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第13回:鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス(その1)

2016.10.18 カーマニア人間国宝への道 清水 草一

我が家のクルマたち

NEOスーパーカー戦争の話題もようやく一段落。いよいよ実用ディーゼル乗用車=欧州の吉野家牛丼(並)の話に戻りたい。

我が家にはここ20年ほど、3~4台の自家用車がある。

1台はフェラーリ。これはフォアグラで、めったに食しない。近年のフェラーリは実用性も大変向上しており、食べようと思えば日常食にもなるが、私は祭祀(さいし)用と考え、軽々には頂かないよう心がけている。現在の「458イタリア」は、購入から約4年で走行距離約1万km。これでも乗り過ぎです。土下座。

もう1台はカロリーメイト。主に家族用あるいは近距離用の足グルマで、2009年に初代「プリウス」のド中古を購入して以来、「アクア」→「シエンタ」とトヨタ車が務めている。長距離移動でも渋滞が予想される時はこれに乗る。甘美な快楽はゼロだがストレスがなく快適だ。

そして最後の1台。これは主に私の普段の足用で、仕事柄ロングドライブも多い。ここに欧州の吉野家牛丼(並)をはめ込みたい! という強い欲望を燃やしていた。

が、以前書いたように、日本市場にはディーゼル車のラインナップが乏しく、なかなかそこに到達できずに迷走を繰り返していた。

2009年の欧州遠征(ジャイアント・インパクト)以来の牛丼車の変遷を見ると、このようになる。

「サーブ900S 2.3」(8万円)
「シトロエンC5セダン 1.6ターボ」(320万円)
「フィアット・クーボ 1.3マルチジェット」(245万円)
「プジョー406スポーツ」(45万円)
「BMW 335iカブリオレ」(266万円)
(すべて中古車)

現在の愛車「フェラーリ458イタリア」。(写真=池之平昌信)
現在の愛車「フェラーリ458イタリア」。(写真=池之平昌信) 拡大
「サーブ900S 2.3」
「サーブ900S 2.3」 拡大
「シトロエンC5セダン 1.6ターボ」
「シトロエンC5セダン 1.6ターボ」 拡大
“牛丼”生活を満喫する筆者。
“牛丼”生活を満喫する筆者。 拡大

実はコスパ重視の節約志向 

フィアット・クーボ 1.3マルチジェットは小排気量ディーゼルで、ズバリ吉野家牛丼(並)のつもりだったが、フィアット製1.3ディーゼル(ユーロ5)は2000rpm以下のトルクが薄く、実は鶏のささ身だった。平均燃費はリッター19kmと実に健康志向ながら、牛丼用には脂身が足りず、半年で買い替えとなった。

続いて購入したのは、45万円のプジョー406スポーツだ。走行12万kmとは思えぬしっかりした走りに感動したものの、たまたま取材先で266万円の先代BMW 335iカブリオレ(走行約6万4000km)に出会い、衝動買いと相成った。

実は不肖ワタクシ、BMWを買ったのはこれが初めてで、BMWの4座オープンが醸し出す凄(すさ)まじいエリート感にシビれまくった。屋根を開けて首都高を流すと、周囲のクルマが全部チンケな小市民に見える! こっちは200万円台でBMWのオープンだぜ!? 通りすがりのオッサンに「これ、1000万くらいすんのかい?」って言ってもらえるんだぜダッハハハハハハ!

フェラーリ様は雲上界のおクルマなので、周囲のクルマと比べる感覚は一切湧かないが、BMWは一般社会の頂点近くにある。それを乗り回しつつ、払ったのはプリウスと同じくらいの金額という事実に、ものすごい快楽を感じた。

私について、高級車以外興味がない人間のような誤解があるが、事実はまったく異なる。ものすごくコスパにうるさい節約志向なのだ。実際、フェラーリとランボ(合計11台)を除くと、300万円以上のクルマを買ったことは33回中3回しかない。新車価格で300万円以上のクルマが欲しくなった時は、300万円以下になるのをじっと待つ! 鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス。BMW 335iカブリオレがまさにそれだった。

「フィアット・クーボ 1.3マルチジェット」
「フィアット・クーボ 1.3マルチジェット」 拡大
「プジョー406スポーツ」
「プジョー406スポーツ」 拡大
「BMW 335iカブリオレ」(写真=池之平昌信)
「BMW 335iカブリオレ」(写真=池之平昌信) 拡大

「足グルマはおおむね300万円以下」

なぜ300万円以上の足グルマを買わないのか?

それ以上高いクルマを買うと、最終的に中古フェラーリより高くついてしまうからだ。

これは2年半前、購入20周年を記念して作成した、MYフェラーリ支出総額表です。

総額は約5606万円だが、そこには458イタリアという資産が含まれているので、これを売却すれば恐らく2300万円程度にはなるはず(当時)。わかりやすくするために整備費や税金、保険料などを除いて車両本体の償却に限定すると、合計約1600万円。1年あたりわずか80万円にしかならない! フェラーリを平均2年ごとに合計10台乗り換えてだヨ!?

ところが、500万円の「メルセデス・ベンツCクラス」(新車)とかフツーのクルマを買うとですね、最初の2年くらいは1年あたり軽く100万円下がっちゃうでしょ!? 10年乗りゃ下取り0円でも1年あたり50万円で済みますが、そんな退屈な人生まっぴら御免! だってクルマ買うために働いてんだから! Cクラスがフェラーリより高くつくなんてあり得ないし許せるわけねーだろこのうすらトンカチ!

よって私は、「足グルマはおおむね300万円以下」を絶対的な家訓としているのだった。

(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信)

第14回:鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス(その2)
第15回:鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス(その3)
第16回:鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス(その4)

「フェラーリF355」のラジエーター交換。
「フェラーリF355」のラジエーター交換。 拡大
「フェラーリ360モデナ」のオイル交換。
「フェラーリ360モデナ」のオイル交換。 拡大
「フェラーリ512TR」の整備風景。
「フェラーリ512TR」の整備風景。 拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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