フォード・クーガ/レクサスCT200h/MINIクロスオーバー(後編)【試乗記】
フォード・クーガ/レクサスCT200h/MINIクロスオーバー(後編) 2011.04.11 試乗記 フォード・クーガ タイタニアム(4WD/5AT)/レクサスCT200h“Fスポーツ”(FF/CVT)/MINIクーパーS クロスオーバーALL4(4WD/6AT)……406万7800円/424万9500円/479万2000円
いま新車で買える、3台の個性派モデルに試乗。市街地からワインディングまで走らせて、その魅力を探った。
“ファン・トゥ・ドライブ”標準装備
(前編からのつづき)
見た目の個性も大切だが、乗ってつまらなければ、お話にならない。その点、この3台の走りはそれぞれの魅力をブーストしてくれる。
走りがウリといえば「MINIクーパーS」だ。その一員である「クロスオーバー」も例外ではない。“ゴーカートフィーリング”と称される俊敏なハンドリングはこの大柄なMINIでも健在で、もちろん、「ハッチバック」に比べるとマイルドな印象だが、なかなか鋭い回頭性を見せつけられると、思わずニヤリと笑みがこぼれてしまう。車高の高さが乗り心地や安定性に悪影響を与えることもなく、走りのバランスはきわめて高い。
低回転から十二分のトルクを発生させるエンジンは、4000rpmを超えたあたりからガゼン勢いづく感じでスポーティ。ワインディングロードではアクセルペダルを踏む右足についつい力が入ってしまう。
10・15モード燃費32.0km/リッターを誇る「レクサスCT200h」も、エコカーであることを忘れさせるスポーティさを見せてくれた。センターコンソールの「ドライブモードセレクトスイッチ」でスポーツモードを選ぶと、メーターパネルが赤く染まり、さらにパワーメーターが回転計へと“表情”を変える。ハイブリッドの駆動電圧は500Vから最大650Vに昇圧され、アクセルペダルやステアリングホイールの操作に対する反応も切れ味を増す。スポーティな味付けのサスペンションは、ワインディングロードではロールをきっちり抑え、MINIクロスオーバーのお株を奪うほどのゴーカートフィーリングを味わわせてくれる。高速では締め上げられた足まわりが高いスタビリティをもたらし、グランドツアラーとしての一面を垣間見ることができた。
SUVらしからぬカルさ
こう見えて(?)運転が楽しいのが「フォード・クーガ」だ。現行の「フォーカス」に採用される「C-carプラットフォーム」をベースに仕立て上げられたクーガは、車高が高いぶん、ロールやピッチングの動きが多少見られる一方、街中などふだんの乗り心地はマイルドで、SUVの優等生的なマナーを示す。高速の安定感はまずまずで、優れた直進性とあいまってドライバーは疲れ知らずだ。
ところが、ワインディングロードでペースを上げていくと、しなやかなサスペンションがしっかりと路面を捉えるとともに、SUV離れした軽快な身のこなしでコーナーをクリアしていく。2.5リッターターボエンジンは低回転から力強いばかりか6000rpmあたりまで勢いが続く。とくに4500rpmを超えたところからジュワーンと響き渡るサウンドが心を踊らせてくれるのだ。
さらにクーガの場合、ボディサイズにゆとりがあるぶん、キャビンには余裕があるし、ラゲッジスペースも他の2台を上回る広さを確保している。テールゲートに、上部のリアウィンドウだけ開閉可能な「2ウェイリアリフトゲート」を採用するおかげで、手荷物程度ならハッチを全開せずとも出し入れできるのも便利だ。
MINIクロスオーバーも、4ドアボディだけに他のMINIに比べると後席のアクセスに優れており、後席のスペースにも不満はない。試乗車は4人乗りだったが、オプションで5人乗りも選べるのもうれしい配慮だ。
CT200hの室内はレクサスらしい上質なインテリアがアドバンテージといえるだろう。後席の広さは必要十分というレベルで、大人が乗っても窮屈な感じはしない。また、ラゲッジスペースは一見狭く感じるが、床下に大きな収納ボックスが潜んでいるから、メンテナンス用の小物などを隠しておくにも重宝するはずだ。
使える個性派
というわけで、今回紹介した3台はいずれも、才色兼備というか文武両道というか、デザインだけでなく、走りやパッケージングなど多方面にわたって魅力あふれるクルマである。どれを選んでも、クルマの新しい楽しさをもたらしてくれるに違いない。
そもそもこの3台は、クロスオーバーやハイブリッドという呼び名に似つかわしく、マルチな才能を持つのが最大のポイントである。MINIクロスオーバーには、MINIらしいデザインと走りに加えて、これまでのMINIにはない優れたパッケージングが備わっているし、クーガには「フォーカスST」譲りのスポーティさとSUVの機能性が、そして、CT200hにはハイブリッドカーの環境性能とスポーツドライビングの楽しさが両立されている。
それだけに、この中からオススメの1台を選ぶのは至難の業だ。ちなみに、あくまで個人的な意見を言わせてもらうと――最近、小さな「アウディA1」を購入した私としては――運転が楽しく、乗り心地も快適で、さらに家族とともに出かけるにも便利なクーガに強く引かれている。しかもできれば、明るく開放的なキャビンをもたらすパノラミックルーフ付きがいい。ああ、夢の“8輪生活”……。
そんなことを想像するだけで楽しくなるのも、このクルマの才能だろう。
(文=生方聡/写真=高橋信宏)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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