第120回:幽玄なるBMWアルピナ(前編) ―日本でも愛された「控えめの美学」にこの先の未来はあるか?―

2026.07.15 カーデザイン曼荼羅 渕野 健太郎清水 草一
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新生BMWアルピナの未来像を示すコンセプトモデル「ビジョンBMWアルピナ」。
新生BMWアルピナの未来像を示すコンセプトモデル「ビジョンBMWアルピナ」。拡大

日本でもファンの間で熱く支持されてきたBMWアルピナ。創業家の手を離れ、BMWの傘下となったこのブランドだが、その未来を示唆するショーカーが世界初公開された。新生アルピナはどこへ向かおうとしているのか? 日本でも愛された「控えめの美学」は健在か? カーデザインの識者と考えた。

1965年の創立以来、BMW車をベースとしたクルマづくりをしながらも、一個の自動車メーカーとして独立を守ってきたBMWアルピナ。しかし2022年3月にBMWへのブランド売却が発表され、2026年1月に、正式に同グループ傘下のラグジュアリーブランドとして再始動した。
1965年の創立以来、BMW車をベースとしたクルマづくりをしながらも、一個の自動車メーカーとして独立を守ってきたBMWアルピナ。しかし2022年3月にBMWへのブランド売却が発表され、2026年1月に、正式に同グループ傘下のラグジュアリーブランドとして再始動した。拡大
年産2000台にも満たない、エクスクルーシブなブランドだったBMWアルピナにとって、日本は世界販売の1/4~1/5を占める比重の大きなマーケットだった。日独で同時に新型車が世界初公開されたり、東京モーターショーへの出展を続けたりしていたのは、そのためだ。写真は2022年3月の「B4グランクーペ」の発表会の様子。
年産2000台にも満たない、エクスクルーシブなブランドだったBMWアルピナにとって、日本は世界販売の1/4~1/5を占める比重の大きなマーケットだった。日独で同時に新型車が世界初公開されたり、東京モーターショーへの出展を続けたりしていたのは、そのためだ。写真は2022年3月の「B4グランクーペ」の発表会の様子。拡大
「ビジョンBMWアルピナ」は、2026年5月の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」で世界初公開された。プレゼンテーターを務めたのは、BMWグループのデザインを統括する、エイドリアン・ファン・ホーイドンク氏である。
「ビジョンBMWアルピナ」は、2026年5月の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」で世界初公開された。プレゼンテーターを務めたのは、BMWグループのデザインを統括する、エイドリアン・ファン・ホーイドンク氏である。拡大
コモ湖を見下ろす展示台に置かれた「ビジョンBMWアルピナ」。写真のとおり、発表会には多くの人が詰めかけた。
コモ湖を見下ろす展示台に置かれた「ビジョンBMWアルピナ」。写真のとおり、発表会には多くの人が詰めかけた。拡大

BMWとロールス・ロイスの間に

webCGほった(以下、ほった):今回のテーマはアルピナ! BMWアルピナです!

清水草一(以下、清水):またマニアックなところを突いてきたね。オレの苦手分野だよ。

ほった:今後はそうも言ってられんですぞ。アルピナはこれまでの「少量生産の独立系コンプリートカーメーカー」から、「BMWグループの上級ブランド」に生まれ変わるので、あらためて見ていかないと。

渕野健太郎(以下、渕野):ポジショニングがかなり変わりますね。

ほった:そうなんです。BMWの完全な傘下になったことで、外部のメーカーではなくグループのいちブランドとして扱われるかたちになります。イメージとしては、BMWよりも上、ロールス・ロイスより下、という絶妙なレイヤーに収まるわけですよね。

渕野:それってメルセデスで言うところのマイバッハみたいな雰囲気かな。