シボレー・コルベット クーペ3LT(前編)

2023.10.26 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 トヨタでスポーツカー開発に携わってきた多田哲哉さんが、アメリカを代表する一台である「シボレー・コルベット」に試乗。初めてMRの駆動方式を採用した、最新型に対する評価やいかに?
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やっぱり道がクルマをつくる

「86」や「GRスープラ」の開発を手がけた多田さんは、ポルシェには一目も二目も置いている。86では「『ケイマン』より低い重心高」を目標としたというし、GRスープラでは開発パートナーであるBMWに「ポルシェに勝ちたい」とたんかを切ったほどだ。とはいえ、86もGRスープラも最大市場はやはり北米である。

「コルベットもトヨタで買いましたね。スープラの開発中にちょうど先代が出たので、そのMT仕様をアメリカから輸入しました。スープラとは路線が違いますが、コルベットに乗ると、アメリカ人の嗜好(しこう)がよくわかります」

「コルベットはFR時代から、いかにもアメリカのスポーツカーだなという印象です。その乗り味は一般的に言われる“大味”とも少し違って、あの独特のおおらかさはアメリカの道に適合させた結果なんです」

「アメリカのハイウェイは、日本の皆さんが想像するより、はるかにひどい道です(笑)。日本でいう“悪い道”とか“荒れている”なんてレベルではなく、下手をするとタイヤが破裂するのも日常茶飯事みたいな道も、普通に放置されていたりします」

「ですから、スポーツカーといえども、乗り心地やバーストに対して相当に注意してつくらないと、アメリカでは“そもそも乗っていられない”という代物になりかねません。アメリカのスポーツカーの代表でもあるコルベットも、当然そういうことを考えて、アメリカの広い大地を普通に移動できる乗り心地や耐久性を確保したうえで、地道にスポーツカー度を引き上げてきたんだと思います」と多田さん。

「道がクルマをつくる」とは、最近のトヨタも好んで使っている言葉だ。

 
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