大きくなったボディーやエンジンに必要な剛性の確保を図っている。
ダックスのアイデンティティーである燃料タンクを視覚的に感じさせないスタイルのために、エアクリーナーボックスや燃料タンクはシート下に押し込まれた。その恩恵で(!?)エンジンへのエアーの導入経路が直線的になり、トルク特性が向上したそう。スーパーカブC125の最大トルクは10N・m/6250rpm、ダックス125のそれは11N・m/5000rpmだ。
シート高は775mmに抑えられ、そもそも車重が107kgと軽いので気軽に乗り出せる。グリップの絶対的な位置は低めだが、窮屈さも一興だったホビーバイク的な要素はすっかり影を潜め、街乗りからちょっとした遠出までカバーできる、アップライトで自然な乗車姿勢をとれる。
先述のとおり、4段のトランスミッションは遠心クラッチを用いた一種のセミオートマチック。シフトのタイミングでスロットルを緩め、シーソー式になったペダルを前に踏み込むだけでギアを上げられる。走行中は4速からさらにペダルを踏んでも空振りになるが、停車時に限り4速からニュートラルに進めるのが、ストップ&ゴーの多い市街地ではありがたい。
かかと側を踏めばシフトダウンだが、その際、ペダルを踏んだタイミングではなく、戻したときに動力がつながるイメージで操作するとスムーズに走りやすいかも。「ロータリー式」なるナゾの単語におびえなくとも(!?)、ハッピーなダックスオーナーとなれば自然に体得されると思います。
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“2ケツ”できるアナタがうらやましい
低速ギアのカバー範囲が広く重なっているので、少々ズボラな運転も受け付ける。うっかり2速発進となっても、十分なトルクが供給されるのでさほど焦る必要はない。空冷単気筒を元気よく回せば、1速で40km/h超、2速ですでに60km/h超。幹線道路でも臆(おく)せず走ることができる。
ただ、それが車両の特性なのか、あるいは前荷重をかけづらいライディングポジションのせいか、撮影に際してダックスを運転したフォトグラファー氏いわく、「首(=ハンドル)の据わりが悪い」とのこと。つまり直進安定性より回頭性に重心を置いた印象を受ける。新しいダックス125のメインステージは、やはりクルクルと身軽に向きを変えて走る都市部ということになろう。
前後12インチの70偏平タイヤを履く足まわりは、ファニーな外観とは裏腹に意外と硬め。2人乗りをある程度現実的な用途と考え、荷重を高めに想定しているということか。ひとりで楽しむモンキーが80偏平タイヤでソフトな乗り心地なのとは対照的だ。なにはともあれ、アツアツのカップルが“2ケツ”する際には運転操作は少ないほうがいいから、その観点からもダックスのロータリー式4段ギアはありがたいかも。うーん、うらやましいぞ。
(文=青木禎之/写真=向後一弘/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=1760×760×1020mm
ホイールベース:1200mm
シート高:775mm
重量:107kg
エンジン:123cc 空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ
最高出力:9.4PS(6.4kW)/7000rpm
最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/5000rpm
トランスミッション:4段MT
燃費:65.7km/リッター(WMTCモード)
価格:44万円
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青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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