第1回:突撃! ソウルモーターショー2013 前編
韓国車のキモはエロさと見つけたり!
2013.04.10
小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ
第1回:突撃! ソウルモーターショー2013 前編 韓国車のキモはエロさと見つけたり!
建前すっ飛ばして本音で勝負!
石の上にも2年、じゃなくって3年だっけか? 回を重ねると多少は分かってくるもんですねぇ。そう、「勢いまかせリターンズ」の筆おろしはなぜか韓国ソウルモーターショー!! 釜山ショーと交互開催で、前回に続き2年ぶりに行ってみたわけだけど、あらためて感心させられちゃったのだ。ある種のキムチパワー!? じゃなかった韓国パワーに。
それはいわば建前をポポポポ〜ンとすっ飛ばして、本音にグイっと迫るすごさ。日本人がお役所だの役員会だの建前だの自動ブレーキかけてしまうところをまるで無視して、ヤツらは作りたいモノをズバズバ作ってくる。その露骨ぶりが実に韓国っぽい。ってか、ぶっちゃけエロいんですね、コンパニオンはもちろんショーカーまで!
まずはヒュンダイのデザインコンセプト「HND-9Venace」。プレゼンじゃ「Fluidic Precision」(流れる正確性)とか「Classical Elegance」とか「モダン・プレミアム・ラグジュアリー・スポーツ」とかいろいろ能書きたらしてましたけど、要は“アジアのアストン・マーティン”でしょ。“アジアのザガート”って言う人もいたけど。
でも、俺は去年の「トヨタ86」&「スバルBRZ」の時も言ったけど、今のFRスポーツって基本、この路線しかないと思うのよ。ジャガー的でアストン的でカッコいい高級スーツのようなクラシカルエレガント。
デザイナーは元GMのニコラ・キンドラティシン氏で、いわば若き傭兵(ようへい)なわけだけど、ある意味元アウディのペーター・シュライヤー氏を使って、もはや“アジアのアウディ”に上り詰めつつある同グループのキア自動車と似たような手法。そこにはもちろん賛否両論で、臆面もなくって話もあるんだろうけど、やっぱり分かりやすいのよ。人間、100個の能書きより、1人の美人というか、いくら健康食品で体に良いって言われても、苦いなんとか汁より背脂たっぷりのラーメンの方が気にはなるでしょ?
しかも韓国の場合、どっかの国みたいにまんまパクリではない。一言二言話したVenaceのインテリア担当美人、ヤン・リーちゃんによると「(アストンより)シンプルでボリュームがある」そうで、実際ボンネットまわりのラインは「ヒュンダイクーペ」とか「ソナタ」と似てるし、他のディテールも異なる。
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|
レクサスでもやらなかったエルメスコラボ
さらに追い打ちをかけて「やられた……」感が強かったのは、高級車コンセプトの「エクウス・バイ・エルメス」。最高級セダン「エクウス」のストレッチリムジン版に、あのエルメスが内装を施したワケで、小沢的にはかなりの衝撃。かつて日本にも「ダイハツ・ミラ パルコ」や「ホンダ・タクト」のクレージュ仕様はあったけど、まさかエルメスとは……。しかもベースのエクウスって昔でいう「三菱デボネア」の兄弟車だよ。今じゃすっかり無関係なオリジナル車になったとはいえ、隔世の感があるじゃないですか。
しかもマテリアルに本物のクロコダイルを使ってたり、なによりたまらないのは、これを作るきっかけが「パリで出会ったエルメスとヒュンダイのトップマネジメント同士の交流」だったってウワサ。
だってさ。トヨタの章男社長が、アストン・マーティンCEOのウルリッヒ・ベッツ氏とドイツのニュルブルクリンクで知り合って「iQ」ベースの「シグネット」作ろう! と決めた……って話とはひと味違うじゃない。
ニュルで交流を深めあうトップってのも大変硬派かつマジメなイイハナシだけど、パリ8区St-Honoré沿いのエルメス本店最上階でシャンパン片手に語り合うヒュンダイグループ総帥とエルメスCEOってちょっとやられたな……って思いません?
さらにもうひとつ驚かされたのはハイテク面で、まずは日本が少量の実験車両を作ったものの量産できてない次世代カーの燃料電池車。ヒュンダイが2月に量産を開始した「ix35フューエルセル」を、あらためてショーでお披露目したのだ。既に発表済みのネタではあるが、2013年から15年までにヨーロッパで1000台ほど発売予定で、欧州認証は既に取得済み。これまた「量産世界初」の冠は韓国に奪われたわけだ。
そのほかヒュンダイは日本に遅れること数年であるが、ついにソナタでプラグインハイブリッドモデルを2015年に発売する予定で、EV(電気自動車)の方もコンパクトセダンの「アヴァンテ」ベースで製作予定。ひたひたと追いついている気配はある。
唯一の救いは、前出エルメスバージョンが市販されないことだけど、見事日本が手を付けてない、っていうか付けられないおいしいところにどんどん食い込まれている感じだ。
俺たち日本人はどうする!?
この違いは単純にスピードとかコミュニケーション能力の問題ではない。最大の問題は“遠慮”だったり“配慮”の感覚だ。人間でいう「初めて人と会ったらあいさつをする」とか「目を合わせる」みたいなレベルの話で、とにかく向こうは日本人がやらない手法でやり、リソースの調達をしてくる。それはある意味、何でもトウガラシを入れる韓国料理にも似てヤケにホットだ。
かつて日本にだって「いすゞ117クーペ」や「トヨタ・セリカ リフトバック」のように、外国デザインをそのまま生かしたナイスデザインはあった。しかし、いつしかその手の率直さは、日本らしさ追求の元に失われた。わが国は良くも悪くも成熟し、思慮深く、恥を知る大人の国なのである。しかし片や韓国は相変わらず欲望に忠実でストレートに表現する情熱の国。しかも、その特性は今後もあまり変わらない気がする。
ちなみに細かいことだが、今回のソウルモーターショーの会場は、総展示面積が約6万平方メートルだった前回から過去最大の10万平方メートル(!)となった。これは今の東京ショーの実に3倍以上! 観客動員数(見込みも)120万人と、日本の84万人(2011年)を大きく超え、見かけの規模ではわかりやすく上回られてしまった。
そうでなくとも今回のショー、目に付いたのはそのコンパニオン力で、そろいもそろって日本でも一時はやったKARAや少女時代みたいな顔立ち&メイク。そのそっくりさ加減も賛否両論だろうが、女性の美に対する考え方も、ますますもってマジメで本質重視の日本との違いを思い知らされた感じ。
恥を知るおとなしくもマジメすぎて若干分かりにくい日本と、あくまでもストレートに自分を表現し、少々過激にエロい物を大胆に取り入れる熱い韓国。イイ悪いではなくどちらが本当に世界に支持されると思う?
今後ウォン高でどうなるかわからないが、このソウルショーを見て、俺たち日本人、特にクルマ関係者はあらためて自分達の姿勢であり、態度を考えなくちゃいけないと思う。もちろん今さら韓国人的にガツガツするなんて、無理だしやりたくもないけど、ホント、遠慮して傍観してるだけの日本なんて全然はやらないぜ!
どうするんだ俺たち?
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第59回:待望の2代目「日産キックス」は「ヴェゼル」や「カローラ クロス」に勝てるのか!? 小沢コージが嗅ぎまわる 2026.7.9 日産が満を持して「キックス」の新型を発表した。新世代の「e-POWER」を搭載したほか、各部の質感もデザインも先代モデルから大幅に進化しているが、大事なのはライバル車に勝てるかどうかだ。小沢コージが開発リーダーを直撃した。
-
第58回:ええ? 燃費でも「アルヴェル」に勝ってるだとぉ…… スクープ! 激白新型「エルグランド」のホントの話 2026.6.10 日産の立て直しという大命を抱いて発売される新型「エルグランド」。自らが創出したジャンルでありながら、トヨタに好き放題にされてしまっているのが現状だ。日産はどんな武器を手に失地回復に挑むのか。小沢コージが開発トップを直撃!
-
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃 2026.4.18 小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。
-
第56回:走行16万kmでも電池の劣化なし! -20℃でもエアコンが効く! 新型「日産リーフ」のスゴイところを聞く 2026.3.23 航続距離が伸びたり走りの質がよくなったりで話題の3代目「日産リーフ」だが、本当に見るべき点はそこにあらず。小沢コージが開発エンジニアを直撃し、ジミだけど大きな進化や、言われなかったら気づかないような改良点などを聞いてきました。
-
第55回:続・直撃「BYDラッコ」! 背が15cmも高いのに航続距離が「サクラ」&「N-ONE e:」超えってマジか? 2026.2.3 2026年の発売に向けて着々と開発が進められている「BYDラッコ」。日本の軽自動車関係者を震え上がらせている中国発の軽スーパーハイト電気自動車だが、ついに大まかな航続可能距離が判明した。「これは事件だ!」ということで小沢コージが開発関係者を再直撃!
-
トヨタRAV4アドベンチャー(前編)
2026.8.23思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「トヨタRAV4」に試乗。ご存じのとおり今やトヨタの屋台骨を支えるSUVであり、先代モデルではグローバルでの年間販売台数が100万台に到達。世界で最も多く販売されるトヨタ車の6代目だ。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
DS N°8エトワールAWD(4WD)
2026.8.22試乗記DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。 -
メルセデス・ベンツCLA220(FF/8AT)【試乗記】
2026.8.21試乗記メルセデス独自のオペレーティングシステムと、フル電動化を見据えた最新プラットフォームを組み合わせて開発された新型「CLA」。その先鋒として発売されたハイブリッドモデルの仕上がりを、セダンの上級グレードに試乗して確かめた。 -
これは“ヨーロッパ版軽自動車”か? 欧州の新自動車規格「M1E」とニッポンの軽の可能性
2026.8.21デイリーコラム欧州で検討されている、新たな小型電気自動車(BEV)規格「M1E」。手ごろなBEVの普及と域内自動車産業の保護を目的としたこの規格は、軽自動車という独自の小型車を育んできた日本にとってもチャンスとなるのか? 新たな自動車規格の展望と可能性を考察する。 -
FCEVで世界一の販売台数 「ヒョンデ・ネッソ」にみる水素の可能性と普及へのカギ
2026.8.20デイリーコラムフルモデルチェンジしたヒョンデの燃料電池車(FCEV)「ネッソ」は、1014km(参考値)の一充填走行距離を実現したという。進化したゼロエミッションの走りを味わいながら、ヒョンデが目指す水素社会の可能性とFCEVの未来について考えてみた。 -
第292回:350SEが運ぶのは幸福か、それとも究極の不幸か…… 『星の時 4K』
2026.8.20読んでますカー、観てますカーブラジルの女性小説家クラリッセ・リスペクトルが1977年に発表した小説を、女性監督スザーナ・アマラウが1985年に映画化した伝説の作品。「メルセデス・ベンツ350SE」がもたらす運命の瞬間を謎めいた手つきで描き出す。