アウディA4 3.2 FSIクワトロ(4WD/6AT)【試乗速報】
狙いどおりの仕上がり 2008.03.24 試乗記 アウディA4 3.2 FSIクワトロ(4WD/6AT)……729.0万円
2008年3月18日、フルモデルチェンジし8代目になった「A4」。ボディサイズはもとより、あらゆるところに手が加えられた新型。3.2リッターモデルでその進化を試す。
正真正銘のフルモデルチェンジ
社内で“B8”と呼ばれる最新の「A4」が、2008年3月ついに日本に上陸した。先代のB7、すなわち初代「アウディ80」から数えて7代目にあたるA4が日本に導入されたのが2005年2月だから、旧A4の任期はわずか3年の短期に終わったことになるが、実はB7はその前のB6に“シングルフレームグリル”を与えたビッグマイナーチェンジ版で、B6とB7をあわせると、このB8型A4はほぼ7年ぶりに刷新されたニューモデルということになる。
それだけに、デザインは一新、シャシーも一新、パワートレインもほぼ一新という力の入れようである。詳しい話は、新型「A4」のニュース記事に譲るとして、波打つように配置されたLEDポジションランプが特徴の切れ長ヘッドランプと、アウディのアイデンティティであるシングルフレームグリルにより形づくられたフロントマスクは、兄貴分の「A5」に負けず劣らず精悍で、伸びやかなサイドのラインも実にエレガントと、実物を目の当たりにすれば、その新しさが実感できるはずだ。
同時に感じるのが、その大きさ。全長4705mm、全幅1825mmは旧型に比べてそれぞれ120mm、55mmの拡大で、「ベンツCクラス」の4585mm/1770mm、「BMW3シリーズ」の4525mm/1815mmを軽く上回る。おかげで後席のスペースはライバル並みになったが、ドライバーにとっては負担になりかねない。実際、『webCG』編集部のタワーパーキングにはなんとか収まるものの、出し入れには気を遣った。大きさだけでニューA4が敬遠されたとしても不思議ではない。
軽くなったノーズ
そんな成長著しい(!?)ニューA4のなかから、今回試乗したのは「A4 3.2FSIクワトロ」。3.2リッターV6エンジンは、可変バルブタイミング&リフト機構の「アウディバルブリフトシステム」を搭載する最新の直噴ガソリンエンジン。組み合わされるクワトロは、セルフロッキング機構を持つセンターデフを採用する部分は旧型と似ているが、前後トルク配分をこれまでの前50:後50から、新型では前40:後60と後ろ寄りに変えたのが大きな違い。
さらに、フロントアクスルの位置を154mm前に出すことで相対的にエンジンの搭載位置を後退させ、これにより前後の重量配分を56:44(車検証から算出)としたのも注目すべきポイントだ。
こういった工夫が、A4の走りをどう変えたのか、さっそく試してみることにしよう。
走り出してまず感じたのが、ノーズの軽さだ。コーナーでスッと曲がるという以前に、これまでボンネットのあたりに載せられていた重しがなくなって、フロントを押さえつけられるような感覚が薄れたのが新鮮である。これは初めてA5に乗ったときにも思ったことで、それでいて直進性に不安を感じるようなことはない。これまでのクワトロとは明らかに異なる操縦感覚といえるだろう。ワインディングロードを軽く流すような場面でも、旧型以上に軽快なハンドリングがドライブを楽しくする。
中身は発展途上!?
ところで、試乗車には、オプション設定される「アウディドライブセレクト」が装着されていた。これを選ぶと、もれなくアクティブステアリングがついてくる。245/40R18タイヤもオプションである。
アウディドライブセレクトは、エンジンのレスポンス、ATのプログラム、ステアリング特性、ダンパーの減衰力を「オート」「コンフォート」「ダイナミック」の3つのモードから一括して選べる機能で、さらにドライバーの好みにあわせて自分のモードをつくることも可能。通常はオート、快適さを重視したいときにはコンフォート、スポーティに走りたければダイナミックを選ぶというのが基本で、実際に切り替えてみるとその違いはすぐにわかる。
ただし、コンフォートを選んだところで基本的には硬めの乗り心地を示し、18インチを履くために路面からのショックも伝えがち。期待したほどコンフォートではないのが残念なところで、今後の熟成を期待したい。
高速道路でのフラットさももうひとがんばりほしいレベルだが、改良された“トロペゾイダル”リアサスペンションが、B6時代に指摘された不快なピッチングをすっかり抑え込んでいたのはうれしい進化だ。車速とモードによってギア比を変えるアクティブステアリングは違和感のない自然なフィールが好ましい。
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ラインナップの充実を!
アウディバルブリフトシステムを備えた3.2リッターエンジンは、排気量に余裕があるだけに低回転からトルク豊かで滑らか。1.8リッターターボに較べて格段に静かなのも、高級感を高めている。実用域でのトルク特性はほぼフラットで、どこからアクセルを踏んでいってもそれに応えてくれる。運転状況によって吸気バルブのリフト量は2通りに変化するが、いつ切り替わったかわからないというのが正直なところ。回せばそれなりにスポーティな加速を見せるが、A6に積まれるショートストロークの2.8リッターV6に比べると、レブリミットの6800rpmに近づくにつれて少し重苦しい印象だ。
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そういった気になる部分はいくつかあるにせよ、ニューA4がスポーティに変身したのは確かである。3シリーズをターゲットに、Cクラス同様、スポーティな路線を歩むことになったA4としては狙いどおりの仕上がりといえるわけで、三つどもえのバトルが楽しみである。
課題となるのは、1.8Tと3.2クワトロだけのラインナップ。FFの1.8Tが419.0万円であるのに対し、お家芸のクワトロを選ぶとなると645.0万円で、一気に226万円も高くなるというのは正直辛い。このギャップを埋めるクワトロモデルの早期導入を希望するとともに、できればクワトロ+TDI(直噴ターボディーゼル)といったアウディの強みを活かした展開を期待したい。
(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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