トヨタ・マークX“+Mスーパーチャージャー”(FR/6AT)【試乗記】
ハートで勝負 2010.03.31 試乗記 トヨタ・マークX“+Mスーパーチャージャー”350S(FR/6AT)/“+Mスーパーチャージャー”プレミアム(FR/6AT)……502万8000円/487万3000円
トヨタのセダン「マークX」に、スーパーチャージャーでパワーアップしたコンプリートカーが登場。いったいどんな走りなのか、『webCG』のコンドーと関がチェックしてみた。
普段着で「マジです!」
関(以下「せ」):今回の舞台は、サーキット。試乗するのはトヨタの……
コンドー(以下「コ」):スーパーなやつ? ひょっとして、「レクサスLFA」乗れんの? 待ってました!!
せ:ずばり、「マークX」です。
コ:なんで、セダンで、サーキットやねん! ていうか、「マークX」やったら海沿いのワインディングやろ。打ち寄せる荒波をズバーッと切り裂いてやなあ……。
せ:それは、テレビCM限定なんですよ……でも、この「マークX」ならできるかも!? トヨタモデリスタがチューンした、スーパーなコンプリートカーですから。
コ:見た目、思い切りフツーやで。グリルがちょっと違うくらい。モデリスタといえばエアロってイメージやけどなぁ。
せ:この新型「マークX」用にも、専用のエアロキット「モデリスタバージョン」が販売されてます。オプションでチョイスすることはできますよ。
コ:あ、リアのエンブレムも違うな。これ、「+M」(プラスエム)って何のこと?
せ:“M”はモデリスタの頭文字で、“本気仕様”の意味だそうです。ちなみに、ライトチューンの“なんちゃって仕様”、「Sports M」(スポーツエム)というのもありました。
コ:ホンキなんや。せやけど、普段着で「マジですっ」言うても伝わらんやろ。CMに出てくる佐藤浩市部長かて、勝負かかってるときは、気合はいったスーツ着るって。
せ:デキる男に、これ見よがしなドレスアップは無用でしょう。ハートで勝負!
コ:エンジンに手が入ってる言いたいわけね? たしかに、ここだけは強そうに見えるやん。
せ:スーパーチャージャーで武装してます。しかも、出どころはトヨタ系のレーシングチーム、トムスで――
コ:血統書つきってわけか。……なんや、カバーの形が心臓っぽい。
せ:そのエンジンを制御するコンピューターも変わっています。パワーアップに対応するため、足まわりもセットで交換。20mm車高が落ちてます。
コ:アタマも足腰も自信あり? じゃ、“デキる男”の実力、試してみよか。
スーパースポーツもたじたじ!?
コ:乗り込んでみても、インテリアめっちゃフツーやで……。
せ:というか、まんまノーマルです。ただ、「+M」のベース車両は、ぜいたく仕様の「プレミアム」とスポーティな「350S」のふたつがあるから、それぞれの違いは出ますけどね。
コ:「プレミアム」は木目調パネルやシートヒーター付いてるし、「350S」にはパドルシフトがある。けど、コンプリートカーならではの演出は欲しいけどなぁ。
せ:ドレスアップパーツは自由に選べますから。それに、見せ場は走り出してから。
コ:「ミュィーーン!」って音が、いかにもスーパーチャージャーらしい。結構な加速感やけど、実際パワーはどれくらい出てんの?
せ:ノーマルより42psアップの、360ps。トルクは12kgm増しの50.7kgmだから、「レクサスLFA」の4.8リッターV10よりも太いです。
コ:スーパーやん! でもいまどき、こんなにニャーニャー鳴くスーパーチャージャー無いよなぁ。
せ:ジャガーやランドローバーの新しいスーパーチャージドユニットなんか、作動音が全く聞こえませんからね。“後付け”だから仕方ないのもあるけれど、音がお好きなかたもいらっしゃるし。
コ:ははーん、「ニャーニャー」と(ネコ科の)「ジャガー」をかけたな?せ:……。
コ:中低速からトルクあるね。おかげで楽ちんにドライブできる。
せ:そんな湯加減が、作り手の狙いだそうです。実際、一般道で高回転までギンギンに回して乗るひとは少ないわけで。
コ:高回転でこれ以上にパワー稼いでも、エンジンやスーパーチャージャーにいらん負担がかかるだけやろね。
せ:ちょっと気になるのは、ひとむかし前のターボみたいな作動ラグ。コーナーの出口とか、ここぞというときに限って、ワンクッションおいて「ドン!」となる。
コ:走行モードを「スポーツ」にしてると、「ドン!」が出やすいな。そのことを意識して、スーパーチャージャーの効きはじめを、やや抑えたと言うてはったけど。
せ:スポーツモードでペース上げるのは、同乗者がいないとき限定ということで……。
コ:メインのターゲットは40代ってことやし、分別ある“デキる男”が乗るぶんには、問題ないやろ。
サーキットは想定外
コ:それにしても、この「プレミアム」、乗り心地がええねんな。足まわりはノーマルと違うんやろ?
せ:カヤバ製の専用スポーツサスペンションです。スーパーチャージャーと同様に、高速道路やタイト過ぎないワインディングを想定してセッティングしたそうです。
コ:道理でガチガチやないわけや。案外ロールするな。
せ:スプリングレートはノーマルより20〜40%高めになっているものの、サーキットを走ることは想定されてません。じつは、サーキットでの開発テストはほとんどしてないそうですよ。
コ:じゃ、なんで試乗コースにサーキット選んでんの……。
せ:でも、同じ周回路で試すと、グレードごとの味付けがよくわかります。名前は同じ「スポーツサスペンション」でも、「350S」のほうがコーナーでうんと踏ん張れるセッティングになっている。
コ:逆に言うと、「プレミアム」のほうが動きが素直で、クルマの挙動がわかりやすいな。サーキットの教習車にピッタリ。
せ:どちらもフレンドリーな仕上がりで、パワーのわりには誰が乗っても安心できるのは確か。あとは好みの問題でしょう。
コ:値段がフレンドリーかどうかも問題やねん。スーパーチャージャーと足まわりのセットで、差額は?
せ:どちらもノーマルより150万3000円アップで、500万円前後。スポーティなセダンといえば「BMW335i」(306ps、40.8kgm)を連想しますが、あちらは673万円だから、ずいぶんお得なような……
コ:エラいのと比べたなぁ。まぁ、トルクはスーパースポーツ「LFA」にも勝ってるからなぁ。
せ:ちなみに、販売台数は150台くらいが見込めるそうで、(国内165台の)「LFA」といい勝負です。
コ:そこまで「LFA」と張りあわんでもええやろ! でも、「マークX」は欲しいけど、けっこう街にあふれてるし……てな人は、一度試してみる価値あるね。
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=荒川正幸)

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。



































