アルファロメオ156GTA(6MT)【試乗記】
256.0万円安い 2002.07.17 試乗記 アルファロメオ156GTA(6MT) ……544.0万円 レースモデルに付けられた「GTA」の名を冠するアルファロメオ「156GTA」が登場! 3.2リッターV6を搭載、ジオメトリーも変更されたアシを持つスポーティセダンに、webCG記者が箱根で乗った。フツーじゃない
1997年にデビューした、アルファロメオのミドルクラス「156」。日本では1998年5月に販売が開始され、「2.0ツインスパーク」(5MT)と「2.5 V6 24V」(5MT)が導入された。翌1999年に、電制クラッチを持つ2ペダル5段MT「セレスピード」と、Hゲートながらトルコン式4段ATの「Q-Sysytem」搭載モデルを追加。2000年には「スポーツワゴン」を導入し、わが国におけるアルファロメオの中核モデルだ。
156がデビューしてから5年、シリーズのホッテストモデル「156GTA」が登場した。日本では2002年7月20日から、6段MTを搭載するセダン「156GTA」が販売される。イタリア本国にはこの他に、スポーツワゴンの「156GTAスポーツワゴン」と、クラッチレスのマニュアルギアボックス「セレスピード」を備えるモデルが存在する。
ところで、GTAの“A”は、軽量化を意味する“Alleggerita”のこと。1965年に登場した初代GTAは「ジュリアGT」のエンジンとメカをモディファイ。アルミ、マグネシウム、亜鉛合金などの軽量金属でボディパネルをつくり、車重が950kgから745kgに落とされた。一方、156GTAは、セダンモデルのなかで最も重い1420kg。もしかして「なんちゃってGTA」?
ボディサイズは、ノーマルとほとんどかわらない。225/45ZR17サイズのタイヤを収めるワイドフェンダーアーチ、ディフューザー一体型フロントバンパーなどを装着し、幅が10mm広く、ローダウンサスペンションによって車高が15mm下げられた。
フロントにダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクというサスペンション形式はノーマルと同じ。しかし、専用スプリングやダンパーの採用はもちろん、ジオメトリーの変更を受ける本格チューニング。トレッドは前後とも10mm拡大された。足元の5つの大きなリングを持つホイールから、赤く塗られたブレンボ製対向4ポッド(フロント)が、さりげなく「フツーじゃないゼ」と主張する。
ドライバー、ゴキゲン
試乗車は、アルファレッドのボディカラーと、モンテカルロブラック内装。座面後半分と背もたれ下半分に、太いうねが設けられた専用シートは、張り出したサイドサポートがバケットシート風の豪華な本革製。シートバックのみ電動調整。ハイトコントロールは、シート脇のレバーを上下するラチェット式。太もものサポート位置調節も可能だ。濃い灰色「ペルトログレイ」のインパネや、アルミ削りだしのABCペダルなどに、ノーマルとの差別化が図られた。装備品は豊富で、左右独立して温度調節できる、デュアルゾーン式エアコンや、ラジオと10連奏CDチェンジャー付きのBOSE製サウンドシステム+9スピーカーなどを標準装備する。
パワーソースは、166やGTVに搭載される3リッターV6DOHC24バルブのストロークを5.4mm延長した、3.2リッターV6。吸排気ポートの形状やバルブタイミングのモディファイ、専用ECU、空冷式オイルクーラーなどを用いる専用チューンが施された。最高出力は250ps/6200rpm、最大トルク30.6kgm/4800rpmを発生する。組み合わされる6段MTのギア比は、GTVと1〜5速まではまったく同じ。しかし、6速が0.811から0.818へ、最終減速比が3.562から3.733に落とされた。GTVのギアを、webCGアオキが「凝ったクロースレシオ」と評したが、GTAにもあてはまる。
エンジンは、アイドリングで楽々発進できるくらいトルキーかつ静か。目地段差の突き上げも丸く、低回転に抑えればサルーンのような優雅さをもって走る。アクセルを踏み込めば、3500rpmあたりで聞こえだす「フォォオーン」の音を伴って加速。けして“猛加速”ではないのだが、この音があればドライバーはゴキゲン。ボリュームはそれほど大きくないが、0-100km/h加速は6.2秒。第1級のパフォーマンスだ。
ライバルはM3
ロックトゥロック1.75回転とすばらしくクイックなステアリングは、山道では9時15分の位置に手を添えたまま、ほとんどのコーナーをカバーできる。前軸重量930kgと重いことによる影響をなしとはしないが、適度なロールとともにコーナーへ進入するのが楽しい。タイヤの空転を感知し、ブレーキとスロットルで4輪のトラクションを独立してコントロールする電子デバイス「ASR」のおかげで、腕に覚えのないリポーターでも安心感は高い。シフトレバー手前のスイッチでASRをオフにすれば、右足でクルマのお尻をコントロールすることもできる、ハズである。
156GTAの性能を改めて数値で表すと、250ps、最高速度250km/h、0-100km/hは6.3秒、0-1000mは25.9秒。『Car Graphic』のテストデータによると、BMWのスポーツモデル「M3」(6MT)は343ps、0-100km/hが5.4秒、0-1000mは24.5秒だ。93ps、0.9秒と1.4秒の差を「全然違うじゃん」とおっしゃる御仁もいるだろうが、M3の800.0万円に対して、156GTAは544.0万円。256.0万円も安く、運転が盛り上がる演出がついた、カッコ良さでは負けないホットなスポーツセダンを手に入れられるのだ。そのうえ2002年度は、2000台生産されるうち、日本への割り当て250台という希少性もある。じゅうぶんM3のライバルたりうるんじゃないでしょうか。
(文=webCG大澤俊博/写真=位田明生/2002年7月)

大澤 俊博
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