ホンダ・フリードスパイク Gエアロ/Gジャストセレクション【試乗速報】
ホンダの動く城 2010.07.22 試乗記 ホンダ・フリードスパイク Gエアロ(FF/CVT)/Gジャストセレクション(FF/CVT)……220万8500円/214万5000円
ホンダから車中泊対応(?)のニューモデル「フリードスパイク」がデビュー。さっそく、その使い勝手をチェックした。
衝撃のニューモデル
以前、新聞だか雑誌だかで、「多くのアメリカ人男性が思い描くリタイア後の夢は、キャンピングカーで全米をまわることだ」という記事を読んだ記憶がある。自分には欧米かぶれのケがあるので、それはいい、自分もリタイアしたらマネッコしようと心に決めている。そりゃ北米大陸に比べたら日本は狭い。でも、海岸線の総延長距離は北米大陸よりも日本列島のほうが長いというし、1年ぐらいかけて日本一周をするのは面白そうだ。
そこで前々から気になっているのが、寝泊まりできるクルマだ。リタイア後の年齢を考えると、体力的に毎日が車中泊というのは厳しいかもしれない。けれども、「オレは宿の予約や門限とかメンドくさいことを忘れて、好きな時間に好きな場所に行って好きなように寝るノダ」というフリーな姿勢にもあこがれる。現実的には、「車中泊」「車中泊」「民宿」「車中泊」「車中泊」「素泊まり旅館」ぐらいのペースに落ち着きそう……。
てなことを時折、思い出したように考えているわけですが、そこに衝撃的なニューモデルが登場した。大人が余裕をもって横になれることを前面に打ち出した、「ホンダ・フリードスパイク」である。「フリードスパイク」を簡単に説明すれば、5ナンバーサイズの3列シートミニバンとしてヒットをかっ飛ばした「フリード」の2列シート版。ホイールベースの長さや1.5リッターエンジンとCVTとの組み合わせなど、基本構成は「フリード」と同じ。乗車定員は5人で、3列目シートが備わらないぶん、荷室空間の充実を図っている。試乗会では、荷室空間からチェックを開始する。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
至れり尽くせりの荷室空間
「ダイブダウンシート」と名付けられた2列目シートは、ワンモーションで前方に倒れ込む。特に力を入れなくてもスムーズに作動するのが印象的だ。倒れたシートの背もたれ部分と、荷室フロアに設置される「反転フロアボード」の高さがそろい、広くて長〜い“平地”ができあがる。2列目シートは6:4の分割可倒式だから、平地の面積を変えることもできる。試しに横になってみたら、身長180cmの自分もしっかり足を伸ばすことができた。
荷室には棚、スポットライト、ドリンクホルダー、ビルトイン式テーブルなどが備わり、恥ずかしながら自分の仕事部屋よりも親切設計。なかなか居心地がよさそうだったので、家に帰ってからフロアに敷くテンピュールのマットレスの値段を調べてしまった。ちなみに4万2000円から。
兄貴分の「フリード」にも、2列シートで定員5名の「FLEX」という仕様がある。けれどもあっちの2列目シートは、折り畳んで前席シートの背後に寄せるタイプ。だから荷室の最大長は「フリードスパイク」の2015mmに対して「フリードFLEX」は1445mmと大きく差がつくのだ。
比較ということで言えば、たとえば「フォルクスワーゲン・パサートヴァリアント」も荷室がフラットになるから車中泊に向いた1台。欧米かぶれとしてはこっちのドイツ製ワゴンを選びたいという気持ちもある。
けれども「フリードスパイク」の荷室で数分間だけど起居してみると、室内の高さが想像していたよりうれしいということに気付いた。「フリードスパイク」の室内は1メートル以上の高さが確保されていて、未就学のお子さんだったら立ったまま着替えができそう。で、この空間で、コーヒーをいれながら釣りの支度をすることを想像すると、ちょっとグッとくる。おじさんのハートに、強烈なスパイクが撃ち込まれる。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
「エネポ」も一緒に!
日本一周をもくろむわけだから、もちろんしっかり走ってくれないと困る。その点、突出した魅力こそ見つからないものの「フリードスパイク」はうまくまとまっている。1.5リッターエンジンとCVTの組み合わせは扱いやすい性格で、低い速度域でのレスポンスもいい。高速道路の登り勾配(こうばい)でフル加速をするような場面では力不足を感じるけれど、不満といえばそれぐらい。静かで滑らか、普段使いには適している。
乗り心地もかたすぎず、やわらかすぎず。ハンドリングもシャープではないがどっしり安定しており、足まわり全体がいい具合のところでバランスしている。高速走行時の風切り音やエンジン音などのノイズも小さく、これなら長時間ドライブしても疲れることはないだろう。ただしステアリングホイールの手応えが軽すぎて、タイヤがどっちを向いているかの情報がいまいち曖昧(あいまい)なことが気になった。エンジンにしろサスペンションにしろ、素直でクセがないのが特徴だ。
というわけで、「フリードスパイク」はリタイア後の相棒としてなかなかいいのではないかと思った。最廉価版で159万8000円からという値段も手頃だ。短時間の試乗だったので燃費は計測できなかったけれど、10・15モード燃費は16.4km/リッター(FFの場合。4WDは14.0km/リッター)と、なかなかの数字。日本一周にはありがたい。問題は、一緒に行ってくれる人がいるかどうか。ホンダが最近発表したカセットボンベ式の発電機「エネポ」を積んで、炊きたてのゴハンや焼きたてのパンで奥さんの機嫌をとる、というのはどうだろう。ホンダにはぜひ、「エネポ」をセット販売してほしい。
(文=サトータケシ/写真=高橋信宏)
拡大 |
拡大 |
拡大 |

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。





































