「RAV4」「CX-5」「CR-V」の新型がそろい踏み 国産ミドルサイズSUVの長所と短所
2026.06.10 デイリーコラム広くて安いCX-5
何を隠そう、2026年はミドルサイズSUVの当たり年だ。まずトヨタが「RAV4」を(正確にいえば昨年末に)全面改良。ホンダは新しい「CR-V」(の燃料電池車ではなくハイブリッドモデル)を(北米に対して3年半遅れだけど)日本へ導入し、マツダは「CX-5」をなんと9年ぶりにモデルチェンジした。
というわけで今回のテーマは「最新DセグメントSUVの長所と短所をあぶり出す」。神をも恐れずズバズバ斬ろうじゃないか。
実はこの3台は、メーカーにとって大きな意味を持つ。いずれも稼ぎ頭のマーケットとなっている米国において、各メーカーで最も売れている車種だからだ。いうなれば「稼ぎ頭中の稼ぎ頭」であり、各メーカーの運命がかかった「絶対に失敗が許されない車種」といっていいだろう。だから、開発にもメチャメチャ気合が入っている。いや、むしろ気合というよりもプレッシャーか?
さて、そんな3台のなかで最も美点が分かりやすいのはCX-5だろう。まず後席が広い。あぶり出さなくたって分かる、明確なアドバンテージを持っているのだ。RAV4やCR-Vだって十分に広いのだが、それ以上に広い。
そのうえ、価格が安い。RAV4は450万円スタート、CR-Vは500万円オーバーからというなかでCX-5の価格は330万円から。「パワートレインが違う!」とかいろんな意見はあるだろうが、ミドルサイズSUVを買おうというときに「シンプルでいいから安く欲しい」とか「とにかく安く!」となった場合、CX-5はとても魅力的だ。誰だって予算には上限があるし、ボトム価格が安いと手に取りやすい。
あと、筆者としては高速道路での渋滞時に手放し運転ができるシステムが用意されているのも見逃せない。上級グレード「L」に標準装備で中間グレード「G」ではメーカーオプション。同様の機能はRAV4には用意があるが、CR-Vは非搭載だ。
実はラゲッジルームもいい。まず広さはクラストップレベルだし、シート格納がライバルにはない40:20:40の3分割で実用的(スノーボーダーに最適!)。さらに荷室左右トリムの仕立てが起毛になっていて、まるでプレミアムブランドのよう(ライバルはそうじゃない)。単に安いだけじゃなくて、できる子なのだ。
短所は、ストロングハイブリッドの設定がないことだろうか。でも2027年、つまり来年内には追加されると公言しているので大きな短所でもないだろう。もしかして、新型CX-5ってものすごく商品力高くないか?
強いていえば、先を進みすぎたのか、それとも後退する流れにある世間とはタイムラグがあるのか、物理スイッチが極端に少ないインターフェイスは判断が分かれるところだろう。正直に告白すると、筆者はちょっとやりすぎだと思っている。
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トータルバランスで攻めるCR-V
CR-Vはどうか?
筆者がライバルに勝る美点だと思っているのが荷室床の低さ。荷室の床は低ければ低いほどいいというわけではない(手持ちのバッグや箱などはある程度高いほうが楽な姿勢で積み下ろしできる)けれど、スーツケースなどを地面から持ち上げて積むことを考えればある程度は低いほうがいい。CR-Vの荷室床はライバルより低く、荷室を活用するユーザーにとってはアドバンテージだ。
荷室の美点はもうひとつあり、後席格納は座面も沈み込むダイブダウン式で、快適なシート形状と格納時の収まりを両立しているのがいい(格納時の床の段差はあるけれど)。
また、パワートレインのダイレクト感とか心地よさは純ガソリン車のCX-5はもちろん、RAV4のハイブリッドよりも上。アクセルを踏む右足にリニアに反応する加速が爽快で運転が楽しい。ただし、これは相手がRAV4のプラグインハイブリッド車になるとちょっと話が変わってくるけれど、“普通のハイブリッド同士”なら優勢だ。
そして話は変わってインテリアの上質感もCX-5やRAV4の上をいく。これも魅力となる。ついでにいえば、充電用のUSBは出力60Wとライバルをしのぐ。地味だけど便利だ。
それにしてもCR-Vというクルマは、トータルでデキのいいクルマ。乗り心地もハンドリングもパワーユニットもソツなくまとまっている。ただし、すべてがバランスよくまとまっているうえに「明確にライバルよりも上」というポイントが見つけにくく、目立った特徴を見いだせないというのが惜しいポイントかもしれない。
最大の短所は、価格が高いことだろう。日本で販売するのは装備充実の上級グレードのみとはいえ、500万円オーバーとは。おおCR-Vよ、お主は一体いつからそんなクルマになってしまったのか?(でもそのぶん「オレがCR-Vを買って売り上げに貢献したからホンダはF1活動ができる」というスポンサー気分になれるかも)。
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相変わらず入手困難なRAV4
高いといえばRAV4も価格は高いけれど、CR-Vに比べればまだマシだ。長所は荷室が広いということ、そしてどのライバルよりも燃費に優れることだろう。
1500WのAC100Vコンセントが備わるのもうれしいし、タッチパネルのボタンが大きかったりと、インターフェイスの操作性も今回取り上げた3台のなかでは最もいい。地味なポイントかもしれないけれど運転環境に優れるのだ。乗り心地も良好だし。
短所といえるのは、後席がライバルより狭いことだろうか。とはいえCR-Vに比べるとコブシ半分ほどとちょっとした違いなので、「だから選ばない」というほどネガティブなポイントではないことはお伝えしておくけれど。
でも、最大の短所といえるのは「買えないこと」なのかも。欲しくてもなかなか手に入らないのはつらい。それにしてもトヨタ車が入手困難になるなんて、コロナ前には想像もつかなかったなあ。
というわけで最新のミドルサイズSUV 3モデルを比べた今回の結論は「RAV4は安定の出来栄え」「CR-Vはいいけど高い」そして「CX-5の商品力の高さをあらためて実感」。おかしいな、CX-5を褒める記事ではなかったはずなんだけど……。
(文=工藤貴宏/写真=マツダ、トヨタ自動車、向後一宏<CR-V>/編集=藤沢 勝)
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工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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