クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=3915×1695×1525mm/ホイールベース=2500mm/車重=1050kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4SOHC16バルブ(120ps/6600rpm、14.8kgm/4800rpm)/価格=169万8000円(テスト車=178万2000円/VSA(ABS+TCS+横滑り抑制)=5万2500円/コンフォートビューパッケージ=3万1500円)

ホンダ・フィットRS(FF/6MT)【試乗記】

みんなの「RS」 2010.11.15 試乗記 笹目 二朗 ホンダ・フィットRS(FF/6MT)
……178万2000円

マイナーチェンジで、顔立ちがガラリと変わった「フィットRS」。その走りっぷりや乗り心地をリポートする。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

間口の広い6MT

ホンダはハイブリッドのスポーツカー「CR-Z」を登場させたときに、「MT好きの顧客はまだ確実に潜在する」と手応えを感じたようだ。「フィット」のMT仕様はこれまでも存在したが、さらなるMTユーザーを獲得しようとフィットの上級グレード「RS」をより魅力的に磨きあげた。

まず最初に、改良されたギアボックス、6段MTについて考察してみよう。1.3リッターモデルの5段MTをもとに、1、2、3速の下3段をより低く、上の4、5速を高くし、さらにその上に6速を足して、ギア比そのものを見直した。ステップアップ比は1.85―1.51―1.30―1.17―1.11となる。グラフでみると、いくぶん広範囲に分散され使いやすくなったように見える。

実際に乗ってみると、これはいわゆるクロスレシオではないし、トップギアで「100km/hのときに3000rpm」は回り過ぎ。6段あるのだから、トップギアはもっと燃費を考えてもいい……と、われわれシニア世代は思う。「RS」とはいうものの、サーキット専用ではないし、これでラリーをやるわけでもない。結局は実用車のユーザーが対象だ。単にATではなくMTという、MT初心者向けの設定なのだろうと納得する。

今時のエンジンはトルクバンドも広く、ピーキーではない。絶対的なパワー/トルクも十分に確保されている。だから50km/hも出ていれば6速で走れてしまう。トップギアを多用する人にとっては、レスポンスを考慮するとこれでいいのだろう。高速巡航時の燃費の良しあしは、エンジンの基本性能による。

リミッターに当たる最高速度は、4速でも5速でも出そうだ。峠で速いクルマに追いつかれたとしても、セカンドでいっぱいに回せば、70km/hほどには伸びる。
高速道路の上り坂での追い越しを考えても、サードで130km/hまで引っ張れれば、瞬時の役にもたつし、広範囲をカバーする。

2代目「フィット」デビュー時には、1.5リッターモデルの総称だった「RS」。3年後のマイナーチェンジを機に中身も見た目もテコ入れされ、よりスポーティなグレードに生まれ変わった。
2代目「フィット」デビュー時には、1.5リッターモデルの総称だった「RS」。3年後のマイナーチェンジを機に中身も見た目もテコ入れされ、よりスポーティなグレードに生まれ変わった。 拡大
6段MTのシフトストロークは、ハイブリッド・スポーツを称する同社の「CR-Z」と同じ45mm。なお、「フィットRS」にはCVT仕様もラインナップする。
6段MTのシフトストロークは、ハイブリッド・スポーツを称する同社の「CR-Z」と同じ45mm。なお、「フィットRS」にはCVT仕様もラインナップする。 拡大
1.5リッターエンジンのパフォーマンスは、マイナーチェンジ前と変わらず。上質感をウリとする他の1.5リッターモデル「15X」とも同じスペックだ。
1.5リッターエンジンのパフォーマンスは、マイナーチェンジ前と変わらず。上質感をウリとする他の1.5リッターモデル「15X」とも同じスペックだ。 拡大
ホンダ フィット の中古車webCG中古車検索

シートは質で勝負せよ

パワーが限られていた昔のクルマは、その非力さをギアボックスで補う必要があったから、われわれ世代は「もっとセカンドでパンチがあった方がいい」とか、「峠道で2-3速の往復を楽しみたい」などと思ってしまうのだが、それはもう古い考えなのだろう。コクコクと手首の動きで短く決まるシフトのフィーリングや軽い踏力のクラッチ等々、MTの楽しみはむしろそちらにあるというわけだ。
それでもへらず口を叩くとすれば、坂道発進を助けるヒルホールド機構くらいは、初心者でなくともあれば便利だろう。

他のフィット・ファミリーとは一線を画す装備の数々は写真でご覧いただくとして、なかでも派手な色の表皮が与えられたシートに関しては、一言。サイズや見た目のデザインは、スポーティグレードの「RS」としてはマズマズながら、標準車と同じと思われるクッションの硬さの配分やクッションストローク、そして形状は再考の余地がある。
まず、座った時に体に接触する面積が少ない。もっとピッタリ接触面積が増えるような“フィット”感、包み込まれる感覚が欲しい。体重を受け止める面圧が分散されるから、局部的な疲れはいまより少なくなるはずだ。現状では腰とお尻が部分的に痛くなってくる。座面の形状のせいもあり、次第にお尻が前にずれてきて頻繁に座り直さなければならない。いいシートというのは、一度納まれば座り直す必要がないものだ。

このふたつはやや気になる点ではあるけれど、基本的にフィットRSは乗って面白いクルマだ。
一般道では、各ギアで目一杯引っ張るような状況はないだろう。「回転数の幅を限定して、速度変化はギアポジションで選ぶ」というような乗り方をすれば、頻繁なギアチェンジの繰り返しも面白いし、時流に合った省燃費運転も可能だ。機械任せのハイブリッドシステムも有意義ではあるが、自分の運転法で省燃費を心掛けたい人にとって、この6段MT仕様のRSは絶好の1台。ATに乗ると眠くなってしまう人にとっても、アクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えそうな人にも、両手両足をちゃんと動かした方がいいシニアドライバーにも(?)、このRSは有効な選択肢のひとつといえる。


ホンダ・フィットRS(FF/6MT)【試乗記】の画像 拡大
黒基調で統一されるインストゥルメントパネル。革巻きのステアリングホイールやシフトノブにはオレンジのステッチが施される。
黒基調で統一されるインストゥルメントパネル。革巻きのステアリングホイールやシフトノブにはオレンジのステッチが施される。 拡大
どのボディカラーを選んでも、シートカラーはブラック×オレンジのツートンカラーのみ。ステッチもオレンジ色となる。
どのボディカラーを選んでも、シートカラーはブラック×オレンジのツートンカラーのみ。ステッチもオレンジ色となる。 拡大
広い荷室は、「フィット」ファミリー共通のセリングポイント。ハッチゲート側からもワンタッチ操作でフルフラットにできる。(写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます)
広い荷室は、「フィット」ファミリー共通のセリングポイント。ハッチゲート側からもワンタッチ操作でフルフラットにできる。(写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます) 拡大

楽しい実用車

スプリングやダンパーについては、RSといえども不用意に固められてはいない。ラフな路面ではややあおるところもあるが、概して乗り心地はフラットで無駄な動きが少ない。フロントの左右サイドフレームを結ぶパフォーマンスロッドも、ボディの剛性アップに貢献しているようで、185/55R16のワンランク太いタイヤの動きを効果的に生かす。また、軽さが取りえで路面フィールに欠けがちなパワーステアリングの操舵(そうだ)感も、RSではまずまずの手応えに設定されている。

ディーラーオプションのナビゲーションシステムについては、あまりいい印象はない。液晶画面は大きいのだが、細かな文字や記号が常時ゴチャゴチャ周囲に点在するのは情報として邪魔でしかない。ナビは道案内が第一義でなければならないと思う。

フィットは全長4mを切る小型車ながら、室内は広々としている。リアシートを畳めばライトバンも顔負けの積載スペースが出現する。だから実用車本来の多用途性が享受できるし、今回は“このRS”の登場でスポーツ性も強まった。
「フィット」シリーズの中ではハイブリッドモデルが注目の的ではあろうが、10・15モード燃費の数字はATで有利なように計測パターンが設定されている。RSだって、実際の路上燃費の良さでは決して負けていない。今回の試乗では東京・横浜の首都圏だけしか走らなかったが、255km(うち高速道路30km)の総平均で11.5km/リッター(ドライブコンピューター上では12.4km/リッター)だった。
以前乗ったハイブリッドの「CR-Z」は、アイドルストップが頻繁に作動しても、首都圏では二けたに届かなかった。燃費だけのクルマ選びはほどほどにして、クルマの持つ魅力のひとつである、ドライビングの楽しみを満たすクルマ選びも大切。「フィットハイブリッド」より10万円だけしか高くないRSの登場は、これを考え直すチャンスかもしれない。

(文=笹目二朗/写真=峰昌宏)


ホンダ・フィットRS(FF/6MT)【試乗記】の画像 拡大
ホイールはガンメタリック塗装の専用品。シリーズ唯一の16インチが標準で備わる。
ホイールはガンメタリック塗装の専用品。シリーズ唯一の16インチが標準で備わる。 拡大
後席の様子。座面をチップアップして、植木鉢など背の高い荷物も積むことができる。
後席の様子。座面をチップアップして、植木鉢など背の高い荷物も積むことができる。 拡大
リアエンドからは、専用のエキパイフィニッシャーが顔をのぞかせる。迫力ある排気音を演出すべく、サイレンサーにはレゾネーターを設置。
両サイドに縦溝が設けられた立体的な前後バンパーの成型には、高度な生産技術が要求されるという。
リアエンドからは、専用のエキパイフィニッシャーが顔をのぞかせる。迫力ある排気音を演出すべく、サイレンサーにはレゾネーターを設置。
両サイドに縦溝が設けられた立体的な前後バンパーの成型には、高度な生産技術が要求されるという。 拡大
試乗記の新着記事
  • レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
  • BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
  • ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
  • トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
  • キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
試乗記の記事をもっとみる
ホンダ フィット の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。