アウディQ3 2.0 TFSIクワトロ 180PS(4WD/7AT)
ちょうどいいアウディ 2015.06.04 試乗記 デビューから3年を経てマイナーチェンジが施された、アウディのSUV「Q3」。内外装やパワーユニットがリファインされた最新型に乗ってみると、このクルマが幅広いユーザーに選ばれる理由がわかってきた。次世代型のデザインを採用
アウディではいわゆるマイナーチェンジをPI(プロダクト・インプルーブメント)と呼んでいる。そのPIが実施され、日本に上陸したばかりの「アウディQ3」を試すために横浜へ向かう。
用意される試乗車はすべて同じグレード、違うのはボディーカラーだけと知り、白、シルバー、ブルーのなかから、ブルーを確保するよう編集部のSさんに伝える。というのも、新しいQ3はフロントマスクに特徴があって、その点は、3色の中ではブルーが圧倒的にわかりやすいからだ。
というわけで、Q3のフロントマスクに注目してほしいのだが、アウディのシンボルである“シングルフレームグリル”の上の角がヘッドライトと帯状につながっているのがわかるだろう。このスタイルはこのQ3から始まったもので、今後、アウディのSUV「Qシリーズ」には同じタイプのシングルフレームグリルが採用されることになる。シルバーの帯だけに、白やシルバーのボディーカラーよりも、この「ハイナンブルー」のほうが目立つのである。
今回のマイナーチェンジでは、このシングルフレームグリル以外にも、例えば前後バンパーの形状やヘッドライト、テールライトのデザインなど、実はいろいろなところが変わっているのだが、Q3オーナーか、よほど詳しい人でなければその違いに気づくことはないだろう。ただ、ウインカーやハザードランプを点滅させたときは別だ。リアLEDテールライトが流れるように点滅する「ダイナミックターンインディケーター」がこのQ3にも採用されているのだ。昭和40年代に流行した「電子フラッシャー」付きサイクリング車に憧れた身には、一番“刺さる”部分だ。
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コツコツとリファイン
アウディのプレミアムコンパクトSUVとして、Q3が日本に導入されたのは2012年のこと。導入当初は、2リッター直噴ターボエンジンとフルタイム4WDのクワトロを搭載する出力違い(170psと211ps)の2タイプからスタートしたQ3だったが、2014年半ばに150psの1.4リッター直噴ターボエンジンのFFモデルを追加し、より幅広いユーザーの獲得に成功。マイナーチェンジ後も引き続きFFとクワトロを用意するとともに、1.4リッターのFFに、より低価格のグレードを設定することで、ユーザーの裾野を広げたいというのがアウディ ジャパンの思惑である。
そんななかで試乗したのは、販売の中心となる「Q3 2.0 TFSIクワトロ 180PS」。マイナーチェンジにともない2リッター直噴ターボは180psと220psにそれぞれパワーアップしているが、そのうちのパワー控えめ仕様がこの試乗車である。7段デュアルクラッチトランスミッションのSトロニックが組み合わされ、ハルデックスカップリングにより四輪駆動を実現するのは従来と同じである。
ドアを開けて室内をのぞきこむと、見慣れた風景が広がっている。基本的にはマイナーチェンジ前と同じデザインだが、よく見るとエアベントの下にピアノブラックの装飾が加えられていたり、エアコンの操作パネルが新しいデザインに変わっていたりすることに気づく。試乗車には人気の「S lineパッケージ」が装着されていて、スポーツシートや18インチにインチアップされたアルミホイール、専用のスポーツサスペンションなどにより、よりスポーティーな雰囲気に仕立て上げられていた。
SUVであることを忘れてしまう
SUVといっても全高が1595mm(S line仕様の試乗車では1575mm)と低めのQ3は、セダンやハッチバックよりもヒップポイントが高いとはいえ乗降性は良好。それでいて、少し高めのアイポイントのおかげで運転席からの眺めが良く、開放的な雰囲気に恵まれている。
早速スポーツシートに収まりアクセルペダルを踏むと、思いのほか軽々と走りだす。低回転から豊かなトルクを生み出す2.0 TFSIエンジンは、7段Sトロニックとクワトロが組み合わされたことにより、Q3の1620kgのボディーを軽快かつスムーズに加速させてくれるのだ。
それは街中でも、ハイスピードの高速道路でも変わらぬ印象。高回転まで太いトルクが続くおかげで、急加速が必要な場面でも力強い加速を見せてくれるほどで、この180ps仕様でもパワー不足を感じることはなかった。
一方、その走りは良い意味でSUVらしくない、乗用車的な味付けになっている。試乗車はS lineということで、さらに余計な動きが抑えられていて、高速でもフラットな乗り味が楽しめるのだ。しばらく運転しているとSUVであることを忘れてしまうほどである。クワトロのおかげで直進性が優れるのもこのクルマの魅力のひとつ。235/50R18にインチアップされたタイヤとやや硬めのサスペンションが、時折路面からのショックをキャビンに伝えるが、それでも十分合格点が与えられる快適な乗り心地である。
都会の道でも強みを見せる
このように、動力性能や走りっぷりに不満のないQ3だが、このクルマの見どころはほかにもある。コンパクトなボディーサイズと少し高いシートポジションのおかげで、実に運転がしやすいのだ。
Q3の全幅は1830mmで、コンパクトと呼ぶにはやや大きいが、車幅が把握しやすいからだろう、運転してみると実際のサイズよりも小さく感じるのだ。アイポイントが高いおかげで見通しも良く、早めの状況判断ができるのもストレスの軽減につながっている。
セダンよりも最低地上高が高いことから、段差を越えるときに気を遣うこともなければ、駐車場の輪留めでガリッといく心配もない。また、これは都内で使っていて感じたことだが、駐車場の出入り口でチケットを受け取ったり、料金を払ったりするときなど、自動精算機にちょうど手が届く高さのQ3は、その場でもたつくことがないし、クルマを自動精算機に寄せやすいのも助かる。
これで全高が1550mmを切ってくれたら駐車場の選択肢が増えてうれしいのだが、その1点を除けば、都会でも使いやすいSUVのQ3。後席や荷室も十分な広さが確保され、シングルからファミリーまで、幅広いユーザーのライフスタイルにマッチするクルマなのだ。なるほど、運転のしやすさや扱いやすさが自慢のQ3が、「My First Audi」として選ばれる機会が多いのもうなずける。
(文=生方 聡/写真=郡大二郎)
テスト車のデータ
アウディQ3 2.0 TFSIクワトロ 180PS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4400×1830×1575mm
ホイールベース:2605mm
車重:1620kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最大出力:180ps(132kW)/4000-6200rpm
最大トルク:32.6kgm(320Nm)/1400-3900rpm
タイヤ:(前)235/50R18 97V/(後)235/50R18 97V(ピレリ・スコーピオン ヴェルデ)
燃費:15.0km/リッター(JC08モード)
価格:469万円/テスト車=593万円
オプション装備:オプションカラー<ハイナンブルー メタリック>(7万円)/S lineパッケージ(45万円)/MMIナビゲーション(24万円)/LEDパッケージ(16万円)/アシスタンスパッケージ(12万円)/オートマチックテールゲート(8万円)/BOSEサラウンドサウンドシステム(12万円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:465km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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