「ラダーフレームのメリットは?」
2006.04.08 クルマ生活Q&A ボディ「ラダーフレームのメリットは?」
“本格的クロカン”と呼ばれるクルマの多くは、ラダーフレーム式のボディを採用しています。これはなぜなのでしょうか? また逆にモノコック式のボディですと本格的なラフロードの走行はできないのでしょうか?
(滋賀県SIさん)
お答えします。クロカン(クロスカントリー)タイプのクルマはその用途から、ボディが頑丈であることが必要になります。
ご質問のラダー式フレームはその名の通り、頑丈な鋼の2本のレールを左右に置いてはしご(ラダー)状にし、上屋を乗せる構造です。対してフレームと上屋を一体構造とし、床から天井までボディ全体で力を受け止めるのがモノコックです。
凹凸が激しいオフロードでは、一般路を走るよりはるかにサスペンションの動きが大きくなります。その際、ボディには大きな負担がかかり、モノコックのような薄い鋼板では亀裂が入りやすいのです。
さらに、オフロード車はタイヤ等も大きくバネ下重量が重いため、足まわりからの入力に対して、力を受け止めるだけの質量が必要になってきます。その点でも、重量のあるラダーフレームは理にかなっています。
加えて、上屋とフレームが完全に独立しているので、ボディの架装にも融通が利き、効率よく様々なバリエーションモデルが造れる利点もあります。
普通車がモノコックボディを使うのは、ラダーフレームの特徴である重さや、重心の高さを嫌うためです。さらに、モノコック構造はボディ全体に入力を分散するため、乗り心地が良くなるというメリットもあります。
もちろん、モノコックボディでもオフロード用にできないことはないと思いますが、その開発費用との兼ね合いで少ないのです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。