アルファ・ロメオ4C(MR/6AT)
すべてはドライバーの喜びのために 2015.06.26 試乗記 カーボンモノコックのシャシーに最高出力240psの直噴ターボエンジンをミドシップ搭載した「アルファ・ロメオ4C」に試乗。軽量・高剛性のボディーがもたらす走りの実力に触れた。たとえスーパーカーが相手だとしても
いや、速い。コイツは速い。何度乗っても感銘を受ける。そりゃ600psだとか700psだとかのスーパーカーと比べてしまえば、こちらはたった240psにすぎない。パワー不足を感じはするし、ヨーイドンで全開加速を競えば後れを取るのも確かだろう。でも、質量というものをほとんど意識させることなく、いきなり直線的に立ち上がって目覚ましい勢いでスピードに乗っていくその加速の鋭さを体感し、それでもスロットルを全開にし続けていけるドライバーがいるならば、それは相当にスーパーカー慣れしているか、あるいは頭のネジが2、3本外れちゃってる人であるに違いない。多くの場合は、タイトなコックピットに充満する、ダウンサイジング系の直噴ターボにしてはえらくはじけの利いている獰猛(どうもう)なサウンドにもどう喝されて、こんだけ速けりゃ十分だろ、とばかりにスロットルを戻すことになるだろう。
しかもツイスティーな道に入り込めば、このクルマは600ps級が来ようが700ps級が来ようが、恐れる必要なんてない。静止状態から100km/hに達するまでは4.5秒の時間を要するが、そこからピタリと停止するまでたった35mの距離しか必要としない強力なストッピングパワー。あらゆる速度域のコーナーを、とんでもないスピードで、見えないレールでもあるかのように正確に、次々とあっさりクリアし続ける驚異的なシャシーのパフォーマンス。腕に覚えがあるドライバーなら、自重で300kgほども重い大パワー系スーパーカーを少しずつ突き放していくことも、そう難しい話じゃない。そのコーナリングスピードは、クルマが限界を超えるより先にドライバーの感覚が限界を迎えてしまうレベルだ。
だが、そうした途方もない状況にクルマや自分を追い込まなくても、全方位的にダイレクトでレスポンシブで素直だから、ただ走らせているだけでも十分に楽しく気持ちいい、というのがまた素晴らしいところ。軽量+高剛性というのは本当に素晴らしい。アルファ・ロメオ4C──コイツは徹頭徹尾、ドライバーを喜ばせるために作られたスポーツカーなのだと心から思うのだ。
(文=嶋田智之/写真=藤井元輔/取材協力=ガレーヂ伊太利屋)
【スペック】
全長×全幅×全高=3990×1870×1185mm/ホイールベース=2380mm/車重=1100kg/駆動方式=MR/エンジン=1.7リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(240ps/6000rpm、35.7kgm/2100-4000rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=12.1km/リッター(JC08モード)/価格=806万7600円

嶋田 智之
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