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第870回:熱きホンダをとことん楽しむ これが「Honda All Type R World Meeting 2026」だ!

2026.05.15 エディターから一言 大音 安弘
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まさに“タイプRざんまい”

「タイプR」の名を持つホンダの高性能モデルが集う世界最大級のオフ会「Honda All Type R World Meeting 2026」が2026年5月9日、ホンダモータースポーツの聖地のひとつである栃木・茂木町のモビリティリゾートもてぎで開催された。

2022年開催の1回目は参加車両が「シビック タイプR」に限定されたものの、翌年からはすべてのタイプRが対象に。5回目の開催となる今回は、813台のタイプRと、2100人のオーナーやファンが集結。参加車両駐車エリアのひとつである第2パドックには、朝からさまざまなタイプRが車種や車体色ごとに並べられ、その光景はまさに圧巻だった。

事前の集計では、シビック タイプRの60%以上が現行型(FL5型)となっており、それに次ぐのは先代(FK8型)の13.5%なので、いかに新しいタイプRが主体になっているかが分かる。それでも歴代タイプRの主要モデルが顔をそろえるのは、同イベントならではだろう。

オフ会を名乗るイベントだけに、ファン同士や関係者たちとの交流がメインである。それに加え、午前中にはタイプRだらけの走行会が行われ、午後にはステージイベントが実施された。また来場者がイベントを自由に楽しめるように、会場内では循環バスを運行。走行会に参加するさまざまなタイプRをコース外側から眺めたり、モビリティリゾートもてぎにある博物館「ホンダコレクションホール」を尋ねたりすることもできた。ちなみに、同館では、「NSX-R」に加え、「インテグラ タイプR(DC2型)」やシビック タイプR(EK9型)といった第1世代モデルが展示中だった。

「Honda All Type R World Meeting 2026」の会場であるモビリティリゾートもてぎに並んだ現行型「ホンダ・シビック タイプR」。車種や車体色をそろえての駐車風景は、壮観というほかない。
「Honda All Type R World Meeting 2026」の会場であるモビリティリゾートもてぎに並んだ現行型「ホンダ・シビック タイプR」。車種や車体色をそろえての駐車風景は、壮観というほかない。拡大
こちらは2020年秋に限定200台で発売された、先代「シビック タイプR」の「リミテッドエディション」群。特別なボディーカラー「サンライトイエローII」がまぶしい。
こちらは2020年秋に限定200台で発売された、先代「シビック タイプR」の「リミテッドエディション」群。特別なボディーカラー「サンライトイエローII」がまぶしい。拡大
「シビック」だけでなく「インテグラ」の「タイプR」も。写真のモデルは2001年に登場した2代目インテグラ タイプRで、ベースとなるインテグラも「タイプRの設定を前提に開発された」という生粋のスポーティーカーだった。
「シビック」だけでなく「インテグラ」の「タイプR」も。写真のモデルは2001年に登場した2代目インテグラ タイプRで、ベースとなるインテグラも「タイプRの設定を前提に開発された」という生粋のスポーティーカーだった。拡大
イベントプログラムの目玉のひとつである、走行会のワンシーン。さまざまな「タイプR」がコースへと向かう。
イベントプログラムの目玉のひとつである、走行会のワンシーン。さまざまな「タイプR」がコースへと向かう。拡大
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開発者の貴重な談話も

Aパドックに設置されたステージでは、豪華ゲストによるトークショーが開催された。自動車研究家の山本シンヤさんと現行型シビック タイプRのオーナーでもあるライターの伊藤 梓さんをMCに迎え、このイベントは5年連続皆勤賞のドリキンこと土屋圭市さんや、スーパーフォーミュラに参戦するチーム、San-Ei Gen with B-Maxの監督を務める武藤英紀さん、SUPER GTのGT500クラスで#8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTを駆る大津弘樹選手、そして、先代および現行型シビック タイプRの開発責任者である柿沼秀樹さんらが出席し、このイベントならではの熱いトークが繰り広げられた。

シビック タイプRに関する最もホットな話題といえば、宿敵「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」が、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおける量産FF車の最速記録を更新したことだ。当イベント開催直前の5月7日(現地時間)、フォルクスワーゲンは、ゴルフGTIの50周年記念モデル「ゴルフGTIエディション50」が同コースで7分44秒523というラップタイムを記録したと公表。2023年4月に現行型シビック タイプRが打ち立てた、7分44秒881を0.358秒短縮したことになる。

トークショーで、この話題を振られた柿沼さんは、「対応はこれから考えます」と意味深な発言をするとともに、「欧州における環境性能の規制も厳しくなり、シビックと最速を競っていた『ルノー・メガーヌR.S.』も販売終了。もうタイムアタックに挑む自動車メーカーは出てこないと思っていました」と笑う。

柿沼さんが入社した当時、欧州Cセグメントホットハッチのなかでは、ゴルフGTIがナンバーワン。残念ながら、シビック タイプRのポジションは低く、そんな時代が長く続いてきた。しかし、2世代前のFK2型からは新プラットフォームを採用することでポテンシャルが大幅に向上。企画段階より“FF量産車ニュル最速”を目標に掲げて努力を重ねた結果が今につながっている。

「昔は全く相手にしていなかったはずのシビック タイプRを、長年“ホットハッチのお手本”とされてきたゴルフGTIが死ぬ気で追い抜くのに3年もの歳月を要したということは、われわれにとっては誇らしいことでもあります」と語った。明言は避けたものの、そのリベンジは、いま開発中の「シビック タイプR HRCコンセプト」の市販車で果たすつもりなのだろう。

ファンを大いに沸かせたトークショーの様子。土屋圭市さんのほか、ホンダのモータースポーツと縁の深い武藤英紀さんや大津弘樹選手も登壇した。
ファンを大いに沸かせたトークショーの様子。土屋圭市さんのほか、ホンダのモータースポーツと縁の深い武藤英紀さんや大津弘樹選手も登壇した。拡大
土屋圭市さんの軽妙なトークが来場者を笑顔にする。当日は、サインを求める多くのファンの期待に応え、楽しそうに交流する場面も見られた。
土屋圭市さんの軽妙なトークが来場者を笑顔にする。当日は、サインを求める多くのファンの期待に応え、楽しそうに交流する場面も見られた。拡大
「シビック タイプR」の開発責任者、柿沼秀樹さん(写真右)は、来場者にとっては重要人物のひとりだろう。その貴重な話に、多くのファンが熱心に耳を傾けた。
「シビック タイプR」の開発責任者、柿沼秀樹さん(写真右)は、来場者にとっては重要人物のひとりだろう。その貴重な話に、多くのファンが熱心に耳を傾けた。拡大
HRCが開発した「シビック タイプR HRCコンセプト」のスーパー耐久参戦マシン(写真手前)も間近に見ることができた。
HRCが開発した「シビック タイプR HRCコンセプト」のスーパー耐久参戦マシン(写真手前)も間近に見ることができた。拡大
一日中、「タイプR」を走らせて、タイプRを見て、タイプRを語る。ファンにとって、これ以上ないほど“濃い”イベントである。
一日中、「タイプR」を走らせて、タイプRを見て、タイプRを語る。ファンにとって、これ以上ないほど“濃い”イベントである。拡大

HRCスペシャルにも期待が高まる

その柿沼さんは今、シビック全体を見ているだけでなく、日米交渉の新ルールにより導入されることになった「アキュラ・インテグラ タイプS」の担当者でもある。主要なメカニズムが同じ2台の違いについて尋ねてみたところ、「インテグラ タイプSは、シビック タイプRと基本を共有していますが、インテグラは『メルセデスAMG A45』や『アウディRS 3』といった欧州ラグジュアリースポーツがライバル。高性能である点は共通していますが、乗り心地など快適性も一段と追求されています。また価格帯も異なるため、米国においては全く競合しないのです。インテグラは日本での価格が高額になると思いますし、かなり希少な存在となるでしょう」とのこと。インテグラ タイプSは「豪華なタイプR」ではなくラグジュアリースポーツであり、むしろ、日常からモータースポーツまで楽しめるタイプRのほうが、よりオールラウンダーといえるそうだ。

シビック タイプRをより突き詰めた存在となるシビック タイプR HRCコンセプトの存在も気になるが、同時にホンダアクセスが手がける「HRCパフォーマンスパーツ」の開発も進んでいる。ホンダアクセスのブランド「Modulo(モデューロ)」が磨いてきた「実効空力」と呼ばれる空力性能を、モータースポーツの場に持ち込むことで、よりレベルアップさせようとしているのだ。

開発責任者であるホンダアクセスの水上寛之さんは、「皆さんにより良いパーツをお届けするのがわれわれの役目。HRCが参戦するスーパー耐久で得た知見を『HRCパフォーマンスパーツ』として具体化し、これまでのホンダアクセスのパーツではできなかったところまで広げていきたい」とコメント。「ただし、それはModuloとは全く異なるものではなく、より幅広い領域で良さが感じられるというのが目標です。日常領域で良さを感じられるModuloの魅力を否定するものではないのでご安心ください。多様な製品を展開してパーツの選定や設定の幅を広げ、さらにユーザーの好みに近づけることを考えています」などと続けた。

水上さんはあくまで、モータースポーツが感じられるビジュアルや機能は与えても、日常領域での魅力を失うことはないことを強調する。また実戦投入されるスーパー耐久マシン用のパーツには、開発の時間やコストの制約があるため、シミュレーターが最大限に活用されるそうだ。それはHRCパフォーマンスパーツだけでなく、今後のホンダアクセスのエアロパーツの開発にも生かされていくが、仕上げとなる徹底した実走テストは、今後も実施される。商品化についてはまだ企画段階とはいうものの、東京オートサロン2026でのコンセプトモデルからも分かるように、車種については幅広い展開が検討されている。どんな製品が登場するのか、今から楽しみだ。

(文と写真=大音安弘/編集=関 顕也)

2026年後半に導入される「アキュラ・インテグラ タイプS」も展示。左ハンドルで6段MTのみという、レアな仕様の一台である。
2026年後半に導入される「アキュラ・インテグラ タイプS」も展示。左ハンドルで6段MTのみという、レアな仕様の一台である。拡大
「アキュラ・インテグラ タイプS」の隣には、東京オートサロン2026で披露された「シビック タイプR HRCコンセプト」が並ぶ。
「アキュラ・インテグラ タイプS」の隣には、東京オートサロン2026で披露された「シビック タイプR HRCコンセプト」が並ぶ。拡大
ホンダアクセスのパーツ開発の過程を示す、現行型「シビック タイプR」のリアウイングのサンプル。写真右奥の試作品のように「走っては削り」を繰り返し、やがて中央の完成品に至る。写真左は、比較用に並べられた、ホンダ純正(標準タイプ)のリアウイング。
ホンダアクセスのパーツ開発の過程を示す、現行型「シビック タイプR」のリアウイングのサンプル。写真右奥の試作品のように「走っては削り」を繰り返し、やがて中央の完成品に至る。写真左は、比較用に並べられた、ホンダ純正(標準タイプ)のリアウイング。拡大
この1975年式「シビックRS」は、ホンダテクニカルカレッジ関東の学生がレストアしたもの。HRCエグゼクティブ・アドバイザーの佐藤琢磨さんがステアリングを握り、2026年のラリー・モンテカルロ・ヒストリックに参戦した。
この1975年式「シビックRS」は、ホンダテクニカルカレッジ関東の学生がレストアしたもの。HRCエグゼクティブ・アドバイザーの佐藤琢磨さんがステアリングを握り、2026年のラリー・モンテカルロ・ヒストリックに参戦した。拡大
「タイプR」乗りの多くが、足を止めて見入ってしまうであろう「NSX-R」(写真右)。今では、その希少性と投機熱の高まりにより、所有するのが難しい一台となっている。
「タイプR」乗りの多くが、足を止めて見入ってしまうであろう「NSX-R」(写真右)。今では、その希少性と投機熱の高まりにより、所有するのが難しい一台となっている。拡大
こちらは、無限(M-TEC)が独自のチューニングを施したコンプリートカー「シビック MUGEN RR(ムゲンダブルアール)」。2007年9月に発売された際の価格は、ベースの「シビック タイプR」より194万2500円も高い477万7500円だった。
こちらは、無限(M-TEC)が独自のチューニングを施したコンプリートカー「シビック MUGEN RR(ムゲンダブルアール)」。2007年9月に発売された際の価格は、ベースの「シビック タイプR」より194万2500円も高い477万7500円だった。拡大
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