「フェアレディZ NISMO」と「スカイライン NISMO」 ふたつのNISMOはどちらが買いか?
2024.01.22 デイリーコラム妄想によるバトルのゆくえは……
新型「Z」の古典的なフォルムを見るたびにウットリする。私は「32Z」の元オーナーだけれど、Zといえばやっぱり初代の「S30」が一番カッコいい。それを復活させた新型Zには胸が熱くなる。
だからこそ余計に、新型Zのことは忘れてしまいたい。買いたくても買えないクルマのことなんて! 日産側にすれば、「われわれはこれまでの販売実績に基づいて生産計画を立てただけ」「想定を大きく超える受注が殺到したのは市場の勝手」かもしれないが、買えないクルマの限定モデル(NISMO)を出して、「通常モデルからの注文変更に限り承ります」ってんだから、勝手にしろや! と言いたくなる。
対する現行「スカイライン」のデザインには、最初から何ひとつビビビとこない。若かりし頃、32Zと「32GT-R」が出た時、どっちにしようか一瞬迷ってカッコ優先でZを選んだが、現在のスカイラインはまったくの他人。なのに「400R」の走りには電気が走った。私は新型Zとスカイライン400RのV6ツインターボが大好きなのである。
日産のオフィシャルサイトによると、スカイラインの納期は「3~4カ月程度」となっている。つまり400Rも3~4カ月で買えるらしい。「マジすか?」と叫びたくなる。ただし「スカイラインNISMO」だけは「詳しくは販売店にお問い合わせください」となっていて、すでに全国のディーラーで抽選が終わっているらしい。
結局、フェアレディZもスカイラインも、NISMOは買えない(Zはノーマルも)。そんなモデルを「どっちが買いか?」なんて考えても無意味だが、われわれカーマニアは妄想購入が趣味。買えようが買えまいが妄想は自由なので、勝手にどっちがいいか妄想してみよう。私はどっちも未試乗なので、まさに妄想です。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
数字だけでは決まらない
まずスペックを比較しよう。エンジンは3リッターV6 DOHCツインターボの最高出力420PS、最大トルク520N・m(ノーマルに対して+15PS、+75N・m)と同じなので、それ以外の部分をざっと。
<トランスミッション>
- フェアレディZ NISMO:9段AT
- スカイラインNISMO:7段AT
ZのATは新開発の9段なのに対して、スカイラインは従来の7段だ。新しいほうがいいことは間違いなかろうが、9段は段数が多すぎて楽しむのが難しい面もある。その点7段は、タラタラ流していても回転の上昇が多少は味わえるし、やや大味なぶん、アクセルをバコンと踏み込んだ時の加速がアメ車っぽく豪快に感じられる気がする。つまり、7段ATにハンディはない。
それより、Z NISMOに6段MTの設定がないことのほうが衝撃だ。それがあれば、もっと祭りになっていただろうに。
<車両重量>
- フェアレディZ NISMO:1680kg
- スカイラインNISMO:1760㎏
その差80kg。ノーマル同士の重さの差は特に感じないので、NISMOでも似たようなものだろう。
では外観的なところはどうか?
違いは価格と実用性
<ボディーサイズ>
- フェアレディZ NISMO:全長4410mm、ホイールベース2550mm
- スカイラインNISMO:全長4835mm、ホイールベース2850mm
全長もホイールベースも明らかに違う、Zがスポーツカー的なのに対してスカイラインはGT的だ。でも、どっちもそれほど走りを突き詰めたモデルじゃなく、「アクセルを踏むとビューンと加速する」っていうアメ車っぽいクルマなので、個人的には似たようなもんだと思っている。
<デザイン>
カッコよさは100:1くらいでZの勝ち。Z NISMOはGノーズっぽく鼻先が少し延長されているのもイイ。ただ、Z NISMOに対しては、カーマニアから冷たい視線が刺さりそうだ。
その点スカイラインを見る目はだいぶ温かいだろう。NISMOの赤い縁取りも、高い軍事的プレゼンスを発揮してくれそうだ。そしてスカイラインは5シーター。実用性は圧倒的にスカイラインだ。
<価格>
- フェアレディZ NISMO/920万円
- スカイラインNISMO/788万円
ノーマル同士はこれほど違わないが、NISMOはZのほうが132万円も高い。高すぎるんじゃないか。転売ヤー的な思惑を排除すれば、Zなら断然ノーマルだ。まぁどっちも買えないわけですが。
逆にスカイラインなら「いっそのことNISMO」という選択肢もアリだ(買えないけれど)。あの赤いラインは多少気恥ずかしいが、「どうだ、NISMOだぞ!」と周囲に見せつけるのも悪くない。
ということで、結論として、スカイラインNISMOの勝ちです! でも買えるのはスカイライン400Rだけ。1台買っときますか? これはこれで、こんなの買える機会はこれが最後かもしれないし。
(文=清水草一/写真=日産自動車、向後一宏、webCG/編集=関 顕也)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
ホンダアクセスが手がけた30年前の5代目「プレリュード」に「実効空力」のルーツを見たNEW 2026.2.12 ホンダ車の純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスがエアロパーツの開発に取り入れる「実効空力」。そのユニークなコンセプトの起点となった5代目「プレリュード」と最新モデルに乗り、空力パーツの進化や開発アプローチの違いを確かめた。
-
誰にいくらでどうやって? トヨタの「GR GT」の販売戦略を大胆予測 2026.2.11 トヨタが「GR GT」で世のクルマ好きを騒がせている。文字どおり一から開発したV8エンジン搭載のスーパースポーツだが、これまでのトヨタのカスタマーとはまるで違う人々に向けた商品だ。果たしてどんな戦略で、どんな人々に、どんな価格で販売するのだろうか。
-
ガス代は下落しハイブリッド好調 では“燃費の相場”はどうなっている? 2026.2.9 暫定税率は廃止となり、高止まりしていた燃料代は下落。一方でBEV化の速度は下がり、ハイブリッド車需要が高まっている。では、2026年現在の燃費はいかほどか? 自動車購入時の目安になるであろう“燃費の相場”について考える。
-
ホンダの「Hマーク」がいよいよ刷新! ブランドロゴ刷新の経緯とホンダのねらい 2026.2.6 長く親しまれたホンダ四輪車のロゴ、通称「Hマーク」がついに刷新!? 当初は「新しい電気自動車用」とされていた新Hマークは、どのようにして“四輪事業全体の象徴”となるに至ったのか? 新ロゴの適用拡大に至る経緯と、そこに宿るホンダの覚悟を解説する。
-
ライバルはGR? ホンダが発表したHRCのモデルラインナップとその狙いに迫る 2026.2.5 ホンダが東京オートサロン2026で、HRC(ホンダ・レーシング)の名を冠したコンセプトモデルを6台同時に発表した。ホンダのカスタマイズカーとして知られるモデューロや無限との違い、そしてHRCをメジャーシーンに押し上げる真の狙いを解説する。
-
NEW
三菱デリカミニTプレミアム DELIMARUパッケージ(前編)
2026.2.12あの多田哲哉の自動車放談イメージキャラクターの「デリ丸。」とともに、すっかり人気モノとなった三菱の軽「デリカミニ」。商品力の全体的な底上げが図られた新型のデキについて、元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんが語る。 -
NEW
ホンダアクセスが手がけた30年前の5代目「プレリュード」に「実効空力」のルーツを見た
2026.2.12デイリーコラムホンダ車の純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスがエアロパーツの開発に取り入れる「実効空力」。そのユニークなコンセプトの起点となった5代目「プレリュード」と最新モデルに乗り、空力パーツの進化や開発アプローチの違いを確かめた。 -
NEW
第948回:変わる時代と変わらぬ風情 「レトロモビル2026」探訪記
2026.2.12マッキナ あらモーダ!フランス・パリで開催されるヒストリックカーの祭典「レトロモビル」。客層も会場も、出展内容も変わりつつあるこのイベントで、それでも変わらぬ風情とはなにか? 長年にわたりレトロモビルに通い続ける、イタリア在住の大矢アキオがリポートする。 -
NEW
第287回:宝石を盗んで西海岸のハイウェイを駆け抜けろ! 『クライム101』
2026.2.12読んでますカー、観てますカーハイウェイ101で発生する宝石盗難事件はいつも迷宮入り。「ダッジ・チャレンジャー」で素早く逃走する犯人の犯罪心得は、殺さず、傷つけず、証拠を残さないこと。泥棒、刑事、保険ブローカーが華麗なる頭脳戦を繰り広げる! -
日産リーフB7 G(FWD)【試乗記】
2026.2.11試乗記フルモデルチェンジで3代目となった日産の電気自動車(BEV)「リーフ」に公道で初試乗。大きく生まれ変わった内外装の仕上がりと、BEV専用プラットフォーム「CMF-EV」や一体型電動パワートレインの採用で刷新された走りを、BEVオーナーの目線を交えて報告する。 -
誰にいくらでどうやって? トヨタの「GR GT」の販売戦略を大胆予測
2026.2.11デイリーコラムトヨタが「GR GT」で世のクルマ好きを騒がせている。文字どおり一から開発したV8エンジン搭載のスーパースポーツだが、これまでのトヨタのカスタマーとはまるで違う人々に向けた商品だ。果たしてどんな戦略で、どんな人々に、どんな価格で販売するのだろうか。









































