いよいよ“セダンの時代”がやってくる!? 2024年春発売の新型「ホンダ・アコード」に注目せよ!
2023.10.09 デイリーコラムセダンはスポーツカーのようになる!
すさまじい勢いで、セダンばなれが進んでいる。セダン冬の時代の材料を列挙したらキリがない。
しかし、世情とは逆に、個人的にはセダン愛が年々深まり、「BMW 3シリーズ」(先代)に続いて、現在は「プジョー508」(現行型)を愛車にしている。カーマニアとしては、「今こそセダンが旬!」と確信しているのだ。いったいナゼか? 理由は以下の3つだ。
その1:マニア特有の逆張り
マニアは常に世間の逆をいかなくてはいけない。「一般人にはわかるまい」という選民精神が基本!
その2:ダメセダンの淘汰(とうた)
ここ20年間で、大量にラインナップされていたカッコ悪いセダンたちが次々と絶版となった。かつては「セダン≒ダサイ」という先入観すらあったが、現在、ダサいセダンはほとんど死に絶えた。
その3:適者生存の法則
いま生き残っているセダンは、選ばれしエリートぞろいであり、ほとんど全部カッコいい。こうなるともはや「セダン=カッコイイ」という公式が成立してしまう。
私は、「セダン冬の時代は底を打った!」と見ている。セダンは落ちるところまで落ちた。その過程で新陳代謝が進み、健全化した。ここからはもう上昇するしかない。再び天下を取ることはないにせよ、存在感は高まっていくはずだ。
わかりやすく言えば、今後セダンはスポーツカーのような存在になる。一部のマニアが深く愛する、なくてはならないクルマ界の宝になっていくのだ!
どれも「セダン」でいいじゃないか
折も折、うれしいニュースが飛び込んできた。ホンダが2024年春、新型「アコード」を日本市場に投入するという。
ホンダはここ数年間で、国内向けのセダンをすさまじい勢いで廃止した。車名を列挙すると「グレイス」「シビック セダン」「レジェンド」「クラリティ」「インサイト」の6モデルだ。まさにセダン淘汰の見本。
しかし、2年前に投入した新型シビックは、欧州製スポーツセダンの香りが濃厚で、カーマニアを中心にかなりの支持を集めている。それは決して「タイプR」人気にとどまらない。普通のシビックも間違いなくカッコいいし、「e:HEV」の走りは猛烈に気持ちいい。私はタイプRよりも、シビックe:HEVに強くほれ込んでいる。
現行シビックは、厳密にはセダンではなく5ドアハッチバックだが、絶滅危惧種をつかまえて、そんな細かいことを言ってる場合じゃない。わが愛車のプジョー508だって5ドアハッチバックだけど、「セダン」と呼ばれている。この際めんどうくさいので、あのテのクルマは全部セダンってことにさせてくれませんか? アウディの「スポーツバック」も全部。
新型アコードは、典型的なファストバックセダンだ。独立したトランクは持っているけれど、シルエットは“スポーティーなデカいシビック”である。まだ写真を見ただけだが、雄大でスカした感じで、間違いなくカッコいい。
新型「アコード」こそ“セダンの王道”
実を言えば、先代アコードもかなりカッコよかった。走りも良くて、どこにも欠点がなかった。ただ、コアなマニア層を購入に踏み切らせるだけの材料が足りなかった。
新型はもうちょいいけそうな気がする。先代よりさらに少しカッコよくなったし、パワートレインはシビックe:HEVの進化形。そう聞いただけで胸が高鳴る。
「もうちょいいけそう」とは言っても、あくまでもうちょい止まりになる可能性は高いけれど、クルマ好きとしては、新型アコードは間違いなく好きなタイプ。そういうコがひとり増えるだけでうれしいんです! 大歓迎なんですよ!
現在国内市場では、「プリウス」人気がさく裂し、「クラウン クロスオーバー」も好評だ。セダンばなれが進み切った日本では、文字どおりセダンばなれしたセダン系の2台がまず売れている。でも私は、今後のセダンの王道は、もうちょいフォーマルなファストバックスタイルだと踏んでいる。つまり新型アコードのセンだ。
このセンは近い将来、コアなマニアの大好物になるだろう。わが508が、こぞって「カッコいいですね」とほめられるのだから。
5年後、新型アコードは、「知る人ぞ知るマニアック名車」になっているのではないだろうか。
(文=清水草一/写真=清水草一、花村英典、トヨタ自動車、webCG/編集=関 顕也)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
米国に130億ドルの巨額投資! 苦境に立つステランティスはこれで再起するのか? 2025.10.31 ジープやクライスラーなどのブランドを擁するステランティスが、米国に130億ドルの投資をすると発表。彼らはなぜ、世界有数の巨大市場でこれほどのテコ入れを迫られることになったのか? 北米市場の現状から、巨大自動車グループの再起の可能性を探る。
-
なぜ“原付チャリ”の排気量リミットは50ccから125ccになったのか? 2025.10.30 “原チャリ”として知られてきた小排気量バイクの区分けが、2025年11月生産の車両から変わる。なぜ制度は変わったのか? 新基準がわれわれユーザーにもたらすメリットは? ホンダの新型バイク発売を機に考える。
-
クロスドメイン統合制御で車両挙動が激変 Astemoの最新技術を実車で試す 2025.10.29 日本の3大サプライヤーのひとつであるAstemoの最先端技術を体験。駆動から制動、操舵までを一手に引き受けるAstemoの強みは、これらをソフトウエアで統合制御できることだ。実車に装着してテストコースを走った印象をお届けする。
-
デビューから12年でさらなる改良モデルが登場! 3代目「レクサスIS」の“熟れ具合”を検証する 2025.10.27 国産スポーツセダンでは異例の“12年モノ”となる「レクサスIS」。長寿の秘密はどこにある? 素性の良さなのか、メーカー都合なのか、それとも世界的な潮流なのか。その商品力と将来性について識者が論じる。
-
自動車大国のドイツがNO! ゆらぐEUのエンジン車規制とBEV普及の行方 2025.10.24 「2035年にエンジン車の新車販売を実質的に禁止する」というEUに、ドイツが明確に反旗を翻した。欧州随一の自動車大国が「エンジン車禁止の撤廃に向けてあらゆる手段をとる」と表明した格好だが、BEVの普及にはどんな影響があるのか?
-
NEW
これがおすすめ! 東4ホールの展示:ここが日本の最前線だ【ジャパンモビリティショー2025】
2025.11.1これがおすすめ!「ジャパンモビリティショー2025」でwebCGほったの心を奪ったのは、東4ホールの展示である。ずいぶんおおざっぱな“おすすめ”だが、そこにはホンダとスズキとカワサキという、身近なモビリティーメーカーが切り開く日本の未来が広がっているのだ。 -
NEW
第850回:10年後の未来を見に行こう! 「Tokyo Future Tour 2035」体験記
2025.11.1エディターから一言「ジャパンモビリティショー2025」の会場のなかでも、ひときわ異彩を放っているエリアといえば「Tokyo Future Tour 2035」だ。「2035年の未来を体験できる」という企画展示のなかでもおすすめのコーナーを、技術ジャーナリストの林 愛子氏がリポートする。 -
NEW
2025ワークスチューニンググループ合同試乗会(前編:STI/NISMO編)【試乗記】
2025.11.1試乗記メーカー系チューナーのNISMO、STI、TRD、無限が、合同で試乗会を開催! まずはSTIの用意した「スバルWRX S4」「S210」、次いでNISMOの「ノート オーラNISMO」と2013年型「日産GT-R」に試乗。ベクトルの大きく異なる、両ブランドの最新の取り組みに触れた。 -
NEW
小粒でも元気! 排気量の小さな名車特集
2025.11.1日刊!名車列伝自動車の環境性能を高めるべく、パワーユニットの電動化やダウンサイジングが進められています。では、過去にはどんな小排気量モデルがあったでしょうか? 往年の名車をチェックしてみましょう。 -
NEW
これがおすすめ! マツダ・ビジョンXコンパクト:未来の「マツダ2」に期待が高まる【ジャパンモビリティショー2025】
2025.10.31これがおすすめ!ジャパンモビリティショー2025でwebCG編集部の櫻井が注目したのは「マツダ・ビジョンXコンパクト」である。単なるコンセプトカーとしてみるのではなく、次期「マツダ2」のプレビューかも? と考えると、大いに期待したくなるのだ。 -
NEW
これがおすすめ! ツナグルマ:未来の山車はモーターアシスト付き【ジャパンモビリティショー2025】
2025.10.31これがおすすめ!フリーランサー河村康彦がジャパンモビリティショー2025で注目したのは、6輪車でもはたまたパーソナルモビリティーでもない未来の山車(だし)。なんと、少人数でも引けるモーターアシスト付きの「TSUNAGURUMA(ツナグルマ)」だ。







































