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第818回:静かでエコでプレミアム 中・大型SUV向けタイヤ「ヨコハマ・アドバンV61」を試す

2025.01.31 エディターから一言 生方 聡
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横浜ゴムが2024年12月25日に発表したフラッグシップタイヤブランド「ADVAN(アドバン)」の新商品「アドバンV61」。プレミアムSUV向けタイヤとして2025年3月に発売される。
横浜ゴムが2024年12月25日に発表したフラッグシップタイヤブランド「ADVAN(アドバン)」の新商品「アドバンV61」。プレミアムSUV向けタイヤとして2025年3月に発売される。拡大

横浜ゴムが2025年3月に発売する中・大型SUV向けタイヤ「ADVAN(アドバン)V61」。低燃費・低電費性能、操縦安定性、静粛性を高次元でバランスさせ、快適な乗り心地を実現すると紹介されるこのグローバルタイヤの実力を、ひと足先に確かめた。

「アドバンV61」は、すでにマツダの「CX-60」や「CX-80」、「レクサスRX」といったプレミアムSUVのほか、「トヨタbZ4X」や「スバル・ソルテラ」といったBEVおよびPHEV向け新車装着用タイヤとして認定され、2022年5月から各社に納入が行われている。
「アドバンV61」は、すでにマツダの「CX-60」や「CX-80」、「レクサスRX」といったプレミアムSUVのほか、「トヨタbZ4X」や「スバル・ソルテラ」といったBEVおよびPHEV向け新車装着用タイヤとして認定され、2022年5月から各社に納入が行われている。拡大
サイドウォールに備わる「ADVAN V61」のロゴ。横浜ゴムが展開する電動車対応商品であることを表す独自マーク「E+」も一部サイズを除き刻まれている。
サイドウォールに備わる「ADVAN V61」のロゴ。横浜ゴムが展開する電動車対応商品であることを表す独自マーク「E+」も一部サイズを除き刻まれている。拡大
4本のストレートグルーブに、イン側の細いグルーブを加えたスポーティーなデザインが特徴となる「アドバンV61」のトレッドパターン。ウエット走行時の排水性を高めるとともに、耐ハイドロプレーニング性能にも優れているという。「重心の高いSUVのふらつきを抑え、静かでウエット路面に強いタイヤ」が開発のテーマとされた。
4本のストレートグルーブに、イン側の細いグルーブを加えたスポーティーなデザインが特徴となる「アドバンV61」のトレッドパターン。ウエット走行時の排水性を高めるとともに、耐ハイドロプレーニング性能にも優れているという。「重心の高いSUVのふらつきを抑え、静かでウエット路面に強いタイヤ」が開発のテーマとされた。拡大

アドバンV61ってどんなタイヤ?

アドバンと聞いて、スポーツカー向けのタイヤを思い浮かべる人は多いのではないだろうか。私もそんなひとりだが、最近のアドバンは必ずしもスポーツカー向けとはかぎらず、静粛性が自慢の「アドバンdB(デシベル)」があったり、欧州車に新車装着される「アドバンSport(スポーツ)」が用意されたりするなど、ターゲットとする車両バリエーションが増えている。それは、アドバンがヨコハマの“グローバルフラッグシップタイヤブランド”と位置づけられるようになったからだ。

そんなアドバンに新たに追加されたのがアドバンV61。「NEOVA(ネオバ)」でも「dB(デシベル)」でも「Sport(スポーツ)」でもなく、「V61」というパターンナンバーが記される無印アドバンだけに、商品名を見ただけではどんなキャラクターの持ち主なのか想像がつかず困るのだが、その正体は中・大型プレミアムSUV向けに、低燃費・低電費による優れた航続距離と操縦安定性、静粛性を高いレベルでバランスしたというプレミアムコンフォートタイヤである。

ご存じのように、日本のSUV市場は勢いがあり、なかでも中型以上のSUVが販売台数を伸ばしている。その大部分は市街地や高速道路の走行がメインで、求められるタイヤも「M+S」ではなく、通常のサマータイヤへと移り変わっている。ヨコハマでは、これまでSUV向けサマータイヤを「ブルーアースXT AE61」でカバーしてきたが、今後は小型SUV向けはブルーアースXTとしながら、中・大型SUV向けに新商品のアドバンV61を投入することで、プレミアムSUVのオーナーにアプローチしたいと考えているのだ。

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すでに新車装着用タイヤとしての実績も

アドバンV61は2025年3月に国内販売がスタートするが、実は「レクサスRX」や「トヨタbZ4X」などの新車装着用タイヤとして、すでに納入実績がある。販売開始時はその新車装着用とあわせて、17〜22インチの計17サイズを展開する。

そのすべてが、日本自動車タイヤ協会(JATMA)が定めるラベリング制度における「低燃費タイヤ」に該当し、転がり抵抗の等級は最高ランクの「AAA」または2番目の「AA」を獲得している。低燃費・低電費に直結する低転がり抵抗を実証するため、今回の試走会場では「トヨタbZ4X」を使った走行実験が行われた。

具体的にはスロープを降りたbZ4Xが惰性でどれだけ進むかを比較するもので、同一車両にアドバンV61(転がり抵抗:AAA)とブルーアースXT AE61(同:A)を装着して、停止までの距離を計測した。結果はブルーアースXT AE61装着時が60m強であったのに対して、アドバンV61では70m超えとなり、転がり抵抗の小ささをしっかりアピールしてみせた。

ウエットグリップ性能はラベリング最高位の「a」が4サイズ、2番目の「b」を12サイズで達成し、“雨に強いヨコハマ”の伝統はこのアドバンV61にもしっかりと受け継がれている。

重量がかさむSUV向けということで、それをしっかりと支える構造とすることもアドバンV61に求められた。さらに、BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)が増えるなかで、静粛性の向上も必須の課題。アドバンV61ではAIを駆使してトレッドパターンをデザインしたのをはじめ、「高剛性ハイターンアップ構造」によるタイヤの高剛性・軽量化、「マウンドプロファイル」による接地圧分布の均一化、「低燃費ベースゴム」や「低燃費サイドゴム」、低燃費とウエット性能を両立する専用コンパウンドの採用などにより、こうした性能を高い次元で実現したのだという。

2025年3月の発売当初は225/60R17~255/45R22までの全17サイズがラインナップされる「アドバンV61」。価格はオープンプライスとなっている。
2025年3月の発売当初は225/60R17~255/45R22までの全17サイズがラインナップされる「アドバンV61」。価格はオープンプライスとなっている。拡大
「マツダCX-80」に装着された235/50R20サイズの「アドバンV61」。センターリブの両側とその他リブのイン側に施した稲妻型の切り込みが水膜に対してエッジ効果を発揮する「ライトニングエッジグルーブ」の採用も、セリングポイントとして紹介される。
「マツダCX-80」に装着された235/50R20サイズの「アドバンV61」。センターリブの両側とその他リブのイン側に施した稲妻型の切り込みが水膜に対してエッジ効果を発揮する「ライトニングエッジグルーブ」の採用も、セリングポイントとして紹介される。拡大
従来型の「ブルーアースXT AE61」と「アドバンV61」とを装着した「bZ4X」を用いて、スロープを降りた惰性でどれだけ走行できるかの比較テストが行われた。結果は前者が60m強、後者が70m超えとなり、アドバンV61は転がり抵抗の小ささをしっかりアピールしてみせた。
従来型の「ブルーアースXT AE61」と「アドバンV61」とを装着した「bZ4X」を用いて、スロープを降りた惰性でどれだけ走行できるかの比較テストが行われた。結果は前者が60m強、後者が70m超えとなり、アドバンV61は転がり抵抗の小ささをしっかりアピールしてみせた。拡大
最新の「アドバンV61」(写真左)と従来型にあたる「ブルーアースXT AE61」(同右)を装着した「bZ4X」。サイズはいずれも235/60R18。アドバンV61には、ヨコハマ独自のゴム混合技術「A.R.T. Mixing」を活用した専用コンパウンドが採用されている。
最新の「アドバンV61」(写真左)と従来型にあたる「ブルーアースXT AE61」(同右)を装着した「bZ4X」。サイズはいずれも235/60R18。アドバンV61には、ヨコハマ独自のゴム混合技術「A.R.T. Mixing」を活用した専用コンパウンドが採用されている。拡大

際立つトータル性能

果たしてその出来栄えはどうか。試走会では、アドバンV61が装着された「マツダCX-80」「レクサスLBX」「三菱アウトランダー」「日産アリア」が用意され、一般道を走行することができた。手始めにCX-80に乗り込み、さっそく走りだすと、すぐにロードノイズやパターンノイズがよく抑えられていることに気づく。

アドバンV61を履くCX-80の乗り心地は少し硬めといったところで、そのぶん車線変更やコーナリング時に、タイヤがボディーをしっかりと支えている印象である。高速走行時の直進安定性は高く、これならロングドライブもお手の物だろう。

BEVのアリアに乗り換えると、静粛性の高さがさらに際立つ。しかも、アリアの場合、以前の試乗で気になった粗い乗り心地が、アドバンV61との組み合わせでは目立たなくなっているのが驚きだった。

試走会場内ではbZ4Xを使ってアドバンV61とブルーアースXT AE61を履き比べることもできたが、アドバンV61のほうが明らかに静粛性が高く、また、ハーシュネスの遮断もワンランク上。一方、ハンドリングについてはほぼ同等という印象で、運動性能を犠牲にすることなく、他の性能を向上させていることが実感できた。

SUVタイプのBEVを所有する私としては、静粛性や乗り味、そして低燃費タイヤとしてのその性能に感心するばかりで、次のタイヤ交換の際には有力な選択肢となりそうだ。

(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

クローズドの試走会場内では、「bZ4X」を使って、「アドバンV61」と「ブルーアースXT AE61」を比較することができた。アドバンV61のほうが明らかに静粛性が高く、また、ハーシュネスの遮断もワンランク上と感じた。
クローズドの試走会場内では、「bZ4X」を使って、「アドバンV61」と「ブルーアースXT AE61」を比較することができた。アドバンV61のほうが明らかに静粛性が高く、また、ハーシュネスの遮断もワンランク上と感じた。拡大
225/55R18サイズの「アドバンV61」タイヤを装着した「レクサスLBX」の走行シーン。LBXには、ほかに225/60R17サイズも純正タイヤとして採用されている。
225/55R18サイズの「アドバンV61」タイヤを装着した「レクサスLBX」の走行シーン。LBXには、ほかに225/60R17サイズも純正タイヤとして採用されている。拡大
自動車専用道路で、255/45R20サイズの「アドバンV61」タイヤを装着したPHEV「三菱アウトランダー」をドライブ。直進安定性の高さと、路面のつなぎ目を乗り越えた際のショックの小ささが印象的だった。
自動車専用道路で、255/45R20サイズの「アドバンV61」タイヤを装着したPHEV「三菱アウトランダー」をドライブ。直進安定性の高さと、路面のつなぎ目を乗り越えた際のショックの小ささが印象的だった。拡大
235/55R19サイズの「アドバンV61」タイヤを装着したBEVの「日産アリア」では、静粛性の高さがさらに際立った。しかも、以前アリアの試乗で気になった粗い乗り心地が、アドバンV61との組み合わせでは目立たなくなっていた。
235/55R19サイズの「アドバンV61」タイヤを装着したBEVの「日産アリア」では、静粛性の高さがさらに際立った。しかも、以前アリアの試乗で気になった粗い乗り心地が、アドバンV61との組み合わせでは目立たなくなっていた。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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