MINIジョンクーパーワークスE(FWD)

新しいけど懐かしい 2025.11.07 試乗記 佐野 弘宗 現行MINIの電気自動車(BEV)モデルのなかでも、最強の動力性能を誇る「MINIジョンクーパーワークス(JCW)E」に試乗。ジャジャ馬なパワートレインとガッチガチの乗り味を併せ持つ電動のJCWは、往年のクラシックMiniを思い起こさせる一台となっていた。
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ここもあそこも専用仕立て

ご承知の向きも多いように、最新MINIのハッチバックモデル=「クーパー」は、エンジン=内燃機関車(ICEV)とBEVの二刀流となっている。すでに何度も語られているとおり、ICEVとBEVのクーパーは、見た目はそっくりで、サスペンションなどに共通部分もあるようだが、基本骨格となるプラットフォームから上屋構造、インテリアデザインまで、まったくの別物である。

3ドアのクーパーではICEVとBEVの間の主従関係はなく、どちらにも3種類ずつのバリエーションが用意される。従来どおりエンジンを積むICEVが「クーパー」「クーパーS」「JCW」で、BEVはそこに「E」の文字が付いた「クーパーE」「クーパーSE」、そして今回の「JCW E」という商品名となる。

JCW EはクーパーSEと共通の総電力量54.2kWhの三元系リチウムイオン電池に、クーパーのBEVとしてはもっともパワフル、かつトルキーな最高出力258PS、最大トルク350N・mの交流同期モーターを積む。駆動方式はもちろんFWD。そして、コイル、スタビライザー、ダンパー、タイヤなどのフットワークチューンがJCW専用となる。

もちろん、内外装も専用仕立てだ。外装では人間の顔でいう口にあたる部分がブラック化されて、下半身のバンパーグリルが2分割デザインになるうえに、バンパー左右にグリル風の加飾が追加となる。リアまわりでは、JCWのモチーフでもあるグラデーション風チェッカードフラッグがうっすらと浮かぶバックドアと、垂直尾翼を思わせる翼端板を備えた大型スポイラーが、JCW特有のアイキャッチとなる。内装はファブリック張りのダッシュボードが専用デザインとなり、ステアリング、シート、天井もJCWならではのものとなる。

BEVの「MINIクーパー」をベースに動力性能を高めた「MINI JCW E」。同時に設定されたクロスオーバーモデルの「JCWエースマンE」ともども、MINI史上初のBEVのハイパフォーマンスモデルとなる。
BEVの「MINIクーパー」をベースに動力性能を高めた「MINI JCW E」。同時に設定されたクロスオーバーモデルの「JCWエースマンE」ともども、MINI史上初のBEVのハイパフォーマンスモデルとなる。拡大
インテリアでは、ダッシュボードにリサイクルポリエステルを用いた新素材を使用。運転席の正面に計器類はなく、車速などはヘッドアップディスプレイで確認するかたちとなる。
インテリアでは、ダッシュボードにリサイクルポリエステルを用いた新素材を使用。運転席の正面に計器類はなく、車速などはヘッドアップディスプレイで確認するかたちとなる。拡大
「JCW」専用のスポーツシート。運転席・助手席ともに電動調整機構が備わり、さらに運転席にはドライビングポジションのメモリー機能やマッサージ機能も備わる。
「JCW」専用のスポーツシート。運転席・助手席ともに電動調整機構が備わり、さらに運転席にはドライビングポジションのメモリー機能やマッサージ機能も備わる。拡大
後席については、広さの点でも乗車姿勢の点でも、あくまで非常用。収納や装備類も必要最低限で、このあたりはベース車と変わりない。
後席については、広さの点でも乗車姿勢の点でも、あくまで非常用。収納や装備類も必要最低限で、このあたりはベース車と変わりない。拡大