ホンダ・フリードGiエアロ(FF/CVT)vsスバル・エクシーガ2.0i-L(FF/4AT)【試乗記】
ホンダ・フリードGiエアロ(FF/CVT)vsスバル・エクシーガ2.0i-L(FF/4AT) 2008.07.07 試乗記 ホンダ・フリードGiエアロ(FF/CVT)/スバル・エクシーガ2.0i-L(FF/4AT)……252万円/304万5000円
ホンダとスバルから、新型の7シーターが発売された。百花繚乱のニッポンミニバン市場に咲く最“旬”モデルは、どんな乗り味なのか? 『webCG』のコンドーと関が、2台そろえて試してみた。
似ても似つかぬ似たもの同士
関(以下「せ」):今日試すのは、「ホンダ・フリード」と「スバル・エクシーガ」。絶好のライバル同士です。
コンドー(以下「コ」):どこがライバルやねん。コンパクトハッチとワゴンやろ? どう見ても“違う生き物”やんか。
せ:どちらも3列シートの7人乗り、いわゆる多人数乗用車なんですよ。
コ:それだけニッポンのミニバン市場は、層が厚くなったってことか。
せ:どちらもデビューしたてのホヤホヤ。ベース価格だって、同じ220万円くらい。これぞ、生まれながらの好敵手!
コ:「!」付いててもなぁ……、こう……何か盛り上がってけえへんのは、やっぱり見た目が理由かな?
せ:車名はテンション高めなんですが。ホンダは「自由」、スバルは「刺激」からとってます。
コ:「EXCITE+ACTIVE=EXIGA」、やったっけ? 名は体をあらわしてる? 名前のわりには、ちょっと太りすぎとちがう? 地味さ加減も、ええ勝負や。
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せ:少なくとも、フリードには新しさを感じますよっ。特に、この深〜いサイドのキャラクターラインなんか……
コ:メルセデスのようで、すばらしい。キャラクターラインは、エクシーガもボンネットに深〜いのが入ってるで。強いて言うなら、ブルーの瞳が特徴やろか。エキゾチックな。
せ:一応、国内専用モデルですけど。カラーコンタクトは、確かに効果バツグン。法規上使える色は限られるとのことですが、これから流行ると思います。でも、いまさら7人乗りってのも……
コ:“満を持して”と言うたりいや。スバルはな、失敗が許される状況やないねんて。7人乗れるのに、レガシィに似たデザインにしたのが、そもそもガンバッタとこやん?
せ:いやー。説得力ないなぁ。
コ:フリードこそ、“いまさら”ながらのモノフォルム。先代「モビリオ」の電車っぽさが斬新だったから、なおさらや。
せ:スライドドアは、乗用車型では得られない個性ですよ。リアクォーターのデザインは独特だし、高くてデカいハッチもアクティブな生活を予感させて……
コ:それが、仇になってんねん。コンパクトなのに1.7メートル以上あるから、立体駐車場に入れられへん。
せ:エクシーガだって全高は1660mm。たいていの立駐はNGなんですよ。
コ:……ま、エクステリアはどうでもええねん。カタチについては好き好きやから。勝負のポイントはインテリアや!
「2+2+3」 vs 「2+3+2」
コ:開けてビックリ。中もまた、全っ然別モン。
せ:同じ7人乗りでも、「2+2+3」に「2+3+2」と、座席のフォーメーションから違います。
コ:フリードの2段型インストゥルメントパネルは、開放的で新しい感じがする。でも、ひろびろとした手前の段はどう使たらええんやろ……
せ:「オープンカフェ」が開発コンセプトだから、お菓子でも置いて雑誌を広げるといいのではないかと。
コ:まさか本気じゃないやろな? 視界はええし、センターコンソールもないし、新鮮な眺めであることはたしか。
せ:インテリアを縦に色分けするなんて、斬新! で、2列目にウォークスルーできるのもポイント。いっぽうのエクシーガは、見慣れた乗用車スタイルで「インプレッサ」や「フォレスター」とほぼ同じ。新鮮味に欠けることはたしか。
コ:こちらもウリは視界のよさやねん。メーターの視認性も、エクシーガのほうがええよ。フリードのは個性的、というか煩雑すぎる。
せ:さっきまでは地味すぎるって……。勝負は2列目から。このクラスに珍しいキャプテンシートは、1列目と同様、ひとクラス上のアコード用がベースで楽々。
コ:エクシーガのベンチシートはオーソドックスかもしれへんけど、肝心なのは、掛け心地。で、やっぱりコッチやろ。
せ:フリードには、幅約20cm、前後ブチ抜きのウォークスルーがありますから。キャプテンシートで体をちょっと傾ければ、足だって組める。それに、3列目へのアクセスも乗ったままでオーケー。最高!
コ:3列目へのアクセスは、エクシーガかて負けてへんで。2列目前にスライドさせたら、サイドの開口幅70cmくらいあるし、ステップも大きいから楽に乗り込める。そもそも、7座いうたかて3列目は頻繁に使うもんやない。基本、荷物置きや。
せ:3列目も、掛け心地はエクシーガ有利かな。……広さも。
コ:前から順に同じヒトが乗ったら、両車、3列目でコブシ2つの差ができる。室内長10cmのアドバンテージ(フリード2625mm:エクシーガ2720mm)が効いてるな。
せ:2列目の背もたれが屏風みたいで、圧迫感ありますが。
コ:ビョーブって……背もたれ兼ねてる肘掛を倒せば、2列目とは“繋がる”で。それに、3列目は高くて見晴らしええから、疎外感はそれほど感じへんやろ?
せ:後ろに向かって70mmずつヒップポイントが上がってるんですね。フリードもそうだけど、1-2列目間で60mm、2-3列目間で45mmとその差は小さい。通路に足を突き出せる真ん中が特等席かな。
コ:3列目は50:50で両側に跳ね上がる。足は楽でも、割れ目に座るお尻がツライ。ま、掛け心地はわかったけど、乗り心地も気になる。走ってみよか。
地味〜に光る、エクシーガ
コ:エンジンは、1.5リッター“i-VTEC”と、2リッター“水平対向”の4気筒。これまた全然違うけど、どっちもクルマ好きに響くブランド。
せ:フリードのエンジンは、コンパクトカー「フィットRS」の心臓そのもの。排気量が500cc少なくたって負けやしませんよ。
コ:118ps対148psやで。実用でも差が出まくるはずやけど?
せ:50km/hと70km/hからの中間加速競争では、ほぼ互角です。30psぶんのアドバンテージは、150kgの重量差でチャラ。150km/h以上はわかりませんけど。
コ:エクシーガはミニバンらしくないハンドリングこそが魅力やねん。乗用車型にしてよかった〜。な? 走りのレベルが全然違う。足がしなやかに動くから、タイヤが上手に使える。
せ:低重心な水平対向エンジンも一役かってるでしょう。フリードだって、偏平ガソリンタンクで低床低重心を狙ってて、背丈のわりにふらつきは少ないと思いますが……
コ:でも、それだけのこと。ボーっと運転するには“サイコーにちょうどいいホンダ”。
せ:フリードは、ストレスフリーに家族を運べるクルマなんですよ。パッケージング命。「こんなスゴいの、マネできない」って他メーカーの開発者も唸ってました。
コ:対するエクシーガは、こてこてのドライバーズカーやね。実にスバルらしい。でも、乗り心地もエクシーガのほうがいいと思わへん?
せ:……たしかに、フリードのゴツゴツした突き上げ感は気になります。2列目も、3列目でも。好んでそういう味付けにしてるのかなぁ。
コ:エクシーガは、その点上手にこなしてる。2列目、3列目とも快適やし、パノラミックガラスルーフのおかげで開放感もある。フリードは、5人乗り仕様でしか選ばれへんよな。
せ:ホンダお得意の「スカイルーフ」は、残念! シェードが収まる3列目のヘッドクリアランスを優先したそうですが……3列目の意識もユーザー次第なんだから、選択の自由を与えて欲しかった。
コ:フリードは、発売1カ月で目標の5倍も売れてる人気モンやけど、エクシーガかてホンマ大したモンやで。外観からはわかりにくいけど。乗らなきゃわからないってのも、またスバルっぽいというか。
せ:よく見れば、それぞれに“らしさ”はあるじゃないですか。ミニバン系は、これからまだまだ面白くなるかもしれませんよ。
コ:キャブオーバーに、ワゴン型、SUVっぽいのとか。まさに百花繚乱。ホンダやスバルには、そのうち7シータースポーツカーも期待したいな!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=峰昌宏)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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