スバル・フォレスターSTiバージョン(6MT)【試乗記】
もったいない…… 2004.03.12 試乗記 スバル・フォレスターSTiバージョン(6MT) ……311.0万円 「スバル・フォレスター」のSTiバージョンが、フルモデルチェンジから2年を経て、ようやくリリースされた。「余裕と走りの両立」を目指したニューバージョンに、『webCG』オオサワが箱根で乗った。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
コンセプトは「余裕と走りの両立」
2002年2月にフルモデルチェンジした「スバル・フォレスター」が、04年2月に初のマイナーチェンジを受けた。一部改良の眼目は、コンビネーションメーターの意匠変更や、リアシートにリクラインが付いたこと。あわせて、スバルのモータースポーツ部門、STiがチューンしたスペシャル版「フォレスターSTiバージョン」の追加が発表された。
フォレスターSTiバージョンの初登場は、先代にさかのぼる。2000年5月の「S/tb-STi」がそれで、オン&オフロードを走る“クロスオーバー”の先駆車らしく、オールシーズンタイヤを履く4段AT仕様だった。同年12月27日に、サマータイヤ装着のローダウン仕様「S/tb-STi II」、01年1月に5段MT仕様の「タイプM」が加わった。
オンロードスペシャルを出し惜しみした(?)先代とは異なり、新型フォレスターのSTi版は、2.5リッターターボ+6段MTモデルのアグレッシブな仕様で登場。大きめな排気量によって中低速トルクを太らせ、「クロスオーバーらしい余裕とスポーティな走りを両立した」というのが、スバルとSTiの主張である。
「STiバージョン」と聞くと、「インプレッサWRX STi」や、200台限定の「インプレッサS202」など、ハイレベルなチューンドカー(?)を思い浮かべるが、しかし、スパルタンなクルマだけじゃない。先代レガシィB4のチューン版「S401」は、“上級スポーツセダン”の謳い文句どおり、高い運動性能としなやかなフィールを兼ね備えるグランドツアラーだった。新型フォレスターSTiバージョンのコンセプトも、インプレッサ系というよりS401に近い。
スペシャルバージョンたる新型フォレスターSTiだが、見た目はそれほど“スペシャル”ではない。ノーマル比40mmローダウンされたボディは、街乗りやタワーパーキングを考慮した「クロススポーツ」と同じで、いまとなっては見慣れたモノ。STi版の専用ボディパーツも、前後のエアロバンパーなど最小限である。先代フォレスターSTiより1インチ大きい、225/45R18サイズのタイヤ(ブリヂストン・ポテンザRE030)と、ホイールから覗くゴールドカラーのブレンボ製ブレーキポッドが、さりげなくスペシャルを主張する。
ATが欲しい
新型フォレスターのインテリアは、質感が上がっただけでなく、アウトドアユースを意識した、撥水シート表皮の「バックパックパッケージ」(ほかに、「カジュアル」と「ユーロ」がある)など、楽しげな演出も加わった。が、黒を基調にまとめられたSTiの内装はちょっと地味だ。乗り降りに苦労するほど、大きなサイドサポートのついた専用バケットシート、チェリーレッドのステッチが施された革巻きステアリングホイール、6段MTのシフトノブにアルミペダル……。ドライバー中心につくられた、ストイックな室内である。
目につくところがそっけないぶん(?)、中身はスバルとSTiらしいく、濃い。2.5リッターターボは、北米仕様の「インプレッサWRX」が搭載するユニットで、国内での採用は初めてだ。最高出力は265ps/6500rpmに“抑えられる”が、最大トルクはレガシィシリーズの「GT spec.B」を3.5kgm上まわり、38.5kgm/3800rpmを発生する。
エンジン同様、インプレッサWRX STi譲りの6段MTは、トルクアップに合わせてギア比を変更。ローとファイナルはインプレッサと同じだが、2〜6速が高めに振られた。
箱根ターンパイクを目指して西湘バイパスを走り出すと、案の定というべきか、もの凄く速かった。38.5kgmの最大トルクに対し、車重は「ワゴンGT spec.B」の30kg増しの1490kg。全開加速のすさまじさはご想像いただけるでしょう。タービンが「キィィィィーン」と派手に空気を吸い込み……。
やや渋さはあるが、ショートストロークでカチッと決まるシフトフィールが好ましく、シフトチェンジのたびに聞こえるブローオフバルブの息継ぎが、いかにもハイパフォーマンスカーらしい。6速での100km/h巡航は2200rpmと低く、2000rpm以上まわっていればアクセルを踏むだけで、ターボの太いトルクが味わえる。
ただ、6段MTは、コンセプトの「余裕」が薄まる気がした。クラッチは大容量で、“普通の”クルマに較べてガツンと繋がるから、低速で滑らかに走るのに気を遣う。高速やワインディングで、コキコキ決まる6段MTを自粛し、アクセルに足をそっと乗せて走るのも、精神的にツラいものがある。かなり「走り」に振ったアイテムだ。気持ちのうえでの“余裕”を演出するなら、5段ATもアリなんじゃないでしょうか。
STiらしいけど……
エンジンに合わせてチューンされた足まわりは、低速でやや突き上げるものの、ボディはフラット。コーナリング時のロールも、予想ほどはすくなくはく、ガチガチのスパルタンとは一線を画す。フロント4ポッド、リア2ポッドのブレンボ製が奢られたブレーキは、文句のつけどころがない。ストッピングパワーもコントロール性も素晴らしい。
驚いたのは、アクセルの微妙なオン・オフでも、予想外に大きく姿勢が変化すること。ペダルが動かない程度のアクセルオフで、助手席のカメラマンが感知できるほどノーズがインを向く。やたら速いクルマだけに、ちょっとコワい。
フォレスターは、5ナンバー枠の適度なボディサイズ、高めの視点とロードクリアランスによる運転のしやすさ、乗員と積載のバランスがとれたいいワゴンだと思う。普通に乗るには2リッターNAで十分。ノーマルターボでもかなり速い。STiバージョンはもっと速くてもイイんですけど……、余裕がなくなっちゃったのが、もったいない気がした。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2004年3月)

大澤 俊博
-
スバル・トレイルシーカーET-HS(4WD)【試乗記】 2026.6.9 スバルから電気自動車(BEV)の第2弾モデルである「トレイルシーカー」が登場。ルーフの長いステーションワゴンスタイルのクロスオーバーという、いかにもスバルらしいBEVは、機能的で快適で、走らせても楽しい万能なマシンに仕上がっていた。
-
ホンダ・クロスカブ110ライト(4MT)【レビュー】 2026.6.8 125ccクラスなのに原付一種扱いとなる、世にいう新基準原付。そのニューモデルである「ホンダ・クロスカブ110ライト」に、普段の道で試乗した。厳しい環境規制と、それに対するある種の救済措置が生んだ数奇なマシンの、ちょっと不思議な使用感を報告する。
-
ボルボXC40ウルトラB4 AWD(4WD/7AT)【試乗記】 2026.6.6 ボルボのエントリーモデルにしてブランドの屋台骨を支える「XC40」も登場からはや8年。これまで内外装やパワートレインにおいて地道なアップデートが重ねられてきたコンパクトSUVは、いかなる進化を遂げたのか。トップグレード「XC40ウルトラB4 AWD」の走りを報告する。
-
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】 2026.6.5 「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
NEW
「ホンダN-BOX」が累計販売台数300万台を最速で突破 愛された理由と未来を考える
2026.6.11デイリーコラムホンダを代表する軽自動車「N-BOX」シリーズが累計販売台数300万台を達成した。これは「ホンダ・フィット」を大幅に更新する最速の記録。もはや国民車と呼べるN-BOXシリーズの歴史を振り返り、その未来を考える。 -
NEW
メルセデス・ベンツGLC400 4MATIC with EQテクノロジー(4WD)【海外試乗記】
2026.6.11試乗記「メルセデス・ベンツGLC」のモデルラインナップに電気自動車版の「GLC400 4MATIC with EQテクノロジー」が仲間入り。システム最高出力は489PS、一充電走行距離は700km超と、まず間違いのなさそうなスペックが示されている。本国ドイツで仕上がりを試した。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(後編)
2026.6.11あの多田哲哉の自動車放談トヨタでさまざまなクルマの開発を取りまとめてきた多田哲哉さん。最新世代の「ホンダCR-V」の仕上がりに感心する一方で、ホンダに限らず気になる点があるというのだが……。その“大きな課題”とは? -
ええ? 燃費でも「アルヴェル」に勝ってるだとぉ…… スクープ! 激白新型「エルグランド」のホントの話
2026.6.10小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ日産の立て直しという大命を抱いて発売される新型「エルグランド」。自らが創出したジャンルでありながら、トヨタに好き放題にされてしまっているのが現状だ。日産はどんな武器を手に失地回復に挑むのか。小沢コージが開発トップを直撃! -
「RAV4」「CX-5」「CR-V」の新型がそろい踏み 国産ミドルサイズSUVの長所と短所
2026.6.10デイリーコラム国内メーカーのミドルサイズSUVのモデルチェンジが相次いでいる。とりわけトヨタの「RAV4」、ホンダの「CR-V」、マツダの「CX-5」は、各メーカーの北米における最量販車種であり、失敗の許されないモデルだ。それぞれの長所と短所を探ってみた。 -
マツダ スピリット レーシング・ロードスター(FR/6MT)【試乗記】
2026.6.10試乗記マツダ スピリット レーシングを象徴するハードコアモデル「ロードスター12R」と同時に発表された、台数限定2200台の「ロードスター」に試乗。12Rとの比較を交えながら、最高出力184PSの2リッター直4エンジンがもたらす走りの印象を報告する。































