第23回:未来は結構近かったかも?
ビックリ仰天の「テスラ・オートパイロット」を本場で体験
2016.01.26
小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ
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テスラが“半”自動運転技術ともいうべき運転支援システム「テスラ・オートパイロット」を実用化。車線維持や車速のキープ、前走車への追従はもちろん、自動で車線変更までこなすというそのシステムの実力を、アメリカのハイウェイで試した。
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テスラがついに“半”自動運転を実現!?
いやはや、ドラえもんは意外に近くにいた!? 不躾(ぶしつけ)小沢、正直、予想外に使えるんでビックリですよ。そう、話題の半自動運転システム「テスラ・オートパイロット」の話だ。
この1月には日本でもアップデートプログラムが有料配信されるようになり、今や“世界最多販売EV”となった「テスラ・モデルS」の最新モデルに搭載できるようになったんだけど、小沢は一足早く、北米ラスベガスのIT家電ショー「CES」に合わせて訪れたテスラモーターズの本拠地、西海岸サンフランシスコのフェアモントで乗っていたんですわ。主に高速中心だけどね。
使い方は簡単。一応“高速専用”ってことになっており、最初の発進時のみ使えないものの、車速160km/hまでの速度域で、路上に白線があれば使用可能だ。まずは自分でアクセルを踏んで発進。すると速度表示の左右に「メーター」と「ステアリング」のマークが浮き上がる。コラム左下のレバーを2回手前に引いて、このマークが2つとも青になれば作動開始だ!
いきなりハンドルが動き出す
そこで最初なににビックリするって、ステアリングが勝手に動き出すことだ。サンフランシスコの高速はそこそこクネクネしているが、驚くほど正確にラインをトレースする。
もっとも、厳密には多少は白線を読み間違えるようで、時折車体が左右にピクピク動く。それと一番右の車線(日本でいう左車線)を走っていて出口分岐があったりすると、一瞬ソッチにピクッ! とノーズを向けそうになったりもする。
が、本当に勝手にそちらに向かってしまうことは一度もなかったし、操舵(そうだ)に関しては運転が苦手なオバチャンの高速運転よりは安心だ。
一方車速の制御だが、そっちはスバルの「アイサイト」や三菱の「e-Assist」なんかとまったく同じで、まずは前のクルマをフォローすると同時に設定時のスピードをキープし、走行中に操作レバーを上下させるとその設定速度が変わる。で、ガンガン設定を上げていくと、前があいたと同時にガンガンスピードが上がるって仕組み。
で、このシステムのなににビックリって、車速140km/hでもほとんど怖くないことよ。もちろん、目をつぶったり眠ったりする気にはまるでなれないけど、この出来栄えは結構予想外で、もっとドキドキのライントレースかと思ったら全然そんなことはなかった。
それどころか、逆にフツウのドライバーよりちょい早めのタイミングでステアリングを切り込むような制御となっており、操作自体はヘタっちゃヘタだけど安心できる。今回はフェアモント周辺からゴールデンゲートブリッジまで、1時間ぐらいサンフランシスコ周辺の高速を走ったけど、緊急でステアリングをつかむことはほぼなかった。
その時やっと、某YouTube動画の意味が理解できた。なんせ動画には運転席に人がいない状態でテスラ・モデルSをドライブさせているシーンが出ていたのだ。あんなマネはとても怖くてできないけど、“やれちゃうこと”は確かに分かる。
レーンチェンジもそつなくこなす
それと一番ビビったというか予想外だったのは、オートパイロットの最大の売りである世界初の「オートレーンチェンジ」機能。読んで字のごとくの自動レーンチェンジで、左右どちらかの車線に移りたいと思った瞬間、行きたい方向にウインカーを出すと適切なタイミングを読んで勝手にレーンチェンジしてくれる。
これがまた、ぶっちゃけ意外とうまい! 具体的には左右真横に前後3台分あいていればスッと入る。もうちょっと躊躇(ちゅうちょ)するか? と思ったけど、あいてれば間髪入れずにスッと。それだけじゃない。隣車線の少し前方があいているのなら加速しながら合流するし、逆に加速中の車両があれば、少し待ってスピードを抑えてから合流する。オイオイ、ウチの母ちゃんよりうまいじゃんかよ! ぐらいに。意外にも冷静にクルマがまわりを見ているのだ。
しかも、ビックリなのはこれらすべての機能をフロントガラスのシングルカメラとフロントバンパーの1つのミリ波レーダー、そして12個の超音波センサーだけでやるってこと。中でもオートレーンチェンジは超音波センサーだけしか使ってないそうで、「ホントは隠しカメラとか使っているんじゃないの?」と思ったくらいだけど、ビックリするぐらいにまわりが見えている。しかもかなり適切に、ギリギリのタイミングでもレーンチェンジする。
正直、小沢はオートレーンチェンジなんて使えないだろ! とタカをくくっていたわけですよ。自分を考えて思うけど、レーンチェンジって結構思い切った判断が必要で、渋滞中などは「スマン、後ろブレーキ踏んでくれ!」ってなタイミングですることもある。でも、それくらいじゃないと使えない場合ってあるわけですよ。要するに“要アイコンタクト”なレーンチェンジってヤツ。
そしたらオートパイロットは割とそれに近いレベルでも作動する。正直、少々ドキドキ。でもだからこそスゲェ、とも思ったわけ。
子供の成長を見守るような気分
テスラ・オートパイロット第1弾の機能は取りあえずこれで終了。具体的にはレーンキープの「オートステア」と先の「オートレーンチェンジ」に加え、最後に「オートパーク」もあったけど、これは「トヨタ・プリウス」のインテリジェントパーキングアシストの縦列駐車版みたいなものなので割愛。
これだけの機能があれば、ゆったりしたアメリカの高速みたいな場所ならかなり使えるし、それどころか、本当は高速から降りて使っちゃいけないらしいが、減速車線に合流できれば結果的に降りられちゃって、しっかり白線があれば、一般道でも一部使えちゃうのである。
正直、日本の“首都高”で使えるかは分からないけど、シスコの高速と高速をつなぐ結構Rのきついランプウェイでも問題なかったし、後は交差点の右左折と赤信号停止ができれば「なんだ、自動運転って結構近いんじゃん!?」って思えたわけですよ。
もちろん、テスラ・オートパイロットは完全な自動運転じゃないし、クルマもメーカーも決して安全を保証していない。なんだかんだいっても運転はすべてドライバーの責任だし、カメラ1個とレーダー1個、超音波センサー12個だけでは安心できないってのも事実である。
それと、日本仕様のオートパイロットは常にハンドルを握ってないとオートレーンチェンジはできないらしい。まあ、だからこそ厳しい日本でも認可されたんでしょうけど。
よって、日本じゃまったくこれと同じキブンでは使えないはずだけど、少なくともアメリカの高速じゃラクチンだったし、不思議な心の余裕が生まれていたのも事実。移動しながら写真も撮れるし、メモも取れる。「あれまあ、なにこのココロの余裕!」って具合で。
なにより、「ああ自動運転時代の到来って、こうやってできることが一つひとつ増えていくことなのね」と実感した。子供が一つひとつトイレの使い方を覚え、言葉を覚え、走ることを覚え、自転車を覚え、ケンカを覚え、悪口を覚え、大人になっていくようにだ。
五里霧中だった自動運転時代のイメージ。それが少しまた見えてきたのがなによりの収穫! って感じでありましょうか(笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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