第64回「レクサスNX300h“バージョンL”」

2014.08.29 水野和敏的視点 水野 和敏

SUVマーケットが活況を呈しているワケ

グローバルで人気が高まりつつあるクロスオーバー車の実力を知るために、ここ数回、このカテゴリーの新型車を集中的にテストしてきました。今回はいよいよそのトリ、レクサスが今年の7月に発売した新型クロスオーバーSUV「NX」を取り上げます。

このクルマのラインナップは、2リッターターボ搭載のガソリン車「NX200t」と、2.5リッターに電気モーターを組み合わせたハイブリッド「NX300h」に大別されます。トランスミッションは前者が6段AT、後者がCVT。駆動方式は、いずれにもFFと4WDが用意されます。

テスト車は、ハイブリッドモデルの高級グレード“バージョンL”のFF車。車両本体価格は、556万円です。もっとも、オプションが、ショックアブソーバーの減衰力を最適に電子制御するNAVI・AI-AVSや、プリクラッシュセーフティーシステム/ブラインドスポットモニター/レーンディパーチャーアラートなどといった安全装備、それにマークレビンソンのオーディオ……といった具合に豊富に装着されていますので(85万1040円分も付いています)、車両の総額は641万1040円となっています。

ちなみに、やはり2.5リッターと電気モーターを組み合わせた「クラウン ハイブリッド ロイヤル」は、421万7143円から。レクサスNXは、ザッと100万円高い計算です。

ちょっと意地の悪い比較ですが、エンジン横置きのハイブリッドシステム、実質的にレクサスNXと同じパワープラントを使う「カムリ ハイブリッド」にいたっては、313万7143円から。基本的に同じプラットフォームに、大径タイヤを履かせ、SUVの上屋を載せた編集設計、開発をするだけで、200万円以上高い価格を設定できるわけです。もちろん相応の開発費はかかりますが、非常に利幅の大きな商品であることは間違いありません。世界中の自動車メーカーが、熱心にSUVを開発するわけがここにあります。

コンパクトSUVから巨大なサイズのモデルまで、世界的にSUVマーケットが活況を呈していますが、その市場は、単にユーザーの要望に応えて新たに作られたマーケットであるだけでなく、実は「自動車メーカーが高利益訴求のために意図的に作りあげているマーケット」という側面も持っていることを、ユーザーは知っていてもいいと思います。


第64回「レクサスNX300h“バージョンL”」の画像 拡大

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レクサスNX300h“バージョンL”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4630×1845×1645mm/ホイールベース:2660mm/車重:1810kg/駆動方式:FF/エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ/モーター:交流同期電動機/トランスミッション:CVT/エンジン最高出力:152ps/5700rpm/エンジン最大トルク:21.0kgm/4400-4800rpm/モーター最高出力:143ps/モーター最大トルク:27.5kgm/タイヤ:(前)225/60R18 (後)225/60R18/車両本体価格:556万円
レクサスNX300h“バージョンL”
    ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4630×1845×1645mm/ホイールベース:2660mm/車重:1810kg/駆動方式:FF/エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ/モーター:交流同期電動機/トランスミッション:CVT/エンジン最高出力:152ps/5700rpm/エンジン最大トルク:21.0kgm/4400-4800rpm/モーター最高出力:143ps/モーター最大トルク:27.5kgm/タイヤ:(前)225/60R18 (後)225/60R18/車両本体価格:556万円 拡大
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