第8回:夢の世界をちょこっと拝見!
輸入車チョイ乗りリポート~オーバー2000万円編~
2017.03.22
JAIA輸入車試乗会2017
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ベントレーの「フライングスパー」に「ベンテイガ」、アストンマーティンの最新モデル「DB11」、「ランボルギーニ・ウラカン」の後輪駆動バージョン……。お値段2000万円オーバーの高級車の中から、webCG編集部員が注目モデルの走りをリポートする。
“全能感”たっぷり
ベントレー・フライングスパーV8 S……2100万円
輸入車の世界には「1000万円のクルマ」がごろごろしているけれど、現実的にはどれも、多くの人が所有することのないぜいたく品だ。「ベントレー・フライングスパーV8 S」の価格は、その2台分+100万円。一体どんな人が選ぶのか? インポーターに問うてみれば、「法人として買われる方」がかなり多く、個人オーナーの平均年齢は(フライングスパーのV8モデル全体で)49歳だという。
2016年は、SUV「ベンテイガ」の国内セールスが85台と好調で、フライングスパーの需要が食われたのは確かなものの、その影響はさほど大きくなかったらしい。この4ドアサルーンの販売実績115台は、日本におけるベントレー車全体の3割近くを占めている。
実際に接してみると、「どうしてもコレがいい!」という人の気持ちが理解できる。大柄なボディーは横から見ると凸型のシルエットで、昨今はやりの4ドアクーペとは対照的。いかにも中でくつろげそうで、安心感がわいてくる。実際後席は、平均的な日本人なら足を組んで過ごせるほどの広さ。でも、「それならミニバンでもいいや」なんて考えは、50歳前後のパワーエリートにはないだろう。天井までレザーで覆われたぜいたくな室内空間は格別なムードだし……何より、運転席での気持ちよさが違う。
「V8 S」は、ノーマルのフライングスパーよりもシャープなステアリングや硬めのサスペンションが特徴だけれど、それでも乗り心地は快適そのもの。V8エンジンのハミングも心地いい。最大トルクの69.3kgmは1700rpmで発生。2.5tの車重を感じさせないほど軽やかに走る。この、圧倒的な余裕がもたらす“全能感”といったら……。2100万円の価格に値するかって? そんなお金を使ったことのない自分には、なんとも言えません。
(文=webCG 関/写真=田村 弥)
うれしくて 切なくて
アストンマーティンDB11……2591万5720円
2004年に「アストンマーティンDB9」が登場したとき、ほかのどんなスポーツカーとも似ていない美しい姿に魅了されて、見るたびにため息をついたものだった。
DB9の後継たる「DB11」も、その点は「さすがアストン」。キャビン側がガバッと開くボンネットや、ルーフのリアエンドが浮いているように見える造形、シートの有機的なステッチなどが目を引くデザインは個性的かつ魅力的で、様変わりしてなおアストンマーティンの旗艦であることを主張する。
いざ運転してみると、見た目以上にDB9とは別モノになっていた。先代のイメージはスポーツカーというよりもグランドツアラーで、重い車体をエンジンの力に任せて走らせているような印象だったけれど、DB11はその大きさに似合わず、加減速でもコーナリングでも常に身軽な感じがする。何かに似てると思って頭に浮かんだのは、フェラーリの「F12ベルリネッタ」だった。
実際アウトプットは、最高出力608ps、最大トルク71.4kgmという途方もない数値だ。ボタンひとつで走行モードやサスペンションの設定ができるなど、電子化も進んだ。でも、そうした“前向きな進化”は、同時に切なさも感じさせる。新開発のV12ターボはキャビンを轟音(ごうおん)で満たすものの、その質は自然吸気の12気筒が奏でた高揚感のあるサウンドとは違う。反時計回りのタコメーターが粋だった計器盤は液晶メーターに変わり、センターコンソールに差し込むクリスタル製の始動キーはオーソドックスなリモコンキーになった。インフォテインメントシステムはたしかに13年分の進化を果たしたけれど、「メルセデス・ベンツのものをそっくり拝借した」感は否めない。
そんなDB11のセールスは絶好調で、ほかのアストンよりもはるかに他ブランドからの乗り換えが多いというのだから、大きなお世話なのだろう。自分だって、大金が手元にあれば即オーダーしたいくらいだ。それだけに、「なんだかなー」のため息も出ちゃうんだよなぁ。
(文=webCG 関/写真=田村 弥)
機械式時計にまつわる疑問と考察
ベントレー・ベンテイガ……2695万円
「ベンテイガ」には有償オプションで、ブライトリング製のトゥールビヨン機構付き機械式時計が用意されているそうな。お値段はなんと、およそ2000万円。「スマホで時間が分かる時代に……」と、トゥールビヨンが何たるかを知らぬ一山いくらの民草は首をかしげるばかりである。
乗り心地はいい。前はもちろん後ろもすばらしく、乗車したとたん、これまでさんざん後席の乗り心地に不満を垂れていたwebCG折戸が、「ああ~」と完全降伏の声を上げた。
踏んだら速い。そりゃそうだ。6リッターの大排気量W12エンジンに、ターボ2基がけですもの。0-100km/h加速は4.1秒だそうですから、料金所グランプリでは怖いものなしでしょう。
ただ、そういった、われら民草には「スゲー」としか形容できない側面については、ぶっちゃけベントレー以外のライバル車種(……まあベンテイガについてはフォロワー不在の孤高の状態ではありますが)でもかなえられている。少なくとも、寡聞にして記者は2000万円オーバーで遅いクルマ、乗り心地の悪いクルマにまみえたことがない。
そうした中でライバルとの差別化を図るためには、やはり「これぞベントレー」といったムンムンなまでにゴージャスなインテリアとか、重量級ボディーと大排気量エンジンの恩恵を存分に生かした、陸の王者的な走り味とかが必要になるのでしょう。
で、きっと「2000万円の機械式時計がオプションで設定されていること」も、それらと同じような役割を担っているのだろうなと。
今回試乗したクルマには、残念ながらその時計は付いていなかったけど、豪奢(ごうしゃ)な車内から他車を見下ろしつつステアリングを握りながら、記者はそんなことを考えたのでありました。
(文=webCG ほった/写真=峰 昌宏)
スーパーカーはオープンで乗るに限る
ランボルギーニ・ウラカンRWDスパイダー……2788万5924円
コンバーチブルでもなくカブリオレでもなくスパイダーを名乗るだけのことはある。ソフトトップを開け放った「ウラカンRWDスパイダー」は低く、幅広く、アスファルトにうずくまり、その名の通りクモのように見える。
シートに着くと、まずは開放感の高さにハッとさせられる。いまどきのオープンスポーツの中には、ドアのウエストラインが高く、加えてウインドシールドがこちら側に迫り、開放感より守られ感の方がまさっているクルマも多い。しかしウラカンRWDスパイダーは、その居心地がまるで股上が浅いローライズのジーンズにようにあやうい。外界が思いのほか乗員に近く、爽快である。
そして、カーボンとアルミからなるボディーの剛性感がとても高いのが印象的だ。試乗コースの西湘バイパスの継ぎ目を通過してもボディーはミシリともいわず、「堅牢(けんろう)」という2文字が思い浮かぶ。このボディーがあればこそ、この思いのほか快適な乗り心地を得ることができたのだろう。
だから、580psと55.1kgmという飛び抜けたピーク値を誇る5.2リッターV10エンジンの、上澄みのごとき低中速域ばかりを使って流しても、決して退屈ではない。体で風を切りながら走る、オープンカードライビングの醍醐味(だいごみ)がある。ウラカンRWDスパイダーは飛ばさなくたって心が弾むスポーツカーである。
もちろん、エンジンを高らかにうたわせて走るウラカンRWDスパイダーも極めて魅力的だ。キャビンの背後から降り注ぐV10サウンドは、クーペモデルにはない最も魅力的な“オプション”である。後輪駆動ならでのキレのいい回頭性も相まって、ドライバーにはまるでバイクを操っているかのような感触が残るはずだ。
(文=webCG 竹下/写真=田村 弥)

竹下 元太郎
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