トヨタ・ヴィッツ1.3L U Lパッケージ(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴィッツ1.3L U Lパッケージ(CVT) 2003.03.06 試乗記 ……133.8万円 総合評価……★★★★再び熾烈な競争を
小型車への採用にはずっと懐疑的だったトヨタなのに、実は開発を進めていたCVT(ベルト式無段変速機)を、満を持して「ヴィッツ」に投入。テスト車の「U」は、実質上のヴィッツ最上級グレード。CVT採用にあわせて、パワーソースとして、従来の1.3リッター“2NZ-FE”型にかわって、1リッター“1SZ-FE”エンジンを1.3リッターに大型化した“2SZ-FE”型を新開発、低燃費化に弾みをつけた。これはもちろん、2002年の登録台数で「トヨタ・カローラ」からトップを奪った「ホンダ・フィット」追撃のためであり、「10・15モード」でクラストップの23.5km/リッターを実現した。この値は、フィット1.3リッターの数値23.0km/リッターを0.5km/リッター上まわるものだ。こういった実質的な改良による競争は大いに歓迎すべきもので、どんどんやってもらいたい。
肝心のクルマの中身がダメならば意味がないが、CVTは完成度高く、エンジンもトルクが十分で扱いやすく仕上がっている。ヴィッツにとってのCVT採用は大正解だった。ヴィッツは、同じトヨタの「イスト」や、フィットなどに販売台数で水をあけられることが多くなってきたが、この1.3Uの登場によって、再び熾烈な競争を巻き起こすだろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1999年1月に発表されたトヨタの新世代コンパクトカー。欧州戦略車でもある。3ドア、5ドア、2種類のハッチバックボディをもち、エンジンラインナップは、デビュー当初は1リッターと1.3リッター、2000年10月に1.5リッターが追加された。2001年12月、1リッターモデルがフェイスリフトを受け、環境性能向上が図られた。
2002年12月25日、ヴィッツはマイナーチェンジを受け、新開発の1.3リッター直4(2SN-FE型)とCVTを組み合わせたモデルが加わった。従来の1.3リッター(2NZ-FE型)も併存する。グレードは、下から「B」「F」「U」、フロントベンチ風シートを備えた「ペアスタイル」、レトロ調「クラヴィア」、スポーティな「RS」で構成される。
(グレード概要)
2002年12月のマイナーチェンジで、「U」および「クラヴィア」に、CVT(トルクコンバーター付き無段変速機)と1.3リッター直4を組み合わせたモデルが追加された。いずれも、「10・15モード」燃費=23.5km/リッターを誇る。さらに「トヨタ・インテリジェント・アイドリングストップ・システム」を搭載した「U インテリジェントパッケージ」は、リッター25.5kmのネンピが、カタログに記載される。
なお、1.3リッターエンジンは、これまでの1リッター(1SZ-FE)直4をボア、ストロークともに拡大したもの。従来の1.3リッター“2NZ-FE”ユニットも、CVT以外のモデルに残される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
「ルノー・トゥインゴ」などの先例はあったが、1999年にヴィッツが登場した時には新鮮味があったセンターメーターも、いま見ると常識的でつまらない。散漫にさえ見えてくる。色使いも、試乗車は事務機器のようなグレーの濃淡で地味きわまりない。もっと明るく、ポップなものの方がヴィッツというクルマに似合っていると思うのだが。
(前席)……★★★
シートのかけ心地は、可もなく不可もなくといったところ。オーソドックスな「1リッター+4段AT」モデルで選択できる「ペアスタイル」なら、コラムシフト+ベンチシートになるのに。しかもペアスタイルのインテリアは、シートとドアトリム、ダッシュボードがグレーとベージュの2トーンで好ましい。1.3Uでは選べないのがもったいない。
(後席)……★★
シートは座面も背面もクッションが薄く、すこし座っていただけで背中が痛くなってきた。シートのでき不できよりもショックだったのは、タイヤと路面の擦過音と巻き上げる路面の雨水がリアフェンダー内部を叩き付ける音が非常にうるさく、耳に付いたことだ。助手席の人間もその音の大きさに驚いていた。雨の日には、このクルマの後席には座りたくない。
(荷室)……★★★
荷室の容量は、ボディサイズ通りのミニマムなもの。それでも、小さなクルマなりに努力している。リアシートが6:4の分割可倒式になっているのはもちろん、「Lパッケージ」では、「買い物アシストシート」として、助手席、後席を、荷物置きとしてより活用しようとしている。助手席座面前縁から、小物がこぼれ落ちないようにせり出す樹脂性の壁「荷物ガード」、そしてリアシート座面の中央クッション部分をストラットを引いて持ち上げ、座面上に置いた荷物がズリ落ちないようにする工夫がなされた。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
クラッチが滑っているようなCVT特有の加速感覚がほとんど感じられなくて、驚いた。さすが、トヨタが隠し球的に開発していただけのことはある。スロットルの踏み込み具合と加速感が見事に一致している。CVTと指摘されなければ、オーソドックスなトルクコンバータータイプのATと思い込んでしまう人もいるだろう。それほど、ナチュラルな感覚だ。
エンジンは従来の「2NZ-FE」よりロングストローク化され、最大トルクの値こそ0.4kgm小さい11.8kgmだが、発生回転数を400rpm落として4000rpmに。中低回転域での使い勝手に配慮された。その違いを明確に感じ取れるほどに、筆者は「2NZ-FE」の印象を強く持っていないが、新しい「2SZ-FE」を載せたテスト車は、4人乗車しての高速道路での追い越しなどでも不満はなかったことを付け加えておこう。
ちなみに、トヨタはもうひとつ「トヨタ・インテリジェント・アイドリングストップ・システム」という隠し球をもっている。これは、ノーマル「U」より6.0万円高い「Uインテリジェントパッケージ」(132.0万円)に搭載される。停車時にエンジンが止まるのはもちろん、通常の鉛電池に加えリチウムイオンバッテリーを装備、停車時のエアコンや補記類への電力供給、再始動に使用。また、減速時にはオルタネーターの発電量を増やし、エネルギー回生を行う。これらによって、「インテリジェントパッケージ」車は25.5km/リッターと、さらに「10・15モード」燃費を伸長させている。拍手!
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
車両重量の変更に伴って、ショックアブソーバーにも変更が加えられた。高速道路の舗装のつなぎ目を越えた時にボディの上下動が残ることがあるが、基本的には癖のない乗り心地とハンドリングだ。
(写真=峰 昌宏)
【テストデータ】
報告者 :金子浩久
テスト日 :2003年1月22日
テスト車の形態 :広報車
テスト車の年式: 2002年型
テスト車の走行距離 :2135km
タイヤ :(前)175/65R14/(後)同じ
オプション装備 :175/65R14 5.5JJアルミホイール(6.8万円)/前席サイドエアバッグ(3.5万円)/GPSボイスナビゲーション(9.0万円)
テスト形態 :ロードインプレッション
走行状態 :市街地(4):高速道路(6)
テスト距離 :545.6km
使用燃料:35.4リッター
参考燃費:15.4km/リッター

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