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ポルシェ・マカン ターボ(4WD)【海外試乗記】

まぎれもなくポルシェ 2024.05.16 アウトビルトジャパン AUTO BILD 編集部 電動「ポルシェ・マカン」はまだ虎の子の存在か? そのデータは印象的で、多くのことを約束してくれる。しかし、燃焼エンジンのフルサウンドなしで、本当にポルシェたり得るのだろうか。

※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
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2030年までに80%の車両を電動化

インドネシア語で「虎」を意味するマカンは、「カイエン」の弟分としてスポーティーなシュヴァーベン製モデルをSUVの波に乗せることを意図していた。そしてそれは実現し、成功した。10年の間に、2度のフェイスリフトを経て約85万台が販売された。

第2世代へのプレッシャーはそれに応じて高い。特に新型は電動専用であり、プラットフォームはもはや燃焼エンジンの搭載を許さない。この点で、ツッフェンハウゼンのメーカーは2030年までに80%以上の車両を電動化するという独自の目標を掲げている。

最高出力639PSのターボ

これが顧客に受け入れられるかどうかはまだ分からない。特に内燃エンジンの終焉が政治家の間でも疑問視されている現状ではなおさらだ。しかし、EVポーカーゲームの結果がどうであれ、新型マカンには目を見張るものがあり、何よりも運転する喜びがある。顧客に最初に届けられるのは、「マカン4」と「マカン ターボ」の2バージョンである。両モデルとも、フロントアクスルとリアアクスルにそれぞれ永久磁石式同期モーターを搭載し、4輪を駆動する。

マカン4のシステム出力は387PS。ローンチコントロール付きのオーバーブーストを使うと408PSのパワーと650N・mのトルクを発生する。性能データでさらに印象的なのは、私たちが運転したマカン ターボだ。定格出力は584PSで、オーバーブースト時には639PSと1130N・mを発生。ローンチコントロールを作動させると、静止状態から100km/hに達するのに3.3秒しかかからない。その間、ドライバーはスポーツシートに勢いよく押し込まれ、一瞬息が止まるほどだ。

リアのエアアウトレットは新型「マカン」のなかでも「ターボ」専用だ。
リアのエアアウトレットは新型「マカン」のなかでも「ターボ」専用だ。拡大
「マカン ターボ」の一充電走行距離は心配かもしれないが、ドライビングプレジャーは問題ない。エキゾーストサウンドに代わってエレクトリックスポーツサウンドが鳴り響く。
「マカン ターボ」の一充電走行距離は心配かもしれないが、ドライビングプレジャーは問題ない。エキゾーストサウンドに代わってエレクトリックスポーツサウンドが鳴り響く。拡大
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最高精度のステアリング

マカン ターボのコーナリングをより安全に、より楽しくするために、ポルシェが言うところの電子制御トラクションマネジメントシステムは、従来の全輪駆動システムの5倍の速さで制御する。さらに、マカンのパッケージを締めくくるものとして、リアアクスルステアリング、トルクベクタリング、電子制御式トランスバースロックがあり、最高のドライビングプレジャーと安全性を実現している。

しかし、ディファレンシャルロックには欠点もある。リアアクスルの電動モーターに接続されているため、マカン4に比べてトランクスペースが60リッターも奪われてしまうのだ。

マカン4のトランク容量は540リッターだが、マカン ターボは480リッターしかない。フロントトランクの容量は84リッターで同じ。後席乗員のスペースも同様だ。先代モデルと比較すると、4.78mの全長を維持したままホイールベースが86mm延長されている。つまり、リアシートの快適性が大幅に向上したのだ。

リアアクスルにディファレンシャルロックが備わっているため、ラゲッジルーム容量は「マカン4」よりも60リッター小さい。
リアアクスルにディファレンシャルロックが備わっているため、ラゲッジルーム容量は「マカン4」よりも60リッター小さい。拡大

ヘッドアップディスプレイに自信あり

インフォテインメントも改良された。ドライバー正面には標準で12.9インチのモニターを搭載。センターディスプレイは10.6インチで、希望に応じて助手席にも同サイズのタッチスクリーンが用意される。マルチメディアシステムの技術的基盤には「アンドロイドOS」が採用されており、アプリの種類も増えている。

ポルシェは、オプションのヘッドアップディスプレイに自信を持っている。見かけ上、ドライバーから10m離れた位置に映像が表示されるため、87インチディスプレイ並みの大きさになる。この点では熱狂しにくい中国人ジャーナリストでさえ、「これ以上のディスプレイはまだ見たことがない」と認めるほどだ。約600kmとしている航続距離が、熱狂を引き起こすかどうかはまだ分からない。

1周目、コートダジュールの後背地にある入り組んだ山道での消費電力は、20kWh弱と妥当な範囲にとどまった。さらに、最大240kWの回生パワーがあるため、特に下り坂で容量95kWh(ネット)のバッテリーが急速に消耗することはない。さらに、最大270kWの急速充電が可能なため、適切なソケットを使えば21分で10%から80%まで充電できる。

ちなみに、AC充電用のコネクターがリアマッドガードの両側に配置されているのは、充電のためのうれしい特徴だ。現在のところ11kW出力に対応だが、間もなく22kWに引き上げられる予定だ。

ドライバー用ディスプレイに加えて、センターと助手席側にタッチスクリーンを搭載。大きなヘッドアップディスプレイはガジェット好きの中国人をも喜ばせている。
ドライバー用ディスプレイに加えて、センターと助手席側にタッチスクリーンを搭載。大きなヘッドアップディスプレイはガジェット好きの中国人をも喜ばせている。拡大

内燃エンジン車よりも高価

それ以外の点では、マカンはその出来栄え、上質な素材、そして今ではすっかり身についた使い勝手のよさで輝いている。ポルシェのドライバーにとって、新型マカンに乗り込むのはわが家に帰るようなものであるはずだ。それはハンドリングだけでなく、走行特性にも当てはまる。しかし、電動ドライビングを楽しむ対価は、従来の内燃エンジン車よりもかなり高額になる。マカン4の価格は控えめな8万4100ユーロ(約1400万円)からで、パワフルなターボは11万4600ユーロ(約1900万円)からである。

結論
マカン ターボは、電気自動車であっても本物のポルシェであることに変わりはない。これは価格だけでなく、俊敏性やドライビングプレジャーにも当てはまる。先代の内燃エンジンのように人々の心をつかむことができるかどうかは、まだ分からない。

AUTO BILDテストスコア:2

(Text=Holger Preiss/Photos=ポルシェ)

記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)

エンジニアは2.4tの車重を見事に克服し、最高レベルのドライビングダイナミクスを実現している。
エンジニアは2.4tの車重を見事に克服し、最高レベルのドライビングダイナミクスを実現している。拡大
AUTO BILD 編集部

AUTO BILD 編集部

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