メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー(4WD)/G500(4WD/9AT)/G450d(4WD/9AT)/メルセデスAMG G63(4WD/9AT)
“G”の名に懸けて 2024.05.14 試乗記 「メルセデス・ベンツGクラス」がマイナーチェンジ。最大のトピックは電気自動車(BEV)版の「G580 with EQテクノロジー」がラインナップに加わったことだ。この電気仕掛けのGクラスをひとことで表すならば、「最強のオフローダー」である。その場で回れる「Gターン」
「クルマを停止させてブレーキペダルを踏んだまま、センターコンソールの『Gターン』のスイッチを押します。アスファルトやコンクリートの路面は推奨しません。画面には右回りか左回りかの矢印が出るので、右回りが希望なら右のパドルを、左回りなら左のパドルを引きます。ステアリングは中立のまま絶対に動かさないでください。動かすとその時点でGターンは解除されます。パドルを引いたらブレーキペダルをリリースしでください。するとクルマは回転を始めます。パドルを引いたままなら2回転して自動的に止まります。パドルを戻した時点でも止まります。さあどうぞ」
インストラクターにそう言われてパドルを引いて恐る恐る右足を緩めた自分は、クルマが回転し始めた瞬間に無意識にステアリングを切ってしまい直ちに停止した。ステアリングを切らないのに車両が向きを変えるなんて経験値が自分のメモリーには存在しないから、回転し始めた方向にとっさにステアリングを回してしまったのである。あらためてリベンジを試みると、クルマはその場でクルクルと2回転して止まった。1回転に要する時間は4秒だから、約8秒間回っていたことになるがそれよりもずっと早く感じた。フィギュアスケートの選手がスピンをしているときの風景ってきっとこんな感じなのかもしれない。それに似たことをまさかクルマで体験できる日がくるなんて、カール・ベンツもゴットリープ・ダイムラーも夢にも思わなかっただろう。ましてやそれが自分のブランドの、本格オフローダーのGクラスなんて。自動車はなんともエライ時代に突入したものである。
4輪を個別に制御できる
Gターンは新型GクラスのBEV版であるG580 with EQテクノロジーで試すことができる。Gターン以外にも「Gステアリング」というボタンもある。これは例えば鋭角なコーナーやUターンで、そのままだと何度か切り返さないといけないような場面で使用する。速度は25km/hまでと制限されるが、Gステアリングのボタンを押してステアリングを切ると、イン側の後輪を止めてイン側の前輪はわずかに動かし、アウト側の前後輪に駆動力を最大限までかけてターンをするという仕組みである。Gターンよりは現実的な機能で、これならば日常でも使える局面に遭遇するかもしれない。
GターンもGステアリングも、それを可能にしたのは各車輪に1つずつモーターを配置して、それらを個別に制御しているからだ。個別に制御すると、オフロード走行では重宝するデフロックも、デフは存在しないのに仮想的に似たような状態をつくり出すことが可能となるし、「前後(左右)駆動力配分」という概念もそれを語ることにあまり意味がなくなる。状況に応じて必要な車輪に最適な駆動力を(電気だから)瞬時に与えられるわけだ。グラベルのようなオフロードをテストドライバーの運転で同乗したが、ちょっとグロッキーになるくらいの速さで疾走して度肝を抜かれた。とにかく4輪の接地性に優れており、常に全輪にしっかりとトラクションがかかっているので見る見るうちに速度が上がっていくものの、スタビリティーは極めて高いままだった。正直、ここまでの走破性を備えているとは思っていなかったので、いい意味で期待を大きく裏切られたのである。
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渡河水深能力でも最強
G580は「電気自動車のGクラス」で、Gターンなんかに注目が集まるから、Gクラス本来の持ち味であるオフロード走破性がおろそかになっているのではないかと懸念したが、それはまったくの杞憂(きゆう)だった。それどころか、ラダーフレームの隙間に埋め込んだバッテリーのおかげでフレームの剛性は内燃機よりも上がり、バッテリー部分を完全防水化したので渡河水深は内燃機の750mmから850mmに増え、デフがなくなったことで最低地上高も高くなったという。G580は正真正銘のオフローダーだった。
いっぽうで、オンロードでは静かなGクラスである。好みに応じて、エンジン音のようなサウンドを車内外のスピーカーから出すことも可能だ。「ヒュイーン」などのいわゆるBEV音はGクラスには似合わないということで、あえてエンジン音に似せたとのこと。ドライブモードで「スポーツ」を選ぶと「G63」みたいな音も聞ける。ただし、乗り心地に関しては改善の余地があった。試乗後にエンジニアが真っ先に「乗り心地はどうだった?」と聞いてきたので、彼らも認識しているのだろう。現状ではダンパーの減衰が足りておらず、ばね上の動きがなかなか収まらない。G580の生産はまだ始まっていないそうで、量産までには修正するそうだ。
パワースペックはG580が最高出力587PS/最大トルク1164N・mで、メルセデスAMGのG63が585PS/850N・m、ガソリンの「G500」が449PS/560N・m、ディーゼルの「G450d」が367PS/750N・mなので出力・トルクともにG580が最強である。
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開発チームの執念
G500とG450dのサスペンションに大きな変更はない。ISG化により、モーターとバッテリーなどのぶんだけ車両重量が増加したため、それに対応するべく最小限の調整を行ったとのこと。その言葉どおり、ハンドリングと乗り心地に関しては従来型をほぼ踏襲している。正確な操縦性とオンロードでの快適な乗り心地は健在だ。モーターによるサポートが顕著に分かるのはG450dのほうだろう。従来型ではアクセルペダルを踏んでから加速が始まるまでにほんのわずかな“タメ”があったのだけれど、それがほとんど消え去っている。つまり、市街地などのストップ&ゴーを繰り返すような場面ではより扱いやすくなった。そして当然のことながら燃費もよくなっている。ざっくり20%近くは向上していると思われる。
G63は、パワートレインよりも足まわりの変化が大きい。今回からオプションで選べるようになった「AMGアクティブライドコントロールサスペンション」は、4本のダンパーを回路でつないで状況に応じてオイルを必要な車輪へ融通する仕組み。これがオフロードで威力を発揮した。G580のグラベル走行で度肝を抜かれたと書いたけれど、それに匹敵するかそれ以上の速さで不整路をガンガン突き進む。オフロードをあんな速さで走るAMGを初めて見た。
GターンにしてもG63のオフロード走行にしても、「いつどこでそんなことするのよ?」と若干非現実的であることは確かである。特に都内で異様に見かけるGクラスのほとんどは、オフロード走行など経験したことがないだろう。でも、たとえ使われる頻度が少なくてもそれがGクラスである以上、比類なきオフロード走破性はマストであり、今回はBEVのG580とAMGのG63でもそれを成立させたという点に、開発チームの執念のようなものを感じずにはいられないのである。
(文=渡辺慎太郎/写真=メルセデス・ベンツ/編集=藤沢 勝)
これがその場で旋回できる驚異の新機能“Gターン”だ! メルセデスのプロダクトマネージャーが「G580 with EQテクノロジー」の特徴を動画で解説!
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テスト車のデータ
メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4624×1931×1986mm
ホイールベース:2890mm
車重:3085kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機×2
リアモーター:交流同期電動機×2
フロントモーター最高出力:147PS(108kW)<1基あたり>
フロントモーター最大トルク:291N・m(29.7kgf・m)<1基あたり>
リアモーター最高出力:147PS(108kW)<1基あたり>
リアモーター最大トルク:291N・m(29.7kgf・m)<1基あたり>
システム最高出力:587PS(432kW)
システム最大トルク:1164N・m(118.7kgf・m)
タイヤ:(前)265/60R18/(後)265/60R18
交流電力量消費率:30.4-27.7kWh/100km(約3.3-約3.6km/kWh。WLTPモード)
一充電走行距離:433-473km(WLTPモード)
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロード&オフロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
メルセデス・ベンツG450d
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4825×1931×2042mm
ホイールベース:2890mm
車重:2555kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:9段AT
エンジン最高出力:367PS(270kW)/4000rpm
エンジン最大トルク:750N・m(76.5kgf・m)/1350-2800rpm
モーター最高出力:20PS(15kW)
モーター最大トルク:200N・m(20.4kgf.m)
タイヤ:(前)265/60R18/(後)265/60R18
燃費:10.0-8.7リッター/100km(10.0-約11.4km/リッター、WLTCモード)
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロード&オフロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(軽油)
参考燃費:--km/リッター
メルセデス・ベンツG500
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4825×1931×2042mm
ホイールベース:2890mm
車重:2485kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ
トランスミッション:9段AT
エンジン最高出力:449PS(330kW)/6100rpm
エンジン最大トルク:560N・m(57.1kgf・m)/1950-5500rpm
モーター最高出力:20PS(15kW)
モーター最大トルク:200N・m(20.4kgf.m)
タイヤ:(前)265/60R18/(後)265/60R18
燃費:12.3-10.9リッター/100km(約8.1-約9.2km/リッター。WLTCモード)
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロード&オフロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
メルセデスAMG G63
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4873×1984×1971mm
ホイールベース:2890mm
車重:2640kg
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:9段AT
エンジン最高出力:585PS(430kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:850N・m(86.7kgf.m)/2500-3500rpm
モーター最高出力:20PS(15kW)
モーター最大トルク:200N・m(20.4kgf.m)
タイヤ:(前)275/50R20/(後)275/50R20
燃費:15.7-14.7リッター/100km(約6.4-約6.8km/リッター、WLTPモード)
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロード&オフロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 慎太郎
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