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【スペック】デミオ13C-V(写真奥):全長×全幅×全高=3885×1695×1475mm/ホイールベース=2490mm/車重=990kg/駆動方式= FF/1.3リッター直4DOHC16バルブ(90ps/6000rpm、 12.2kgm/4000rpm)/価格=131万円(テスト車=137万6150円/ドライビングコンフォートパッケージ+レザーツーリングコンフォートパッケージ=6万6150円)

「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT)【試乗記】

「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT) 2008.01.07 試乗記 近藤 俊関 顕也 マツダ・デミオ 13C-V(FF/CVT)/ホンダ・フィット L(FF/CVT)
……137万6150円/178万5000円

「デミオ」と「フィット」は、ともに2007年生まれの売れ筋コンパクト。ライバル同士を直接ぶつけてみたら、どんな違いが見えてきた?

紅白にシロクロ

コンドー(以下「コ」):おっ、紅白! 新年早々、こりゃメデタイ。デミオにフィットか!
関(以下「せ」):じつは、どちらがお勧めか相談されちゃって。白黒つけないといけません。

コ:どっちも2007年話題になった、コンパクトカーの代表作やからな。
せ:デミオは「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」、フィットは「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。なかでも、デミオ「13C-V」とフィット「L」は売れ筋のグレードです。
コ:1.3リッター同士。ベース価格も130万円台でほぼ同じ。アツい勝負になる予感がするで!……まずは、並べてみてみよか。

せ:ひとえにコンパクトといっても、ずいぶん違うもんですね。
コ:フィットのデカさが際立つな。ひとクラス上に見える。デミオが3代目になって4cm縮まったゆうのもあるかな?
せ:実は、寸法上はほとんど差がないんです。幅は同一だし、全長とホイールベースだって、せいぜい1cm違い。フィットのほうが5cm背が高いってのが、ポイントです。

コ:デミオは、女性ユーザーをターゲットにしたというだけあって、「おでこの広い和風美人」て印象やね。
せ:フィットだって、小顔で今風なんですよ。ちょっと小動物系の表情で癒されるでしょ?
コ:どんぐり食べてそうな感じやね。

コ:どちらもウェッジシェイプ(楔型)デザインを主張してるけど?
せ:真横から見ると、全っ然ちがう。デミオのサイドラインは本当にキレイだなぁ。

コ:フィットはミニバン的で、寸法をめいっぱい使ってるのがわかる。実用性からいったら「王道」や。デミオも先代まではそうやったのに……
せ:3代目は、デザイン重視に方向転換しただけあって色気があります。なんだか、「赤いハイヒール」と「白いスニーカー」が向き合ってるみたい。

コ:リアビューも全然違う。
せ:「メルセデスのAクラス」と「プジョーの207」くらい違う。
コ:……うまいこと言う!
せ:デミオ、バックシャンですね。クルマから離れざまに、ふりかえって見たくなる。
コ:バックシャンって、何10年ぶりかで聞いたわ……とはいえ、デザインは、ヒトの好き好き。優劣は決められへん。もっと実用性がからむインテリアで比較しよか?


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デミオ「13C-V」は、ミラーサイクルエンジンとCVTを組み合わせた、燃費がウリのグレード。
デミオ「13C-V」は、ミラーサイクルエンジンとCVTを組み合わせた、燃費がウリのグレード。 拡大
フィット「L」は、最廉価な「G」にフルオートエアコンなど快適装備を加えたグレードだ。
フィット「L」は、最廉価な「G」にフルオートエアコンなど快適装備を加えたグレードだ。 拡大
いざ、にらみ合い。寸法上は全高以外ほとんど差がないが、その形状は大きく異なる。
いざ、にらみ合い。寸法上は全高以外ほとんど差がないが、その形状は大きく異なる。 拡大
ナンバープレートの位置まで違う、2台のリアビュー。フィットのハッチ下端は一見してデミオより低く、荷降ろしなど利便性の高さが伺える。トレッドは前15mm/後10mmだけフィットのほうが広い。
ナンバープレートの位置まで違う、2台のリアビュー。フィットのハッチ下端は一見してデミオより低く、荷降ろしなど利便性の高さが伺える。トレッドは前15mm/後10mmだけフィットのほうが広い。 拡大
ホンダ フィット の中古車
デミオのシート地は白黒2色から選択可能。特殊処理により、白でも汚れにくいという。
デミオのシート地は白黒2色から選択可能。特殊処理により、白でも汚れにくいという。 拡大
1.3のフィットは、青いシート地のみ用意される。ちなみに、1.5は黒一色のものとなる。
1.3のフィットは、青いシート地のみ用意される。ちなみに、1.5は黒一色のものとなる。 拡大

「DesignのDemio」×「FunctionのFit」

コ:コクピットまわりかて、ものの見事に対照的やで。デミオのインパネは黒基調でスタイリッシュや。適度な囲まれ感があって、スポーティ。
せ:フィットは、不安になるくらい目の前が広いですね。開放的のひとこと。

コ:デミオかて、サイドウィンドウ低くなってて視界はええで。メーターやステアリングのデザインも、デミオのほうが好感もてるな。
せ:フィットのデザインはチョッと煩い? でも機能で見れば、ステアリングなんかチルト&テレスコ標準ですからね。デミオは上下のみだもの。

コ:ポジションなんか、自分に合うたらそれでええねん。シフトレバーを囲むセンターコンソールの張り出しも、ニーパッドとしてちゃんと機能してる。
せ:ただ、シフトゲートの表示にバックライトがないから、夜は手元でポジションを確認できないし、細かい機能の積み上げで、僕はフィットに一票入れます。

キャンバストップで知られたデミオだが、3代目にサンルーフなどの設定はない。白シートが明るい内装を演出する。
キャンバストップで知られたデミオだが、3代目にサンルーフなどの設定はない。白シートが明るい内装を演出する。 拡大
先代より座面が1cm厚くなったフィットの後席。チップアップできるのが“伝統の強み”。
先代より座面が1cm厚くなったフィットの後席。チップアップできるのが“伝統の強み”。 拡大

コ:デミオのシートは、見るからにカッコええやろ? 日産の「モダンリビング」も歯軋りするで。張りよく、掛け心地も申し分ない。長距離は試してへんけど……
せ:フィットも負けてませんよ。ひとクラス上のアコードを基準に開発したシートですから。それに、リアに限れば、フィットの圧勝。

コ:それ、一番のウリやからな……「センタータンクレイアウト」に「ウルトラシート」やったっけ?
せ:そう。ガソリンタンクがリアシートの下にないから、座面はチップアップもできます。踵まわりがスカスカだと、こんなに心地いいとは!

コ:荷室は、フィット優勢やな! デミオって、シート畳んでもラゲッジルームと15cmも段差残るやんか。シート自体、中途半端に傾いたままやし。
せ:フィットはフルフラットになるだけじゃなく、その操作が全てワンアクションで楽々なんですよ。操作性の向上は初代からの課題だったそうで。「どんな機能も、使い易くなければ意味がない」って開発陣が力説してました。

コ:デミオも、包まれ感は悪くないんやけどね。座面は短くて背もたれが立ち気味やからか、ちょっと疲れやすい。リアのリクライニングは?……
せ:デミオは、ナシ。いっぽう、フィットは一段階寝かせることができます。

画像をクリックすると、荷室の比較アニメーションが見られます。開口部のデザイン、荷室の床面積、背もたれのフラット具合などなど、随所に違いアリ。
「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT)【短評】

コ:荷室の床下にまで収納があるは、ボードで棚が作れるは、アタマが下がるね。……ま、デミオに積まれへんような荷物は、宅配サービス使たらええやん。じゃ、走ってみよ!


「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大

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エンジンルームが広いデミオは、海外でディーゼルも搭載する。いっぽうのフィットは、ガソリンエンジンのみだ。
エンジンルームが広いデミオは、海外でディーゼルも搭載する。いっぽうのフィットは、ガソリンエンジンのみだ。 拡大

本当は迷わないハズ

コ:どちらも新開発の1.3リッターエンジンやったね。
せ:で、どちらも吸気バルブに工夫がある“技ありユニット”。デミオは吸気バルブを遅閉じするミラーサイクルエンジンで、フィットは、低速時に吸気側2バルブの片方を休止します。
コ:燃費向上な。カタログ上の勝負は、どない?
せ:デミオ13C-Vは23km/リッター、フィットLは21.5km/リッターの10・15モード燃費を主張してます。

コ:で、実際はどうなった?
せ:約210kmの距離を「高速:一般道=6:4」で走って、デミオが12.7km/リッター、フィットが13.2km/リッター……
コ:ベタ踏みにしてはどちらも上々やけど、フィットの逆転勝利はポイント高いな!
せ:フィットは2代目になっても、10・15モード燃費のカタログ値(24km/リッター:「G」グレード)を伸ばせませんでした。ただ、「実用燃費では向上してる」とアピールしてるんです。
コ:でも、経済性はそれだけでは決まらへん。デミオは990kgやから、1030kgのフィットより一年あたりの重量税が6300円も安なるねん。
せ:環境面の優遇には差がなくて、どちらも排ガスで★4つ。ちなみに、燃費は「平成22年度基準+20%達成」です。

コ:エンジンパワーはフィットが10ps上やけど、実際に“よーいドン”やったところで、ほぼ同じや。むしろフィットの動きがもっさり感じる。重いねん。
せ:エンジンルームの間口は、デミオのほうが遥に広いんですけどね。縦横とも1.5倍くらいありますよ。
コ:別に、そこにヒトは乗れへんやろ……


「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大

「マツダ・デミオ」(FF/CVT)vs「ホンダ・フィット」(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
【スペック】フィットL(写真手前):全長×全幅×全高=3900×1695×1525mm/ホイールベース=2500mm/車重=1030kg/駆動方式=FF/1.3リッター直4 SOHC16バルブ(100ps/6000rpm、13.0kgm/4800rpm)/価格 =134万4000円(テスト車=178万5000円/リアカメラ付きホンダHDDインターナビシステム=21万円/ディスチャージヘッドライト=6万3000円/コンフォートビューパッケージ=3万1500円/15インチアルミホイール=10万5000円/ホワイトパール塗装=3万1500円)
【スペック】フィットL(写真手前):全長×全幅×全高=3900×1695×1525mm/ホイールベース=2500mm/車重=1030kg/駆動方式=FF/1.3リッター直4 SOHC16バルブ(100ps/6000rpm、13.0kgm/4800rpm)/価格 =134万4000円(テスト車=178万5000円/リアカメラ付きホンダHDDインターナビシステム=21万円/ディスチャージヘッドライト=6万3000円/コンフォートビューパッケージ=3万1500円/15インチアルミホイール=10万5000円/ホワイトパール塗装=3万1500円) 拡大

せ:エンジンノイズは、デミオのほうが耳につく。
コ:フィットはロードノイズがこもりがちやね。容積の大きさが仇になってるのかもな。

せ:デミオのほうが、路面からの突き上げがキツイですね。
コ:うん。フィットは、その処理にお金かかってる気がする……でも、コーナリング中のロール感ゆうか、車体のいなし方はデミオがええ。

せ:これまでの項目で優劣付けるなら、圧倒的にフィットの勝ちになっちゃいそう。
コ:なのに、クルマ好きほどデミオを支持するから不思議なもんや。『mobileCG』の読者投票でも圧倒的にデミオの勝ち。走りも含めて、デミオはドライバーズカーの、フィットはファミリーカーの匂いがする。

せ:2007年、デミオはフィットみたいなクルマからイメチェンしたわけですが、ライバルと真正面から渡り合えて、正解だったようですね。
コ:デミオはグッとカッコよく、フィットはますます使えるようになった。はっきりタイプが違うから、実際は迷うヒトはおらへんのと違うん?

せ:ひとりのユーザーがどちらの要素も欲しがるから、悩みは尽きないわけで。クルマ選びは悩んでるうちが華だといいますけど、総合点で、僕はフィットを薦めることにします。
コ:俺は、デミオやな。やっぱ、自分が運転楽しめるクルマが一番や!……あ、嫁サンが同乗してる時はおとなしく走るけどな
せ:むしろ、女性にこそ、デミオのステアリング握ってもらったらいいですよ。もっとも、たっぷりとショッピングなさるなら、フィットをお勧めしますけど!

(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=峰昌宏)

関 顕也

関 顕也

webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。

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