第3回:話題のモデルが続々登場!
輸入車チョイ乗りリポート~400万円から600万円編~
2017.02.28
JAIA輸入車試乗会2017
ディーゼルの魅力とスポーティーな走りを追求した「ボルボV40」に、話題の新型「フォルクスワーゲン・ティグアン」、3気筒の「BMW 3シリーズ」、そして四駆の「アウディTT」。webCG編集部員が注目した、400万円から600万円のオススメモデルを紹介する。
洗練よりも刺激でしょう
ボルボV40 D4 R-DESIGNポールスターエディション……459万円
エンジンをスタートさせると、メーターパネルの液晶が赤と黄色のアクセントで彩られていた。表示されているのはシフトポジションとか0km/hの速度計なのに、どこかエマージェンシーな雰囲気を漂わせる。アルミニウム製のセンターパネルには、格子状の目が刻まれていて、こちらはレーシーな雰囲気を高める。運転席というより、コックピットという言葉が似合う場所だ。
このクルマはまず“R-DESIGN”というところが特別で、先に書いたアルミ製のセンターパネルや、少し引き締められたサスペンションを装備する。さらに“ポールスターエディション”ということで、ロムチューンが施されており、ベースの「V40 D4」よりも10psと4.1kgm強力な、最高出力200ps、最大トルク44.9kgmを発生する。専用のエキゾーストセットなども装備している。書くだけ書いたものの、ベースモデルに乗ったことがないので、比較はできなかった。
44.9kgmのトルクはだてではなく、ブレーキを少し緩めただけで、グイグイと前に出ようとする。試乗コースに入って、かなり“いい領域”までスピードを上げても、エンジンの回転数は2000回転くらい。1750-2250rpmで最大トルクを発生するので、8段のATが賢く走らせている。ディーゼルサウンドはそれなりに聞こえてくる。
僕はボルボというとまず洗練という言葉を思い浮かべるけど、洗練をレスオプションで少し薄めたような、こういう選択肢があるのはうれしい。
(文=webCG 藤沢/写真=峰 昌宏)
向こう側に「ゴルフ」が見えた
フォルクスワーゲン・ティグアンTSI Rライン……463万2000円
先代の「ティグアン」には、どこか「ゴルフ」から派生したクロスオーバーモデル的な風情が漂っていた。でもこの新型は、ちょっと様子が違っている。全幅がグッと広がり、見るからに立派になって、ゴルフとの関係を断ち切ったかのようである。今回試乗した「Rライン」ともなると、LEDヘッドランプのシャープな目つきに、キッとつぐんだ口元が作る表情がやけに立派で、格上の「パサート」に迫る雰囲気すら醸し出している。
現在、ティグアンにはこのRラインに加え、「ハイライン」と「コンフォートライン」が設定されているが、どれもエンジンは150psの1.4リッター直4ターボであり、駆動方式もFFのみ。見ようによっては、至ってシンプルな布陣である。
Rラインとハイラインという上位2グレードにはドライビングプロファイル機能が備わり、エコ/ノーマル/スポーツ/カスタムというドライビングモードが切り替えられるほか、オプションでアダプティブサスペンションのDCCも選べ、さらにはタイヤサイズが異なるが、違いといえばそれくらいのもの。19インチの立派なタイヤを履くRラインとて、乗員をスポーティーに揺さぶることはない。18インチのハイラインと、それほど変わらぬ印象だ。路面の不整をマイルドに飲み込み、室内の誰もが穏やかな気持ちでいられる、快適な乗り心地である。
それにしてもこのクルマ、エンジンが静かだ。道の流れに乗ってごくおとなしく一般道を流しているかぎり、1.4リッター直4ターボエンジンはその存在を一向に主張してこない。もちろん1540kgの車重に対して、実用トルクは十分にあるのだが、終始、脇役に徹しているかのようなのだ。
語弊を恐れずに言うなら、ティグアンはエンジンを楽しむクルマではない。ひとまわり広くなった室内を含めた、車両パッケージ全体の巧みさを体感すべきクルマである。……ってそれは、すなわちゴルフのことである。早く“ゴルフ7.5”に乗りたいな、と思った。
(文=webCG 竹下/写真=田村 弥)
駆けぬけない歓びもある
BMW 318iラグジュアリー……489万円
3気筒の「3シリーズ」って、どうよ? と、乗らずにはいられなかったのが「318iラグジュアリー」である。
BMW 3シリーズに対する一般のイメージは“スポーティーセダン”だと思うが、パワーユニットを問わず、そう感じることができるのか? おおいに興味があった。
318iが搭載する1.5リッター直3ターボの最高出力は136ps/4400rpmで最大トルクは22.4kgm/1250-4300rpm。「1シリーズ」や「2シリーズ」、MINIの「クーパー」などで実績を上げているエンジンだ。
この318i、想像通り決して速くはない。でも予想に反して(?)とても気持ちのいいクルマだった。エンジンはわずかな振動こそ伝えるものの、アクセルペダルを踏み込むと、静かに、滑らかに加速させる。乗り心地もいい。ドライビングモードで「コンフォート」を選ぶと、文字通り快適なドライブが楽しめる。FR車ならではの上質さも魅力だ。前輪に駆動力がかからないので、ステアリングフィールが繊細で洗練されている。
走っていてあらためて感じたのは、エンジンの存在感が薄いことだった。その存在をしっかり認識させるのは、アイドリングストップから目覚めるときだったというのは、なんだか皮肉である。
エンジンのキャラが立っていれば「これぞスポーティーセダン」と思わせ、そうじゃなくても、「選ぶ理由はある」と納得させる。それがBMWブランドの強さなのかもしれない。
(文=webCG こんどー/写真=峰 昌宏)
スペックを超えた速さがある
アウディTTクーペ2.0 TFSIクワトロ……589万円
僕が普段乗っているのは、2008年式の「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」で、「ゴルフV」と呼ばれる世代のモデルである。2リッターターボエンジンは最高出力200ps、最大トルク28.6kgmを生み出し、高速道路の右車線で、流れを先導することも余裕でこなしてくれる。編集部でデスクを並べる先輩の「ダッジ・バイパー」ほどではないが、こと動力性能において不満を感じたことはない。
同じ2リッターターボの「アウディTTクーペ2.0 TFSIクワトロ」に乗るにあたり、「きっとこんなもんかなー」と高をくくっていたら、比べ物にならないほど速くて驚いた。あとで調べたら、TTはウチのゴルフよりも最高出力で30ps、最大トルクで9.1kgm優っていて、車両重量は70kg軽い。さらに駆動方式が4WDとなる。(さらにウチのクルマは8年ほどの経年劣化が少々……)そりゃ速いわけだと思う一方で、数字以上の違いがあるという思いも隠せない。
まず感じたのはエンジンの吹け上がりの速さで、ピストンがとても軽く感じる(ような気がする)。あとは4つのタイヤが常にアスファルトにはりついていて、軽く踏み増しただけでも、タイムラグなく加速する。胸のすく走りとは、きっとこういうことなのだと思う。ただ、試乗コースの西湘バイパスでは、すぐに制限速度に達してしまい、その先の世界は試すことができなかった。
ウチは3人家族なので、万が一買える日が来たときのために、後部座席も試した。大人が乗る場合、“人間を詰め込む”という表現しか浮かばなかった。
(文=webCG 藤沢/写真=田村 弥)

藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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