第358回:衝撃のスバル軽自動車撤退へ一言
牛丼もビックリ? つくづく面白いクルマが作れない時代
2008.05.08
小沢コージの勢いまかせ!
第358回:衝撃のスバル軽自動車撤退へ一言 牛丼もビックリ? つくづく面白いクルマが作れない時代
もしやタントがきっかけ!?
つくづく残念なスバルの軽自動車撤退! 俺自身、つい最近まで「R2」を愛用していたし、名車「スバル360」を何回も取材したことがあっただけに、日本の重要なクルマ文化が捨て去られるようで悲しいっちゃ悲しい。なんとかならないもんだろうか。うぅ……。
と思ってたある日、スバルのエンジニアと話してて、ふと納得した一言があった。「正直、今のダイハツさんは脅威ですよ。ある意味、タントを見て個人的には踏ん切りがついたかもしれませんねぇ」。
うーむ、なるほど。たしかにそうかもしれない。年々厳しくなる軽自動車バトル。車両価格はそれほど上げられない中、ますます良いスタイル、走り、使い勝手、さらに省燃費性まで求められ、しかもそんじょそこらの性能アップじゃ見向きもされない。つくづく面白いクルマが作りづらい時代になったのだ。
その象徴とも言うべきクルマが「ダイハツ・タント」だ。コイツはある意味、究極かつ万能な、超モダン軽自動車である。ボディサイズはしっかり軽自動車枠に収まってるにも関らず、室内長は2.16mもあり、この点だけでもあの「レクサスLS」を凌駕! オマケにエンジンはムーブ同様新開発だわ、ギアボックスに高効率なCVTは選べるわ、ピラーレスのミラクルオープンドアは付いてるわ、フローリングの床も選べるわって、まさに自動車版“ワザのデパート”。これでお値段、108万円ちょいから始まるんだから、他はやってられなくなっちゃうよなぁ。
我慢くらべ
しかも価格競争力っていう点じゃ、ダイハツの上をいくスズキまで控えている。スズキは今のところ、ハデな高品質の軽は出してこないものの、タントのライバルたる「パレット」は微妙に実質価格を抑えてるようだし、メインモデルの「ワゴンR」にしても同様。厳密に性能や品質でいったら、最近じゃダイハツ・ムーヴに軍配が上がるが、お買い得感、割り切りの点で若干ワゴンRがリード。なんとか販売台数は上回ってるって感じ。
まさに“龍虎あいまみえる”って感じで、ハタから見れば「こんなところに子羊みたいなスバルさんが入ってもガバッっと食べられちゃいますよ」という状況にも見えなくもない。失礼ながら冷静にみちゃえば、撤退も止むを得ない。
なんせ先日、俺の知り合いのクルマ好きはこんなことまでのたまったのだ!「最近の軽自動車ってなんか牛丼みたいだよね。今じゃBSE騒動以来多少収まってるみたいけど、一時期どんどん値段が安くなって、それでいて相変わらず味も量も変えられずに我慢くらべって感じになってたでしょ。そんな中のスバルの軽撤退って、まさに養老乃滝が牛丼から撤退したようなもんで仕方ないことなんだよ。勝負できる方がおかしい。スバルは正しい判断をしたよ」。
うーむ、まさしくそんな感じかも……。
もっと言っちゃえば今のガソリン価格騒ぎにしても、一時のBSE騒動に似てないと言えなくもない。世界的に原料が入らなくなり、いい加減で日和見主義の政府に躍らされる庶民、という構図。なんだかんだでいつも大変なのは俺達なのだ。ま、話はそれましたが。
ってな感じで時代を映す鏡となったスバルの軽自動車撤退。クルマ業界がますます遊びが許されない、牛丼もビックリのコストパフォーマンス至上主義時代に入ったってことだよね。つくづく今後が思いやられますわ。とほほのほ……。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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