三菱ランサーエボリューションIX MR/ワゴンMR【試乗速報】
次を待つ必要はない 2006.08.30 試乗記 三菱ランサーエボリューションIX MR/ワゴンMR 三菱の本気モデル「ランエボIX」が、セダン/ワゴンともにマイナーチェンジ。「MR」の名を冠し、フェイスリフトの他、エンジン、シャシーに手を加えられた。次期モデルのウワサが早くもささやかれる中、サーキット走行で「MR」の価値を探す。
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「4G63 Final Model」
壁に貼られたMRの宣伝ポスターには「4G63 Final Model」の文字。試乗会場にいたエンジニアは、胸に「4G63」と大書きされたTシャツを着ていた。
大幅にリニューアルされるであろう次期モデル「ランエボX(テン)」を待たずに、MRを買うメリットを聞いてみると、
「熟成された4G63エンジンが一番の魅力じゃないでしょうか。アフターマーケットのパーツも豊富だし、信頼性も高い。また表にはあまりでないことですけど、部品のサプライヤーも最良です。ランエボIX MRは一つの区切りのモデルとなります」
キーワードは4G63エンジンのようだ。
ランエボIXが「MR」に進化した。MRという名称は「Mitsubishi Racing」の略で、多少古いが「ギャランGTO-MR」などのように、トップモデルに付けられるのが通例だ。しかし前作「ランエボVIII」同様、今回もマイナーチェンジ後のモデルに二文字のエンブレムが与えられた。それもセダンだけでなく、ワゴンにもである。
なお、グレード展開はセダンが「GSR」と「RS」、ワゴンが「GT」と「GT-A」となり、セダンの中間グレード「GT」は廃止された。
「MR」の進化は大きく3つ。デザインのリフレッシュもあるが、今回もっとも「MR」らしい変更点が、エンジンとシャシーである。それを体感するために訪れたのは、試乗会場に選ばれた栃木県のヒーローしのいサーキット。さっそく試乗車に乗り込んだ。
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タイトコーナーでわかる違い
まず確かめたのは動力性能。スペックの数字では従来と同じだが、アクセルレスポンスが違うとのこと。このようなミニサーキット走行で性能を試すにはもってこいなのである。
細かいコーナーを曲がり、出口が見えたところでアクセルペダルを踏み込むと、ガツンと後ろから叩かれたような加速を見せる。従来モデルが「ブワッ」と加速した感覚に対し、「バッ」と車体が進む。これは、MIVECエンジンのチューニングと、タービンの材質変更、さらに、コンプレッサーホイール(吸気側)の入口径を小さくするなどの結果であるという(GT-Aを除く)。
さらにコーナリング時に気がつくのは、スロットル操作による回頭性の高さである。左右輪のトルク配分を電子制御するスーパーAYCは、従来に比べ左右の駆動力移動範囲が10%広くなったため、タイトコーナーを抜ける時には、アクセルオンでぐいぐい曲がってくれるのである。
もちろん新採用のアイバッハ製スプリングとビルシュタインダンパーのセッティングが、接地性の向上に貢献しているはずだ。またこれらはピッチングレートを減少させ、高速道路などでのフラット感が高まり、安定性と乗り心地の良さをも引き出している。
なお、ワゴンモデルの足まわりは従来どおり。リアの重量が大きいワゴンモデルは、コーナリング時の“オツリ”も大きくなるわけで、これはこれでお尻を振りながら曲がるという楽しみ方ができる。
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ランエボXを待つべきか?
「実はここだけの話、次期モデルの開発と掛け持ちが多く、あまりエンジニアを連れてこれなかったんです」と広報氏。
最近ちらほらと耳にするエボXの開発も急ピッチで進められているようだ。
そんな中で登場した「ランエボIX MR」の価値はなんだろうか?
今後のWRC参戦計画が不透明である三菱の現状を考えると、エボXのキャラクターはここまでコンペティティブなものではないのかもしれない。そう考えると、このMRには、R32型スカイラインGT-Rが今も持つような価値を見いだすことができる。
しかしそれはステータスだけの問題でないことが今回の試乗で確かめられた。1992年10月に誕生した初代ランエボから発展し続けてきた4G63ユニットは最後のひと伸びを見せ、さらにシャシーも戦闘力の高いものになっていた。この価値を手に入れたい人は、次を待つ必要はない。4G63にもうこれ以上の進化はないのだから。
(文=webCG本諏訪裕幸/写真=小河原認/2006年8月)

本諏訪 裕幸
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