ルノー・メガーヌ2.0 グラスルーフ(FF/4AT)【試乗記】
ナカミも、ソトミも、ポジティブに 2006.12.12 試乗記 ルノー・メガーヌ2.0 グラスルーフ(FF/4AT)……287.0万円
2003年末の日本上陸から約3年、欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞車の「ルノー・メガーヌ」がマイナーチェンジ。その個性的なデザインで知られるハッチバックは、どう変わったのか? 『webCG』コンドーと関が、新型を駆ってランチに出かけた。
躍動感を加えた、斬新デザイン
コンドー(以下「コ」):こんどの「メガーヌ」は、どこが変わったん?
関(以下「せ」):“お尻”だけ眺めていても、なかなかわかりませんよ。外観で一番変わったのは、フロントまわりですから。
コ:ホンマや。目つきがキリッとしたわ。水平基調やったフロントバンパーも、今風の笑い顔なって。なんか、どっかのフランス車メーカーを意識してるわけやないよな?
せ:お化粧直しのテーマは「躍動感」。欧州では「特徴的なリアに比べて、フロント周りがおとなしすぎる」という声が多かったらしいんです。
コ:ふーん。やっぱり、このクルマはリアが主役やねんな。どうしても、お尻から比べたくなってしまうわ。せやけど、じゅうぶんチャーミングなトコに手ぇ入れへんかったんは正解やね。
せ:細かい変更はあるんですよ。リアのバンパーもフロントに合わせて微妙にカーブが切れ上がっていますし、リアブレーキランプだってチョッとだけ立体的になりました。間違いさがしレベルなんですが。
コ:ホンマに間違いさがしや。気がついたらたいしたもんやわ。で、他の部分はどうなったんよ?
親しみやすく使いやすく
コ:車内、めっちゃ明るいやん! ダブルのサンルーフがキいてんねんなぁ。
せ:フロントとリアの「電動パノラミックグラスルーフ」は、メガーヌオーナーの約2割が選んでいたオプションだとか。今回のマイチェンでは、ひとつのグレードとして独立しました。
コ:内装を明るいベージュに変えたんも、それを意識してのことかもな。センターコンソールのエアコン吹き出し口まで同じベージュ色になってる。
せ:全体的に、ずいぶん軽やかな感じに変わりましたね。
コ:軽い軽い。ソートー軽い。変わったゆうたら、電動パワステのフィーリング。駐車場でチョッと動かしただけでも違いがわかる。“普通”になった。
せ:前のは、センターに戻ろうとする反力がもっと強かったし、そのかかり方もあまりスムーズではなかった気がします。
コ:ハンドルの感触ひとつで、全体の印象まで変わる。まぁ、エンジンは相変わらず、あんまり印象には残れへんけどなぁ。
せ:エンジンそのものに変更はありませんが、トランスミッションは変わっていますよ。
コ:えっ、そうなん? でも、「4段AT」のままなんやろ?
せ:2.0リッターモデルは、日本向けだったファイナルのギアレシオを本国と同じにしたことで、100km/h巡航時のエンジン回転数が2950rpmから2750rpmに下がっているんです。
コ:たったの200rpmやん?……とは思たけれど、アクセルペダルから足の裏に伝わる振動やエンジンノイズは、確かにずいぶん変わったわ。旧型は、ちょうどそのへんで車内のこもり音も気になったし。
せ:巡航速度が10km/hほど違ってきますから、たしかに“大きい”ですよ。
日常生活が変わってくる?
コ:となると、山の多い日本でどうなんか、チョット心配になるけど。
せ:その点、シフト“プログラム”は、日本独自のものにしてあるんです。ゴー&ストップの多い都会から、はては富士山の新五合目まで、実際に日本国内で走行テストを実施して決めたそうですよ。
コ:抜かりはないっちゅうことやな。あっ、感心してるうちに目的のレストランについたで。 「フランス車で行くイタリアの魚料理店」。ちょっとわけわからんけど、まぁええわ。
せ:日ごろ、お昼は適当に済ませてしまうだけに、たまにこういうお洒落なコースランチをいただくと、なんだか一日じゅう満ち足りた気分になりますね。
コ:ちょっとオオゲサ。せやけど、「メガーヌ」は、そんな“チョッとした幸せ”が味わえるクルマかもなぁ。日常使いのハッチバックに、こんなデザインのクルマ選んだら、生活全体がすこーしずつ変わってくるんやろなぁ。
せ:それに大事なのは、変わり方の“質”なんですよね。
コ:もちろん、ポジティブに変わりたいよな。外は躍動感をアピールして、よりアグレッシブに、内は内で明るくパーッとやろ。こりゃ、なかなか的を射たマイチェンや!!
(文=webCG近藤俊&関顕也/写真=峰昌宏/2006年12月)
![]() |

近藤 俊

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
-
BMW M235 xDriveグランクーペ(4WD/7AT)【試乗記】 2025.9.15 フルモデルチェンジによってF74の開発コードを得た新型「BMW 2シリーズ グランクーペ」。ラインナップのなかでハイパフォーマンスモデルに位置づけられる「M235 xDrive」を郊外に連れ出し、アップデートされた第2世代の仕上がりと、その走りを確かめた。
-
スズキ・アルト ハイブリッドX(FF/CVT)【試乗記】 2025.9.13 「スズキ・アルト」のマイナーチェンジモデルが登場。前後のバンパーデザインなどの目に見える部分はもちろんのこと、見えないところも大きく変えてくるのが最新のスズキ流アップデートだ。最上級グレード「ハイブリッドX」の仕上がりをリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”【試乗記】 2025.9.12 レースやラリーで鍛えられた4WDスポーツ「トヨタGRヤリス」が、2025年モデルに進化。強化されたシャシーや新しいパワートレイン制御、新設定のエアロパーツは、その走りにどのような変化をもたらしたのか? クローズドコースで遠慮なく確かめた。
-
トヨタ・カローラ クロスZ(4WD/CVT)【試乗記】 2025.9.10 「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジモデルが登場。一目で分かるのはデザイン変更だが、真に注目すべきはその乗り味の進化だ。特に初期型オーナーは「まさかここまで」と驚くに違いない。最上級グレード「Z」の4WDモデルを試す。
-
ホンダ・レブル250 SエディションE-Clutch(6MT)【レビュー】 2025.9.9 クラッチ操作はバイクにお任せ! ホンダ自慢の「E-Clutch」を搭載した「レブル250」に試乗。和製クルーザーの不動の人気モデルは、先進の自動クラッチシステムを得て、どんなマシンに進化したのか? まさに「鬼に金棒」な一台の走りを報告する。
-
NEW
内燃機関を持たないEVに必要な「冷やす技術」とは何か?
2025.9.16あの多田哲哉のクルマQ&Aエンジンが搭載されていない電気自動車でも、冷却のメカニズムが必要なのはなぜか? どんなところをどのような仕組みで冷やすのか、元トヨタのエンジニアである多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
トヨタ・ハリアーZ“レザーパッケージ・ナイトシェード”(4WD/CVT)【試乗記】
2025.9.16試乗記人気SUVの「トヨタ・ハリアー」が改良でさらなる進化を遂げた。そもそも人気なのにライバル車との差を広げようというのだから、その貪欲さにはまことに頭が下がる思いだ。それはともかく特別仕様車「Z“レザーパッケージ・ナイトシェード”」を試す。 -
スズキが未来の技術戦略を発表! “身近なクルマ”にこだわるメーカーが示した問題提起
2025.9.15デイリーコラムスズキが、劇的な車両の軽量化をかなえる「Sライト」や、次世代パワートレインなどの開発状況を発表。未来の自動車はどうあるべきか? どうすれば、生活に寄りそうクルマを提供し続けられるのか? 彼らの示した問題提起と、“身近なクルマ”の未来を考える。 -
BMW M235 xDriveグランクーペ(4WD/7AT)【試乗記】
2025.9.15試乗記フルモデルチェンジによってF74の開発コードを得た新型「BMW 2シリーズ グランクーペ」。ラインナップのなかでハイパフォーマンスモデルに位置づけられる「M235 xDrive」を郊外に連れ出し、アップデートされた第2世代の仕上がりと、その走りを確かめた。 -
フォルクスワーゲン・ゴルフRアドバンス(後編)
2025.9.14ミスター・スバル 辰己英治の目利き万能ハッチバック「フォルクスワーゲン・ゴルフ」をベースに、4WDと高出力ターボエンジンで走りを徹底的に磨いた「ゴルフR」。そんな夢のようなクルマに欠けているものとは何か? ミスター・スバルこと辰己英治が感じた「期待とのズレ」とは? -
スズキ・アルト ハイブリッドX(FF/CVT)【試乗記】
2025.9.13試乗記「スズキ・アルト」のマイナーチェンジモデルが登場。前後のバンパーデザインなどの目に見える部分はもちろんのこと、見えないところも大きく変えてくるのが最新のスズキ流アップデートだ。最上級グレード「ハイブリッドX」の仕上がりをリポートする。