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1/222025年5月に世界初公開された、新型「RAV4」。1994年登場の初代より数えて、6代目のモデルとなる。
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2/22多方面に衝撃を与えた、先代こと5代目「RAV4」。
渕野「このクルマはフロントのシルエットが最大のポイントです。ヘッドランプ下が横に大きく張り出しており、そこからタイヤまで削られてリフトアップ感を強調しているんです。デザイナーとしては、スケッチでこういう絵を描くことはありますが、実車でここまで明快になってるものは、なかなかないですよ」 -
3/22前回も触れたとおり、先代「RAV4」はワイドなフロントバンパーからぎゅっと絞り込まれていくフロント側の立体を、Cピラーやリアフェンダーなどからなるリア側の立体が受け止める立体構成となっていた。
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4/22先代(上)と新型(下)の「RAV4」の比較。ショルダーラインから下の広いボディー面に注目。先代「RAV4」のボディーの絞りっぷりがよくわかる。
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5/22新型「RAV4」のアイデアスケッチ。
ほった「この段階では、先代も新型も、似たようなイメージを志向しているように見えるんですけどねぇ」 -
6/22新型「RAV4」の三面図。「Big Foot」(大径タイヤを強調) 、「Lift-up」(高い走破性を想起) 。「Utility」(使いやすい荷室空間)をポイントとしてデザインし、どこへでも行けそうな「RAV4」らしさを表現したとしている。
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7/22新型「RAV4」は、基本となる立体を膨らませたり絞り込んだりするのではなく、車体の一部(具体的にはドア下部やリアフェンダーの周辺)を削ることで、ダイナミックさを表現しようとしている。
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8/22清水「まぁ新型には3種類のデザインがあるから、一概に都会的になったとかワイルドさがうせたとかとも、言いづらいんだけどね」
ほった「なんかそういうところも、保険をかけたみたいな感じで釈然としないんですよねぇ」 -
9/22トヨタの最新モデルではおなじみの、「ハンマーヘッド」デザインが用いられた新型「RAV4」のフロントマスク。
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10/22発表会の会場より、新型「RAV4」のリアまわり。リアガラスとテールランプを一体化したり、一つひとつの面を大きくとったりすることで、塊感や強さ感を前面に押し出している。
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11/22フロントマスクをやや俯瞰めで見たところ。コの字型のヘッドランプの間からノーズが突き出ており、さらにランプとバンパー/フロントグリルの面の間にも段差がついている。
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12/223つあるスタイルのうちの、「アドベンチャー」仕様のフロントまわり。上部のハンマーヘッドデザインに加えてバンパーの凸凹もあり、かなりビジーな印象だ。
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13/22新型「RAV4」の、フロントとリアのデザインスケッチ。
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14/22ほった「この角度がいちばん伝わりやすいかな……。ふわっとした表現で恐縮なんですが、新型『RAV4』って、古いアニメに出てくるロボットの足みたいな感じがするんですよ」
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15/22こちらは発表会の展示車両の写真。
渕野「屋内の照明の下で見ただけなんで何とも言えませんけど、実車はそこまでクドくなかったですよ」 -
16/22清水「クロスオーバーSUVのデザインなんて基本ファッションなんだし。機能性準拠のデザインは『ランクル』系に任せておけばいいと思うんだけど」
ほった「確かにそうなんですけどね」 -
17/22ほった「思い起こせば、先代『RAV4』だってデザインは芝居のカタマリだったわけですしねぇ。この新型は、中途半端に機能性とかアウトドア感とかを演出しているから、かえって『デザインのためのデザイン』の部分が、目につくのかもしれません」
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18/22先代(上)と新型(下)のサイドビュー。ボンネットの厚みにAピラーの位置や傾き、ルーフライン、ガラスエリアとボディーの比率などなど、各所に類似する点が見て取れる。
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19/22ファッションやスタイルに関する感度が高い方々の間でも、ひと目ぼれで購入されることがままあったという先代「RAV4」。6代目となる新型に、そうしたデザインのパワーはあるのだろうか?
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20/22清水「街の風景の一部として、新型はとてもステキになったと思うんだけど」
ほった「まぁ都会寄りになったのは確かですけど」 -
21/222021年12月に発表されたコンセプトモデル「コンパクトクルーザーEV」。トヨタのSUVとしては、「ランクルのコンパクト版」の登場がウワサされているが……。
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22/22清水「『RAV4』は都会派SUVの先駆けだったんだから、新型は街に帰ろう!」
ほった「その割に、トヨタが用意した広報画像にも、街っぽいロケーションのものは少ないんですよねぇ。つくり手はどこを志向しているんでしょうか」

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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