「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT)【試乗記】
「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT) 2008.01.07 試乗記 マツダ・デミオ 13C-V(FF/CVT)/ホンダ・フィット L(FF/CVT)……137万6150円/178万5000円
「デミオ」と「フィット」は、ともに2007年生まれの売れ筋コンパクト。ライバル同士を直接ぶつけてみたら、どんな違いが見えてきた?
紅白にシロクロ
コンドー(以下「コ」):おっ、紅白! 新年早々、こりゃメデタイ。デミオにフィットか!
関(以下「せ」):じつは、どちらがお勧めか相談されちゃって。白黒つけないといけません。
コ:どっちも2007年話題になった、コンパクトカーの代表作やからな。
せ:デミオは「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」、フィットは「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。なかでも、デミオ「13C-V」とフィット「L」は売れ筋のグレードです。
コ:1.3リッター同士。ベース価格も130万円台でほぼ同じ。アツい勝負になる予感がするで!……まずは、並べてみてみよか。
せ:ひとえにコンパクトといっても、ずいぶん違うもんですね。
コ:フィットのデカさが際立つな。ひとクラス上に見える。デミオが3代目になって4cm縮まったゆうのもあるかな?
せ:実は、寸法上はほとんど差がないんです。幅は同一だし、全長とホイールベースだって、せいぜい1cm違い。フィットのほうが5cm背が高いってのが、ポイントです。
コ:デミオは、女性ユーザーをターゲットにしたというだけあって、「おでこの広い和風美人」て印象やね。
せ:フィットだって、小顔で今風なんですよ。ちょっと小動物系の表情で癒されるでしょ?
コ:どんぐり食べてそうな感じやね。
コ:どちらもウェッジシェイプ(楔型)デザインを主張してるけど?
せ:真横から見ると、全っ然ちがう。デミオのサイドラインは本当にキレイだなぁ。
コ:フィットはミニバン的で、寸法をめいっぱい使ってるのがわかる。実用性からいったら「王道」や。デミオも先代まではそうやったのに……
せ:3代目は、デザイン重視に方向転換しただけあって色気があります。なんだか、「赤いハイヒール」と「白いスニーカー」が向き合ってるみたい。
コ:リアビューも全然違う。
せ:「メルセデスのAクラス」と「プジョーの207」くらい違う。
コ:……うまいこと言う!
せ:デミオ、バックシャンですね。クルマから離れざまに、ふりかえって見たくなる。
コ:バックシャンって、何10年ぶりかで聞いたわ……とはいえ、デザインは、ヒトの好き好き。優劣は決められへん。もっと実用性がからむインテリアで比較しよか?
「DesignのDemio」×「FunctionのFit」
コ:コクピットまわりかて、ものの見事に対照的やで。デミオのインパネは黒基調でスタイリッシュや。適度な囲まれ感があって、スポーティ。
せ:フィットは、不安になるくらい目の前が広いですね。開放的のひとこと。
コ:デミオかて、サイドウィンドウ低くなってて視界はええで。メーターやステアリングのデザインも、デミオのほうが好感もてるな。
せ:フィットのデザインはチョッと煩い? でも機能で見れば、ステアリングなんかチルト&テレスコ標準ですからね。デミオは上下のみだもの。
コ:ポジションなんか、自分に合うたらそれでええねん。シフトレバーを囲むセンターコンソールの張り出しも、ニーパッドとしてちゃんと機能してる。
せ:ただ、シフトゲートの表示にバックライトがないから、夜は手元でポジションを確認できないし、細かい機能の積み上げで、僕はフィットに一票入れます。
拡大 |
拡大 |
コ:デミオのシートは、見るからにカッコええやろ? 日産の「モダンリビング」も歯軋りするで。張りよく、掛け心地も申し分ない。長距離は試してへんけど……
せ:フィットも負けてませんよ。ひとクラス上のアコードを基準に開発したシートですから。それに、リアに限れば、フィットの圧勝。
コ:それ、一番のウリやからな……「センタータンクレイアウト」に「ウルトラシート」やったっけ?
せ:そう。ガソリンタンクがリアシートの下にないから、座面はチップアップもできます。踵まわりがスカスカだと、こんなに心地いいとは!
コ:荷室は、フィット優勢やな! デミオって、シート畳んでもラゲッジルームと15cmも段差残るやんか。シート自体、中途半端に傾いたままやし。
せ:フィットはフルフラットになるだけじゃなく、その操作が全てワンアクションで楽々なんですよ。操作性の向上は初代からの課題だったそうで。「どんな機能も、使い易くなければ意味がない」って開発陣が力説してました。
コ:デミオも、包まれ感は悪くないんやけどね。座面は短くて背もたれが立ち気味やからか、ちょっと疲れやすい。リアのリクライニングは?……
せ:デミオは、ナシ。いっぽう、フィットは一段階寝かせることができます。
|
コ:荷室の床下にまで収納があるは、ボードで棚が作れるは、アタマが下がるね。……ま、デミオに積まれへんような荷物は、宅配サービス使たらええやん。じゃ、走ってみよ!
本当は迷わないハズ
コ:どちらも新開発の1.3リッターエンジンやったね。
せ:で、どちらも吸気バルブに工夫がある“技ありユニット”。デミオは吸気バルブを遅閉じするミラーサイクルエンジンで、フィットは、低速時に吸気側2バルブの片方を休止します。
コ:燃費向上な。カタログ上の勝負は、どない?
せ:デミオ13C-Vは23km/リッター、フィットLは21.5km/リッターの10・15モード燃費を主張してます。
コ:で、実際はどうなった?
せ:約210kmの距離を「高速:一般道=6:4」で走って、デミオが12.7km/リッター、フィットが13.2km/リッター……
コ:ベタ踏みにしてはどちらも上々やけど、フィットの逆転勝利はポイント高いな!
せ:フィットは2代目になっても、10・15モード燃費のカタログ値(24km/リッター:「G」グレード)を伸ばせませんでした。ただ、「実用燃費では向上してる」とアピールしてるんです。
コ:でも、経済性はそれだけでは決まらへん。デミオは990kgやから、1030kgのフィットより一年あたりの重量税が6300円も安なるねん。
せ:環境面の優遇には差がなくて、どちらも排ガスで★4つ。ちなみに、燃費は「平成22年度基準+20%達成」です。
コ:エンジンパワーはフィットが10ps上やけど、実際に“よーいドン”やったところで、ほぼ同じや。むしろフィットの動きがもっさり感じる。重いねん。
せ:エンジンルームの間口は、デミオのほうが遥に広いんですけどね。縦横とも1.5倍くらいありますよ。
コ:別に、そこにヒトは乗れへんやろ……
拡大 |
拡大 |
拡大 |
せ:エンジンノイズは、デミオのほうが耳につく。
コ:フィットはロードノイズがこもりがちやね。容積の大きさが仇になってるのかもな。
せ:デミオのほうが、路面からの突き上げがキツイですね。
コ:うん。フィットは、その処理にお金かかってる気がする……でも、コーナリング中のロール感ゆうか、車体のいなし方はデミオがええ。
せ:これまでの項目で優劣付けるなら、圧倒的にフィットの勝ちになっちゃいそう。
コ:なのに、クルマ好きほどデミオを支持するから不思議なもんや。『mobileCG』の読者投票でも圧倒的にデミオの勝ち。走りも含めて、デミオはドライバーズカーの、フィットはファミリーカーの匂いがする。
せ:2007年、デミオはフィットみたいなクルマからイメチェンしたわけですが、ライバルと真正面から渡り合えて、正解だったようですね。
コ:デミオはグッとカッコよく、フィットはますます使えるようになった。はっきりタイプが違うから、実際は迷うヒトはおらへんのと違うん?
せ:ひとりのユーザーがどちらの要素も欲しがるから、悩みは尽きないわけで。クルマ選びは悩んでるうちが華だといいますけど、総合点で、僕はフィットを薦めることにします。
コ:俺は、デミオやな。やっぱ、自分が運転楽しめるクルマが一番や!……あ、嫁サンが同乗してる時はおとなしく走るけどな
せ:むしろ、女性にこそ、デミオのステアリング握ってもらったらいいですよ。もっとも、たっぷりとショッピングなさるなら、フィットをお勧めしますけど!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=峰昌宏)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
NEW
あの多田哲哉の自動車放談――三菱デリカミニTプレミアム DELIMARUパッケージ編
2026.6.5webCG Movies三菱の軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」が多くの人に支持される理由は、個性的なルックスだけなのか? トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんが、人気の秘密に迫る。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.6.5試乗記「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。 -
NEW
KTM 990 RC R(6MT)
2026.6.5JAIA輸入二輪車試乗会2026今年も開催された「JAIA輸入二輪車試乗会」より、魅惑のバイクを一挙紹介! 先陣を切るのは、この4月に発売されたばかりの「KTM 990 RC R」だ。オーストリアの雄が放つ最新鋭のスーパースポーツは、意外や“速さ”以外にも見どころの多い一台だった。 -
NEW
空冷の「スポーツスター」が復活!? ハーレーダビッドソンの定番商品はどんなバイクとなるのか
2026.6.5デイリーコラムハーレーダビッドソンが、一度は廃止した空冷の「スポーツスター」の復活を発表! 伝統の一台はなぜ絶版の憂き目にあい、そしてよみがえることとなったのか? ファンに愛される定番車種を刷新する難しさと、新型に課せられた使命、そして課題を考察した。 -
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。





























