第3回:“人車一体”が味わえる!
「CTSセダン」街乗りインプレッション
2017.03.03
キャデラックCTSセダン日常劇場<PR>
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キャデラックのセダンと聞いて、皆さんはどんな走りのクルマをイメージするだろうか? 今回は、webCG編集部のスタッフが、ミッドサイズセダン「CTS」に初めて試乗。その印象を報告する。
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新鮮さは変わらず
試乗に先立ち、現行型CTSセダンに関する『webCG』の記事を読み返して驚いた。このクルマが日本でデビューしたのは、2013年の12月。いまから3年以上も前なのである。
しかし、とてもそうは思えないほど、エクステリアのデザインはオリジナリティーにあふれ、いまなお新鮮に映る。ほかのクルマとは明らかに異なる、直線的なラインがいい。特にフロントまわり。押し出しの強さや存在感ばかり意識した“こわもてのクルマ”が多いなか、凛(りん)としたCTSの表情には好感が持てる。
インテリアも同様に、キャデラック独自の世界がある。茶系の本革とスエードのコンビに、ダークブラウンのウッドパネル。さらにブラッククロームのパーツ類をあしらった空間は、適度に上品な雰囲気を醸し出す。テイスト自体は弟分の「ATSセダン」と同じだけれど、物理的に広いCTSのほうが、よりマッチしている印象だ。過度な高級感やスポーティーさの演出がないから、自然体で、気持ちよく、長く付き合える気がする。
とはいえ、気になる点もゼロではない。ベージュに近い明るい色のダッシュボードは光の加減でフロントガラスに映り込むことがあるし、センターコンソールのスイッチ類は多くが静電タッチ式で、運転中は手探りでの操作が難しい。サイドミラーが大きいため、斜め前方の視界がやや狭く感じるときもある。こうした車内の仕立てはスタイリッシュだと思うし、後方視界がしっかり確保されているという安心感はあるのだが。
特等席は運転席
運転感覚は、より印象深いものだった。今回は、都内から鎌倉までの道を、高速道路主体で往復200kmほど運転したのだが、一般道のストップ&ゴーから高速の合流まで、加速の力強さにはたびたび驚かされた。いまや高効率なダウンサイジングターボなど常識とはいうものの、これで2リッター直4とはにわかに信じがたいほど、トルクが豊かなのである。
かといって、荒々しさはない。同じエンジンを積むATSに乗ったときは、ヤンチャと思えるほどパワフルに感じられたけれど、CTSの場合は車重とのバランスがいいのか、常にドライバーが気持ちよく感じられる絶妙なあんばいでパワーを供給してくれる。
鼻先の軽さも印象的だ。前後重量配分のいいクルマはフットワークがいいものだが、CTSも交差点を曲がり、住宅地をぬって続くカーブをクリアするだけでも、ハンドリングのよさが味わえる。もともと車体の大きさはそれほど意識しなくて済むCTS。前述の加速感とも相まって、曲がりくねった道を走らせているとクルマとの一体感が増してくる。
デビューから3年を経たとはいうものの、筆者がCTSに触れたのは、今回が初めてだ。全長5mに迫るこのアメリカ製セダンに対しては、もっとゆったりした走りを勝手に想像していたのだけれど、実際のフィーリングは、そんな先入観とは大きく違った。
快適なことは、このうえない。後席は、家族や友人を積極的に乗せたくなるほど広いし、開口部が大きくとられたトランクは、どんな荷物も軽々と飲み込んでくれそう。でも間違いなく、このクルマはドライバーズカーだ。爽快な気分で過ごせる運転席こそ特等席。今度は、本格的なワインディングロードも走らせてみたい。
(文と写真=webCG 関 顕也)
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関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。