スバル・フォレスターSTiIIタイプM【試乗記】
迷うヒマのないはやさ 2001.11.14 試乗記 スバル・フォレスターSTi(5MT) ……260.0万円 2001年10月1日、スバル・フォレスターのSTiバージョンに待望のマニュアルモデルが加わった。「STiIIタイプM」がそれ。250psにチューンされたスペシャルSUVに、webCG記者がハコネで乗った。ウーン、速い!
段差の大きな駐車場から道路に出るとき、「チンスポイラーを擦らないだろうか?」と慎重になりながら、苦笑した。フォレスターに乗っているのに……。
フォレスター「STiIIタイプM」に乗っている。ターボモデル「S/tb」をベースに全高を約45mmシャコタン化、ノーマル比10psアップの2リッター「250ps」4カムボクサーターボを心臓にもち、前後左右に空力パーツを纏ったスペシャルモデルである。手がけたのは、富士重工のモータースポーツ専門会社「STi」ことスバルテクニカインターナショナル。メッシュグリルと濃色ガラス、そして足もとは、RAYSの17インチ鍛造ホイールで、ゴールドにゴージャスにキメる。ルーフエンドの大きなスポイラーがタダモノではない。
実際、タダモノではない。高速道路料金所から、ようやく搭載された5スピードのスティックシフトを駆使して全力加速を敢行すると、3000rpmを超えるあたりでタービン音がにわかに高まって、アッという間にロウで60km/h、セカンドで100km/hを突破して、ウーン、速い! 四角いボディが怒涛のダッシュを見せるさまはさぞ迫力だろう。リアビューミラーに迫られてみたい。すぐに道を譲ります。
“森の人”じゃなくなった
スバル・フォレスターは1997年に登場した、インプレッサのコンポーネンツを活用して開発されたSUV(Sports Utililty Vehicle)である。200mm前後の最低地上高とルーフキャリアなしならタワーパーキングに入る車高、そしてWRC(世界ラリー選手権)出場モデル由来の俊足ぶりをウリとするモデルだ。
いわゆる「ヨンク」が乗用車として一般化するにしたがい、オンロードでの性能がクローズアップされるのは理の当然。デビュー後約3年の2000年5月、最初のSTiバージョン「S/tb-STi」がリリースされた。好評だったと見え、同年12月には、4WDシステムがフロントからリア寄りに変更された第2弾「STiII」が売り出されている。
スポーツに振った特別モデルにもかかわらず、従来なぜかAT車しか用意されなかったが、ここに至ってMTモデル「タイプM」がラインナップされた。フォレスターが、ついに「スポーツ」に特化、いわば“森の人”の顔を捨てたわけだ。ちなみにMT化にともない、四輪駆動システムが「VTD−4WD(不等&可変トルク配分電子制御4WD)から、シンプルな「センターデファレンシャル+ビスカスカプリング」となった。
悩まない人に
「STi」のマークが付いたドアを開けると、スウェード調の生地を使ったバケットシートが迎えてくれる。ステアリングホイール、シフトノブ、ブレーキレバーは革巻きで、いずれもSTiのイメージカラー「チェリーレッド」のステッチが目に華やかだ。フロアコンソールにはシリアルナンバー入りのプレートが貼られる。ペダル類およびフットレストはアルミ製。
2リッターフラット4は、専用CPUを用いるほか、「アルミ製インタークーラーダクト」「シリコン製エアダクトホース」で吸気、「低背圧マフラー」で排気をスムーズにした。「ドコドコドコ……」という独特のボクサーサウンドは勇ましく、STiのエンジニアの人は「(音の元となる排気干渉は)できればなくしたい」とおっしゃっていたが、まあ、いいじゃないですか。個性があって。
5段MTの、クイックギアを用いたシフトフィールはカチッとしたすばらしいもの。どこからでも加速を受け付ける分厚いトルクを意識しながらハイウェイをクルーズしていると、どうしてももう1速欲しくなる。せめてファイナルをもっと上げたら……なんて、貧乏性のリポーターは考える。100km/hで2700rpm付近だから、なんかもったいないんだよね。
強化された足まわりは、しかし手慣れた感じで「乗り心地」と「スポーティ」のバランスがとられる。街なかでも、高速でも、不快なことはない。ブレーキは、フロントが16インチの4ポット対向キャリパー、リアは14インチのベンチレーテッド……とスペックを並べていくと、「SUVっていったい……」と思いはじめる。スバル・フォレスターSTiIIタイプMは、そんなことを考えない人向きだ。800台の限定販売だから、悩んでいるうちに売り切れちゃう。
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2001年11月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産リーフAUTECH B7(FWD)【試乗記】 2026.5.23 新型「日産リーフ」にもおなじみの「AUTECH」が仲間入り。デザインや質感などの上質さを目指した大人のカスタマイズモデルだが、走りの質感がアップしたと評判の新型リーフとは、さぞ相性がいいに違いない。300km余りをドライブした。
-
メルセデス・ベンツSクラス【海外試乗記】 2026.5.22 「メルセデス・ベンツSクラス」のマイナーチェンジモデルが登場。メルセデスの旗艦として、また高級セダンのお手本として世界が注目する存在だけに、進化のレベルが気になるところだ。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
-
マツダCX-5 L(4WD/6AT)/マツダCX-5 G(FF/6AT)【試乗記】 2026.5.21 日本でも、世界でも、今やマツダの主力車種となっている「CX-5」がフルモデルチェンジ。3代目となる新型は、過去のモデルとはどう違い、ライバルに対してどのような魅力を備えているのか? 次世代のマツダの在り方を示すミドルクラスSUVに試乗した。
-
DS N°4エトワール ハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.5.20 DSオートモビルから「DS N°4」が登場。そのいでたちは前衛的でありながらきらびやかであり、さすが「パリのアバンギャルド」を自任するブランドというほかない。あいにくの空模様ではあったものの、350km余りをドライブした。
-
アルファ・ロメオ・トナーレ イブリダ ヴェローチェ(FF/7AT)【試乗記】 2026.5.19 2026年3月に大幅改良モデルが発表され、ほどなくメディア試乗会も開催された「アルファ・ロメオ・トナーレ」。今回はこれをあらためて借り出し、一般道から高速道路まで“普通に”走らせてみた。進化を遂げたアルファの中核SUVの仕上がりやいかに?
-
NEW
車載カメラが普及した今、“デジタルサイドミラー”が主流にならないのはなぜか?
2026.5.26あの多田哲哉のクルマQ&Aサイドミラーの役割をカメラが担う“デジタルサイドミラー”は、レクサスやアウディなどで採用例があったものの、普及するには至っていない。その決定的な理由はなにか? 元トヨタの車両開発者、多田哲哉さんが語る。 -
NEW
マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R(FR/6MT)【試乗記】
2026.5.26試乗記販売台数わずか200台の限定車「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」に試乗。スーパー耐久レース参戦をはじめとするマツダのモータースポーツ活動を担うサブブランドが生み出した初の市販コンプリートカーは、いかなる走りをみせるのか。 -
買った後にもクルマが進化! トヨタ&GAZOO Racingが提供するアップデートサービスのねらいと意義
2026.5.25デイリーコラムGAZOO Racingが「トヨタGRヤリス/GRカローラ」の新しいソフトウエアアップデートを発表! 競技にも使える高度な機能が、スマートフォンのアプリで調整できるようになった。その詳細な中身と、GRがオーナーに提供する“遊びの機会”の意義を解説する。 -
第336回:やっぱり絶交!
2026.5.25カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。夜の首都高に200台の台数限定で販売される「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」で出撃した。手作業で組まれた2リッター直4エンジンを搭載するマツダ入魂のスポーツモデルに、カーマニアは何を感じた? -
アウディQ6スポーツバックe-tronクワトロ アドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.5.25試乗記アウディの電気自動車(BEV)「Q6スポーツバックe-tron」で、東京・渋谷と静岡・裾野を往復。雨のなかでエアコンを効かせ、高速や峠道を遠慮なく走らせるハードユースに、最新のBEVはどう応えてくれたのか? そこで感じた“本音”をリポートする。 -
ホンダ・プレリュード(後編)
2026.5.24ミスター・スバル 辰己英治の目利き軟派なクーペはアリやナシや。ミスター・スバルこと辰己英治さんが新型「ホンダ・プレリュード」に試乗。「シビック タイプR」とは趣を異にするシャシーに触れ、話題の「S+シフト」を試し、これからのスポーツクーペ像に思いをはせた。



































