第356回:笑撃! えっ、フェラーリじゃないの?
08年「フォード・マスタング・コンバーチブル」のおハナシ
2008.04.16
小沢コージの勢いまかせ!
第356回:笑撃! えっ、フェラーリじゃないの? 08年「フォード・マスタング・コンバーチブル」のおハナシ
たしかに馬は同じだけど……
いやー、久々にビックリ&考えさせられる出来事にあっちゃいました。すでにブログでも報告したけど、先日乗った2008年モデルの「フォード・マスタング・コンバーチブル」。なんと一日に2回も間違われちゃったのだ。それもフェラーリに!!
最初は休日に訪れたサッカーグラウンドの駐車場で、同じチームの年配プレーヤーに「えっ、コレ、フェラーリじゃないの?」と言われ、2回目はその次、食べにいったラーメン屋で馴染の兄ちゃんに「あのクルマ、凄いですねぇ。フェラーリですか?」と。
……もう、絶句っス! たしかにクラシカルデザインなんで、本当の初代マスタングと間違われることもあろうかとは思ってたけど、まさかフェラーリに間違われるとは。ある意味、うれしい誤算ではある。
でね。そのおっさんプレーヤーも言ってたんだよね。「俺、赤いオープンカーで馬のマークが付いてると、フェラーリにしかみえないんだよ」と。
たしかにそういうもんでしょう。人間、大抵は記号認識というか、クルマの正確なカタチなどよほど才能がなければ覚えられず、ある種断片的な記号の組み合わせで識別する。“真っ赤な低いスポーツカー”“馬のエンブレム”“サングラスをかけた男”等々。
実車を見たと言ってもせいぜいスーパーカーブームの頃の「512BB」や「デイトナ」、はてまたフェラーリF1マシン程度だったりするから、なんだかんだで“低くて平べったくてうるさいクルマ”というイメージしか残ってなかったりする。中でも馬のマークってのが分かりやすくて印象的なんだろうなぁ。でもフェラーリはご存じ“跳ね馬”だけど、マスタングは“ギャロッピングホース”だから全然違うんだけどね(笑)。
己の魅力をわかったクルマ
そんなこともあり、このマスタング、かなり気に入ってしまいました。まずね。単純にカッコいいのよ。俺はさすがにフェラーリとは間違えないけど、この男っぽいフロントマスク。空力的には悪そうだけど、この味はアメ車じゃなけりゃちょっと出せない。
リアのタテ3分割テールランプもアメリカンだし、日本車、あるいはヨーロッパ車とは根本的にデザインセンスが違う。
走りもそうだ。正直、繊細なステアリングフィールとか、剛性感たっぷりのブレーキタッチはない。インテリアも若干質感が落ちる。
でもまずエンジンがいいのよ。これまた緻密さにはやや欠けるけど、213psの4リッターV6はホントに機関銃のような調子でドドドドドーンと勢いよく吹ける。そしてとにかく低速トルクの塊なのだ。アクセルを踏んだとたん、リアが沈みそうな(沈んでないけど)ぐらいの加速を始め、さらにプリミティブな5ATと組み合わさってかるーく加速。これまたBMWの緻密さともフェラーリ12気筒とも違う味だ。その上、マスタングは304psの4.6リッターV8まで選べるんだからさ。己の魅力ってヤツをわかってるよねぇ。
乗り心地も個性的。硬めは硬めなんだけど、アメ車特有のタイヤやブッシュで乗り心地を稼いでいるようなところがあって、妙に快適だ。
フェラーリの6分の1で、いいキブン
なんと言いますかね。やはりアメリカンスポーツ、乗るだけで日本車やヨーロッパ車とは全然違うキブンになれるのだ。それは敢えていえばスティーブ・マックイーンになったキブンというか、シュワルツェネッガーになったキブンというか、ある種細かなことは気にしないの豪快なヒーローのキブン!
単純なハナシ、マスタングにはそういう変身願望を満たしてくれる力があると思う。
そしてうれしいのが価格だよね。このスペック、迫力でV6モデルは390.0万円から、V8モデルは460.0万円から選べ、安くもないがそれなりにお手ごろ。しかもこの2008年モデルからフロントフェンダーのポニーエンブレム、リアスポイラーなどが付く“ポニーパッケージ”が標準になった。ついでにエンジンはレギュラー仕様でお財布にも優しい。
つまりアメ車でしか得られない豪快さが十分に味わえ、オマケにフェラーリと間違われるという特典!? までつくクルマ。
すんごい適当な比較をしちゃうと、現行フェラーリの場合、一番安いモデルでも「F430」の2328.9万円。つまりマスタングはその約6分の1で買えちゃうのだ。ま、較べる方がおかしいって意見もあるとは思いますが(笑)。
でもまあこのプリミティブなアメリカンスポーツの魅力を持ったこのクルマ、久々に強いオトコなキブンになれたのは事実です。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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