ホンダ・ヴェゼル ハイブリッドX・Lパッケージ(4WD/7AT)
多能性を得たスペシャリティー 2014.04.01 試乗記 これぞ現代のスペシャリティーカー? ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」の実力に触れた。ヨーロッパで最旬のジャンル
コンパクトクロスオーバーは、ヨーロッパでは最旬のジャンルである。「日産ジューク」の人気は今も衰えを見せないし、MINIには「クロスオーバー」と「ペースマン」がある。日本では今ひとつの感もあるが、今年になってルノーから「キャプチャー」、プジョーから「2008」が導入された。「ヴェゼル」は、ホンダがこの活気あふれるジャンルに投入した期待の星である。「フィット」「シティ」とともに、世界で年間160万台を売るという目標を掲げる世界戦略車なのだ。
SUV、クーペ、ミニバンのいいとこ取りをするというのがコンセプト。力強い走りと高い視点を持ちながらスタイリッシュでしかも室内空間が広い、といったところがアピール点だという。まあそれは他のメーカーも同じようなことを言っていて、要するに武骨なイメージだったクロカンモデルを都市対応型にし、オシャレで実用的なクルマに仕立てているわけだ。一回り大きくなっているが、フィットベースだから街中で持て余すことのないサイズである。
エクステリアは、ジュークほど筋肉質ではなく、キャプチャーほどモード志向でもなく、万人に受けそうなデザインだ。リアドアのアウターハンドルをウィンドウに溶け込ませているのは、クーペっぽい印象を与えるためのおなじみの手法である。インテリアはなかなかうまく高級感を演出していて、ピアノブラックのパネルやソフトバッドを巧妙に配して乗員を気持ちよくさせる。
ホンダ自慢のセンタータンクレイアウトの恩恵で、スペースに関してはアドバンテージがある。後席の広々感と荷室の容量は、どちらも優秀なレベルだ。そんなわけで全方位に気を配ったクルマであるが、平均点がいいだけでは魅力にならない。ヴェゼルがライバルたちに誇れる一番の武器は、ドライブトレインである。
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