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2/20カール・ベンツが製作した最初のガソリン自動車「パテント・モトールヴァーゲン」。ドラムと革ベルトの摩擦を用いたブレーキが備えられていた。
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3/20薬局で燃料のベンジンを購入するベルタ・ベンツと2人の息子。「パテント・モトールヴァーゲン」で長距離ドライブを敢行したベンツ夫人は、途中で何度も消耗品を交換しなければならなかった。
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4/20黎明(れいめい)期の自動車のパーツには、馬車からの流用が多く見受けられた。車輪の外側に摩擦材を押し付けるタイプのブレーキも、その例のひとつである。
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5/20金属ドラムの内側に摩擦材を押し付けることで制動力を発生させるドラムブレーキ。自然に強い制動力が得られる反面、放熱性が悪いという欠点を抱えていた。
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6/20タイヤと一緒に回転するディスクに摩擦材を押し付けるディスクブレーキ。放熱性には優れるものの、操作には力が必要だった。倍力装置(サーボアシスト)の普及とともに一般化していった。
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7/201951年に登場したジャガーのレーシングカー「Cタイプ」。2度にわたりルマン24時間レースを制したが、1953年に優勝したモデルにはディスクブレーキが装備されていた。
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8/201952年のミッレミリアに参戦する「ジャガーCタイプ」。(写真=Jaguer Historic)
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9/201959年秋に登場したジャガーのスポーツサルーン「マーク2」。2.4~3.8リッターの直6エンジンを搭載し、4輪すべてにディスクブレーキを採用。サルーンカーレースやラリーなどのモータースポーツでも活躍した。
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10/20性能の向上に伴いブレーキディスクも複雑化。2重構造としたり、スリットを刻んだり穴を開けたりするなどして、放熱性の向上が図られている。また、素材にカーボンセラミックを用いたものも登場している。写真は2018年型「メルセデスAMG C63S」に採用されたカーボンセラミックブレーキ。
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11/20車輪から伝わる力でジェネレーターを回して発電しつつ、磁石の反発力を利用して制動も行う回生ブレーキ。最近の電動車の中には、アクセルワークだけで停車まで可能な「ワンペダルドライブ」を実現したモデルも存在する。
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12/20メルセデス・ベンツによるABSのテスト風景。初期の自動車用ABSは、鉄道車両や航空機用のものと同じシンプルな機械式だった。本格的な普及は、電子制御の進化によって4輪の制動力をコントロールできるようになってからである。
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13/20世界で初めて電子制御式ABSが搭載された、1978年型「メルセデス・ベンツSクラス」(W116)。
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14/20メルセデス・ベンツの「TELDIXアンチロックブレーキシステム」。(1)の前輪センサーと(4)の後輪センサーから得た情報をもとに、(3)の電子制御ユニットが最適な制動を計算、(2)の油圧ユニットを動かし、ポンピングブレーキを行うという仕組みだった。
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15/20ABSの登場以降、ブレーキは制動だけでなく、クルマの姿勢制御にも用いられるようになっていった。
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16/20今日では、ブレーキの4輪独立制御は、エンジンの制御と連携する形でトラクションコントロールやスタビリティーコントロールにも用いられている。
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17/20自動緊急ブレーキを搭載した4代目「ホンダ・インスパイア」。当時のシステムは減速するのみで、完全に停車はしなかった。
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18/20完全にクルマを停車させる自動緊急ブレーキは、2008年に初めて「ボルボXC60」に搭載された。
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19/20自動緊急ブレーキは、センサーによって自車前方を監視し、前走車などとの衝突を察知すると自動でブレーキをかけるというもの。センサーにはカメラや赤外線センサー、ミリ波レーダーなどが用いられている。
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20/20スバルの「EyeSight(ver.2)」の登場を契機に、日本で急速に普及が始まった自動緊急ブレーキ。今では軽自動車にも装備される予防安全装備となっている。

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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