フォード・モンデオ2リッターモデル(5MT)【海外試乗記】
『上質感と小気味よさ』 2000.11.10 試乗記 フォード・モンデオ(5MT)あなたはフォード・モンデオと聞いてどういうイメージを持つだろうか。「リーズナブルな中型車」という人がきっと多いと思う。「ヨーロッパフォードが開発した無個性なワールドカー」という辛辣な意見もあるかもしれない。
「でも、新型はちょっと違う」と、CG編集部 竹下元太郎は言う。「フォルクスワーゲン・パサートに匹敵する質感を持ったケルン生まれの『ジャーマンプレミアム』に生まれ変わった」。南フランスで同車をテストしたCG記者は、そう主張するのである。
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もはや「ブレッド&バター・カー」ではない
イギリスではモンデオのような手ごろなサイズの実用車を「ブレッド&バター・カー」などと言ったりするけれど、現行フォルクスワーゲン・パサートの登場以来、ヨーロッパの消費者たちは「ただのパン」では満足できなくなったようだ。新型モンデオにしても、パリサロンでデビューしたラグナIIにしても、とにかくインテリアのクオリティが高い。質感では定評ある日本車も、このセグメントでは完全に追い抜かれた観がある。
フォードは、さらに「国籍」抜きには上質感は演出できないと考えたらしい。フラップ式からハンドル式に改められたドアノブを引いて新型モンデオの運転席に着けば、硬く引き締まった座り心地といい、幾何学的で力強いデザインに宗旨変えしたインパネデザインといい、もはや出自が曖昧な「ワールドカー」ではない。ハッキリとした「ドイツ流作法」(開発拠点はケルンだから立派なドイツ車である)を身に付けた。
大きくなったボディサイズも、欧州フォードのニューモデルが「もはやブレッド&バターではない」と思わせる理由のひとつである。
全長は4731mmと現行型から171mmも延長され、全幅は62mmプラスの1812mm。メルセデスのEクラス(4800×1800mm)、BMWなら5シリーズ(4775×1800mm)に匹敵する大きさだ。
ボディ拡大には、ヨーロッパフォードの最上級モデル「スコルピオ」の生産が終了し、モンデオが事実上同社のフラッグシップにならざるを得なかったという事情もある。
これだけサイズが上がれば、室内の拡大にも目を見張るものがある。前後に身長180cmを超える体格の乗員が座っても、後席のニールームには拳を縦に1個入れても余るだけの空間が残る。間違いなくクラス随一の広さだ。
おまけに安全装備は、フロント・ダブルエアバッグ(展開パターンを、衝撃の大きさに合わせて2段階に変える『アダプティブ・デュアルステージ』タイプを採用)、サイドカーテン・エアバッグ、むち打ち症を防止する可動式ヘッドレスト、ABS、制動力前後配分装置、ブレーキアシスト、スタビリティコントロールを標準で備える。装備面でも、本当に日本車がうかうかしてはいられない時代になった。
モンデオの大変身
南フランスのサントロペで行なわれた今回の試乗会は、ヨーロッパのプレスを対象に行なわれたこともあって、「新型2リッター直4(145ps、19.4mkg)+5段MT」の左ハンドル仕様しか試せなかった。フォード日本によると、わが国に導入する仕様は検討中とのこと。たぶん5段MTは来ないだろう。だから新しい2リッターエンジンの印象を中心に報告したい。このエンジン、出来栄えがなかなか素晴らしいのである。
「デュラテックHE」と名付けられた2リッターDOHC16バルブユニットには、同グループのマツダの技術が存分に注ぎ込まれたと言われる。従来より約18kg軽量なだけでなく、ハイドローリック・ダンパー付きのエンジンマウントやデュアルマス・フライホイールを採用、さらにクランクシャフトの回転バランスを管理した設計が施された。「音と振動を徹底的に排除した」というのがフォードの主張である。
その言葉どおり、レブリミットの6900rpmまでしっかりと気持ち良く吹け上がる。バイブレーションを巧みにシャットアウト、「節度ある高級感」が、しっかり演出される。「バランスシャフトなしで、よくここまできめ細かなフィールを実現できたものだ」と感心する。低速トルクが充分なのも美点である。
しなやかな乗り心地も、新型モンデオにさらなる上質感を与えた。旧型で感じられた「低速時の細かな突き上げ」はみごとに排除され、一方、オートルートを追い越し車線のペースで飛ばしても姿勢はフラットに保たれる。速度を問わず快適だ。
おまけにKaとフォーカスでフォードのキャラクターとして確立された小気味良いハンドリングが、モンデオにも受け継がれたのが嬉しいところ。ロック・トゥ・ロックで2.8回転のステアリングは軽すぎず重すぎず、あくまで自然なフィールが身上。いかにも図体の大きなサルーンを振り回しているというような感じがしない。操って気持ちのいいサルーンに仕上げられている。
ハードウエアの出来は上々。後はフォード日本が、どうやってモンデオの「格安ガイシャ」という過去を消し、いかに「ドイツという国籍を手に入れた大変身ぶり」をアピールするか、にかかっている。
(文=CG編集部 竹下元太郎/写真=フォード日本/2000年9月)

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