第365回:ゴルフGTIデビュー40周年記念イベント
「GTI Meeting Japan」に参加して
2016.09.14
エディターから一言
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「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」のデビュー40周年を記念し、初めて開催された「GTI Meeting Japan」。愛車でサーキット走行を楽しめるというファンイベントの様子を、「ゴルフGTE」オーナーとして参加した生方 聡がリポートする。
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ゴルフGTIの40周年を祝う
クルマ好きなら(たぶん)誰でも知っているホットハッチの定番モデルが「ゴルフGTI」。その人気モデルがデビューから40年を迎えるということで、アニバーサリーモデルの「ゴルフGTIクラブスポーツ」がここ日本でも発売になった。きっと、多くのGTIファンは“そわそわ”していたに違いない。そんなファン心理を知ってか、フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)からうれしい知らせが届いた。GTIの40周年をファンとともに祝う「GTI Meeting Japan」を開催するというのだ。
VGJはこれまでにも「Volkswagen Fest」や「Volkswagen Day」といったカスタマー向けのイベントを開催してきたが、ここ数年は最新モデルの紹介が中心となっていて、フォルクスワーゲンオーナーが愛車で集まって楽しむという意味合いは薄くなっていた。
ところが、今回のGTI Meeting Japanは、愛車でサーキットに出向き、自分のクルマで走行プログラムが楽しめるという、まさにGTIオーナー向けのイベント。一応GTIをうたってはいるが、GTI以外でもフォルクスワーゲンであれば参加が可能という寛容さもうれしいところだ。「ゴルフ3 GTI」の元オーナーであり、現在は「ゴルフGTE」を愛車とする私としては、仕事そっちのけで参加することにした。
240台、500人が参加
イベントの告知から開催までの時間は約半月、そのうえ開催日が平日の金曜であるにもかかわらず、会場となった袖ヶ浦フォレストレースウェイには朝早くからたくさんのフォルクスワーゲンファンが詰めかけた。その数、トータルで240台! 参加者は500人に達したという。どうりでパドックがいっぱいになるわけだ。
GTI Meetingというだけに、クルマの多くはゴルフGTIで、最新のゴルフGTIクラブスポーツから、ちょっと懐かしい「ゴルフ2 GTI」、そして、日本には正規輸入されなかった「ゴルフ1 GTI」まで顔ぶれは多彩。ゴルフGTIのほかにも、「ポロGTI」や「ルポGTI」、さらに、「ゴルフR」など、サーキットが似合うクルマが勢ぞろいである。
私の場合、一番のお目当てはサーキット走行。今回のGTI Meeting Japanでは、4つのクラスが設定され、参加者が自身の経験や腕にあわせて好きなクラスが選べるようになっている。私はエキスパート向けに20分間のフリー走行が楽しめる「G」クラスを選んだが、他にも経験者向けに先導車付きで走る「T」クラス、初心者向けの「I-1」クラス、女性初心者向けの「I-2」クラスが用意されている(いずれも事前申し込みが必要)。
うれしいのは、入場料もサーキット走行もすべて無料という点。いまどきこんな太っ腹なイベントはそうそうにないだけに、「ホントに全部無料?」とVGJに確認してしまった私である。
朝6時半に受付を済ませ、愛車にゼッケンを貼って準備完了。そして、8時20分にコースイン! 愛車のゴルフGTEでサーキットを走るのは初めてだったが、速さの点ではスポーツモデルのゴルフGTIやゴルフRとほとんど遜色がなく、肩身の狭い思いをしないで済んだのはうれしい発見だ。それと、フォルクスワーゲンオーナーの気質か、まわりに気を遣って走る人ばかりなので、フリー走行といっても怖い思いをしないで済むのがありがたい。おかげで、20分のサーキット走行を満喫することができた。
これっきりではなく
サーキット走行以外にも、「ゴルフが原点」というモータージャーナリストの中谷明彦さんとレーシングドライバーの荒 聖治さんとのトークショーや、彼らが操るGTIシリーズに同乗できる“サーキットタクシー”、フォルクスワーゲンのスポーツモデルが運転できる体験試乗など、さまざまなプログラムが用意され、また空き時間には久しぶりに会う仲間と会話を楽しむことができた。そして最後はサーキットを愛車でパレードして終了。フォルクスワーゲンオーナーにはたまらない一日になった。
ところで、GTI Meetingといえば、毎年オーストリアのヴェルター湖畔(ヴェルターゼー)で開かれるイベントが有名だ。私も2013年に足を運んだが、その規模や集まったクルマの台数、そして、ファンの数に圧倒されっぱなしだった。以来、「あんなイベントが日本でも開催できたらなぁ……」と思い続けてきただけに、その最初の一歩として今回GTI Meeting Japanが開催されたのはとてもうれしい。
会場ではVGJのティル・シェア社長と話をするチャンスがあったが、「GTIへの愛情を分かち合う場として、こういったイベントを繰り返して行えるように、どういったスタイルがいいのか、どうすればより多くの人が参加して楽しんでもらえるのかをいろいろ考えていきたい。規模は違いますが日本版“ヴェルターゼー”となるよう、今後のことを検討したいと思います」と話すのを聞き、GTI Meeting Japanがこれっきりではなく、将来も続くことを期待しながら、袖ヶ浦フォレストレースウェイをあとにした。
(文=生方 聡/写真=生方 聡、フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン )

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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