第169回:ちょっと安心の最新型「ポルシェ911」試乗報告 “最新=最良の法則”は俺にはやっぱ通用しないぜ! 前編
2004.11.07 小沢コージの勢いまかせ!第169回:ちょっと安心の最新型「ポルシェ911」試乗報告 “最新=最良の法則”は俺にはやっぱ通用しないぜ! 前編
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■「964」オーナー、アセる!?
いやー、ちょっと安心しました「997型」こと最新型「ポルシェ911」の試乗会。正直、期待っつうか心配してたのね。「どんだけ欲しくなっちゃうか」と。
だって見た目がクラシカルな丸目風になってると同時に、走りが相当よくなってるみたいじゃないですか。あれだけ各所で書かれてれば、さすがに伝わるのよ。「ホントによくなってる」のか「仕方ないからホメてる」だけなのか。
『webCG』の試乗記事しかり、他の雑誌の原稿しかり、まさにベタボメ。となるとほとんど早く結婚しすぎたオトコと同様、「やっぱアッチのがよかったか……」ってなる。っていうか俺のポルシェ、たしか5年前ぐらいに買った中古の964だし、金額的には全然かなわないんだけどね。心情的な問題よ。旧々型オーナーとしてなんとなくアセるかどうか、という。
正直、996にはほとんどアセんなかった。今までの911と全然違うし、ハッキリ言って熟成不足。さらに昔の993は、964より走りはよくなってるけど、カッコがよくないし。俺のなかでは乗りやすくてカッコよくてポルシェらしい味を持つ、964の後期型で十分だった。唯一、出まわりすぎてるのが難だけどね。
ところが997は走りもカッコもポルシェらしくなってるようで、実は964の正常進化版なのか? という懸念があったのだ。
そしたら期待通り大変よくなってはいたけど、全然悔しくなりませんでした。あーよかった〜。俺って心配性なのかなぁ。
■イメージと現実
というのも別物だから。まずはスタイルだけど、空冷ポルシェ時代に戻ったっていうより、水冷型をベースにフロント周りをちょっとクラシカルにしただけ。たしかにこっちの方が馴染むけど、大げさにいうと最新型ホンダに昔のウィングマーク付けたようなもんで、多少の違和感もある。全体のフォルムはまごうことなき996型だし、特にリアデザインなんてほとんど変わってないのよ。
ホントはねぇ、まったく新しい、超スポーツカー的かつ硬派なフォルムがいいんだろうけど、ポルシェってその辺ヘタだしね。
あとねぇ、乗るとやっぱりモダンなのよ。たしかにインテリアはだいぶ変わってて、特にメーターまわりは、各メーターがより独立感を増してカッコよくなった。全体の質感も上がってて、ある種、アウディみたいなイメージもある。ただねぇ、最近わかってきたけど、俺がクルマに求めるものって実は“別物感”や“別世界感”。だから964を買ったワケだし、最近、ロールス・ロイスも買った(これは後で報告します!)。911 の場合、個人的にはあの独特のバスタブみたいなキャビン、つまりスカスカの下半身や、フロアから生えるキノコべダルにとどめをさす。これはどうしようもない感情で、そう考えると911は、俺にしてみればやっぱり993型までで終わってるのよ。申し訳ないけど。(後編に続く)
(文と写真=小沢コージ/2004年11月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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