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マツダが「CX-5」をまたも商品改良! 後継は「CX-60」じゃなかったの?

2023.09.14 デイリーコラム 佐野 弘宗
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新しいマツダの始まり

マツダによると「CX-8」の生産が、早くてこの2023年末には終了することが確定したという。それは実質的な後継モデルである「CX-80」のデビューに合わせたものと思われる。CX-80が登場すると、発売済みの「CX-60」と「CX-30」を合わせて、2ケタ数字の最新マツダSUVが大・中・小の3機種でそろうことになる。

ここまでくると、いよいよマツダファンが気になって夜も眠れなくなるのが「じゃあ『CX-5』はどうなる?」問題である。

CX-8の生産終了が伝えられるいっぽうで、CX-5はこの2023年秋にもしっかり年次改良が実施されて、予約注文受け付けが開始された。少なくともCX-8と同時期の生産終了はないということだが、現行CX-5はすでにCX-8以上の長寿モデルになってしまっている。

そもそもCX-5は2012年2月に「新世代商品群」の第1弾として発売。それまでの日本車にはほとんど例がなかったクリーンディーゼルも話題となって大ヒット。その後に登場するマツダ車はすべて共通の基盤技術を使って登場したこともあり、まさに新しいマツダの礎(いしずえ)的な存在となった。

そんなCX-5は、2016年末にいち早くフルモデルチェンジする。ただし、プラットフォームは継続採用、車体サイズもほとんど変わらない超キープコンセプトだった。CX-5は現在も、発売から6年半以上が経過した2代目が継続販売されているのだ。

2023年9月4日に発表された「マツダCX-5」の最新モデル。内外装に細かなデザイン変更が施されている。
2023年9月4日に発表された「マツダCX-5」の最新モデル。内外装に細かなデザイン変更が施されている。拡大
「ジルコンサンドメタリック」をイメージカラーとする特別仕様車「レトロスポーツエディション」も設定された。
「ジルコンサンドメタリック」をイメージカラーとする特別仕様車「レトロスポーツエディション」も設定された。拡大
2012年発売の先代(初代)「CX-5」。クリーンディーゼルエンジンを搭載するなどして新世代のマツダ車を印象づけた。
2012年発売の先代(初代)「CX-5」。クリーンディーゼルエンジンを搭載するなどして新世代のマツダ車を印象づけた。拡大
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売れ続けるCX-5

ご記憶の向きも多いように、マツダは2021年7月に「クロスオーバーSUV商品群の拡充計画」として、それ以降のSUVラインナップの予定を発表した。そのなかではCX-30や海外向けの「CX-50」をエンジン横置きの「スモール商品群」、CX-60や近日発売予定のCX-80を縦置きの「ラージ商品群」と分類。さらに同じラージ商品群の「CX-70」や「CX-90」が北米メインの商品として投入されることも含めて、将来の商品計画が事細かに公表された。

いっぽうで、CX-5については「今後も継続的な商品改良によってデザインの深化やモデルラインナップの拡充を図るとともに(中略)大切に育てていく計画です」とされつつも、後継モデルについてはなにも語られなかった。

新しいSUV商品群のなかではCX-50がいかにもCX-5の後継機種っぽい名前だし、横置きエンジンというパッケージレイアウトもCX-5同様だが、日本での販売計画はない。CX-50は2021年時点で明記されていた北米に加えて、今では中国での販売もスタートしている。それでもなお日本導入される気配がないのは「1920mmという全幅が国内では受け入れられないから」だとマツダは説明する。

以上のことから考えても、マツダは少なくとも2021年時点では、CX-5の直接的な後継モデルは考えていなかった可能性が高い。このあたりのモデル計画は現在進行形であり、マツダ関係者も外部にはおいそれと教えてくれないので、予想するしかないが……。

ただ、CX-60が発売されたときも、開発陣は「CX-5から次に買い替えるクルマがなくて困っていたお客さまのため」と語っていた。また、世界的なセグメント分類でいえば、CX-60はDセグメントに、CX-30がCセグメントにあたる。その中間となるCX-5は今となっては直接的なライバルが不在の、中途半端なサイズといえなくもない。従来のCX-5の需要はCX-60とCX-30で分け合って吸収できる……とマツダが考えていたとしても不自然ではない。

しかし、現実はマツダのもくろみどおりにはいっていない。CX-60とCX-30がそろった今年上半期(2023年1~6月)の国内販売においても、CX-5はCX-60の次……つまりマツダで2番目に売れている。より手ごろな(はずの)CX-30より販売台数が多い。しかも、月別の販売台数ではいまだにCX-60の上をいくことも多く、実際に直近の7月と8月は、CX-5がマツダで1位の売り上げとなっている。

スモール商品群の最新モデルである「CX-50」。他のラインナップとは異なるオフロードイメージを打ち出しているが、日本には導入されていない。
スモール商品群の最新モデルである「CX-50」。他のラインナップとは異なるオフロードイメージを打ち出しているが、日本には導入されていない。拡大
生産終了が伝えられた「CX-8」。余命が短いにもかかわらず、2022年秋に大規模なデザイン変更を受けている。
生産終了が伝えられた「CX-8」。余命が短いにもかかわらず、2022年秋に大規模なデザイン変更を受けている。拡大
北米向けの最新3列シートSUV「CX-90」。日本向けの「CX-80」はまだ披露されていないが、これのナロー版になるのだろうか。見慣れぬボディーカラーは新色の予感。
北米向けの最新3列シートSUV「CX-90」。日本向けの「CX-80」はまだ披露されていないが、これのナロー版になるのだろうか。見慣れぬボディーカラーは新色の予感。拡大

なくすわけにはいかないポジション

この驚くべき粘り腰を見ていると、CX-5は中途半端どころか、ほどよいサイズにSUVらしい広さと実用性、そして魅力的な価格と、日本ではまさに“ちょうどいいマツダ”というほかないのだろう。CX-5の絶妙な存在感は海外でも変わらないようだ。CX-50が大ヒット中の北米でも、CX-5はしっかり継続販売されている。

そうこうしているうちに、マツダ関係者のCX-5にまつわる発言も微妙に変化してきた。昨年までは「CX-5は当面、継続販売されます。それ以上に申し上げることはありません」だったのが「これだけのご支持をいただいているのですから、なくすわけにはいきませんよねえ」となったのだ。うーん、微妙。

このなんともモヤモヤした状況にしびれを切らしたのか、なんとオーストラリアマツダの関係者が口を割った(笑)。この春、同国のメディアに「マツダの経営幹部も次世代CX-5が登場することを認めている」、そして「それは来年ではなく、その先の話」という趣旨の発言が、関係者のものとして取り上げられたのだ。

ちなみにオーストラリア市場ではCX-30、CX-60、CX-90がラインナップされるが、日本と同じくCX-50は導入されない。日本同様に、CX-5の存在感がいまだに大きい。

その言葉を信じれば、次期CX-5は早くて2025年にデビューすることになる。いずれにしても、現行の2代目CX-5は10年近い長寿になるわけで、やはり一時的にはモデル廃止の方向で考えられていた可能性が高い。さらに続報によると、次期CX-5(車名はどうなるか不明だが)もエンジン横置きで、今でいうスモール商品群に属する。全幅は北米や中国で販売されるCX-50よりはナローになることは確実で、CX-30とCX-60の中間の、ちょうどいい存在感は受け継がれることだろう。

もちろん、マツダはCX-5の後継モデルについて、現時点では公式にあるともないとも語っていない。ただ、現状を見るかぎり、マツダ関係者の言葉ではないが、CX-5は「なくすわけにはいきませんよね」な存在であることは事実だ。

(文=佐野弘宗/写真=マツダ/編集=藤沢 勝)

マツダ関係者が「なくすわけにはいかない」と語る「CX-5」。最新のスモール商品群とラージ商品群のどちらにも属さないことになるが、コンスタントに売れ続けている。
マツダ関係者が「なくすわけにはいかない」と語る「CX-5」。最新のスモール商品群とラージ商品群のどちらにも属さないことになるが、コンスタントに売れ続けている。拡大
「CX-5」と同じ2023年9月4日に最新モデルが発表された「CX-30」。
「CX-5」と同じ2023年9月4日に最新モデルが発表された「CX-30」。拡大
2015年発売ながら「CX-3」もまだまだ元気だ。
2015年発売ながら「CX-3」もまだまだ元気だ。拡大
佐野 弘宗

佐野 弘宗

自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。

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